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Room2308 第6話




 


Room2308
 第6話








 

 夕方は寒くは無かった。
 色々考えた末、私は襟ぐりの開いた服を着なかった。襟のあるブラウスの一番上のボタンまで止めて、家を出た。

 考えれば考える程、信じたくないせいなのか、寿先輩の言葉の矛盾を探してしまう。どこかで綻びが生じてないだろうか。どこかで嘘だと断定出来る何かを取りこぼしてはいないだろうか。そう思えば思う程に、頭がぐるぐるして解らなくなる。

 本人に直接聞くのも、それはそれで実行できそうもない。
 もしも先輩の話が嘘だったら、私は自分から浮気をバラしてしまう事になる。

 あれを浮気だと言われたら悲しくて仕方がないけど、でも、恋人である一ノ瀬さんにしてみたら、そう取られても仕方の無い事だと思う。

 私だって、どんな状況だったとしても、一ノ瀬さんが他の女の人と関係を持ったら悲しい。心がズタズタになるに違いない。想像しただけで泣きそうなのに、実際そんな目に遭ったら耐えられない。

 それが普通だ。
 だから、寿先輩の話が信じられないのだ。どう捉えたって普通じゃない。わざわざ自分からそんな悲しい状況を望むなんて話、にわかには信じられない。

 
 だからこそ、もし、寿先輩が嘘を吐いていたとしたら。
 そう思うと、自分からこの話を切り出す事は出来そうもなかった。
 
 「私が、一ノ瀬さん以外の男の人と、体の関係を持ってるところを見たいって、本当ですか?」

 そんな風にさらりと聞けたらどんなに楽だろう。どういう神経だったら、面と向かってそんな風に尋ねる事が出来ようか。
 本人の口から真実を聞くのが確実なのは解っているのに、それはどうにも出来そうになかった。

 

 心臓が鳴り響く音で潰れそうになりながら、私は一ノ瀬さんの部屋を訪れた。

 「どうぞ。少し忙しかったので片付けがままなっていませんが、君の好きなお菓子だけは買ってあるんですよ。」

 ドアを開けた彼に何を言われるのか、どんな話から切り出せばいいのか。頭が真っ白になる寸前まで色々考えに考えていた私は、いつもと全く変わらない彼の態度に拍子抜けしていた。


 

 「その時の、監督さんのギャグに思わず笑ってしまいまして・・・どうしたんですか、先程から、何だか元気がないようですが。」

 「え! いえっ!」

 突然話を振られ、私は思わず背筋が伸び切るくらいに飛び上がった。
 
 ついうっかり久しぶりに一ノ瀬さんを前にして、本当に彼があんな事を言ったのだろうか・・・と、そればかり考えて、彼の話をまったく聞いていなかった。

 彼は特に普段と変わらぬ様子で私を部屋に通し、お茶を用意してくれた。

 リビングで過ごす時間は、いつもの2人の時間と何も変わらなかった。ありふれた日常だった。私だけが迷いと混乱で揺れていて、他の一切は穏やかに息づいている。

 「どうかしましたか。今日は、何だかいつもと・・・具合でも悪いのですか。」

 「いえっ、全然! あ、の、その、ちょっと昨日曲を作るのに夢中になってしまって・・・その、寝るのが、遅くなってしまって。」

 
 本当ですか。あの話は、本当に。
 
 寝るのが遅くなったなど適当な嘘を吐きながら、その言葉が心を駆け回っている。

 聞きたいのに、聞けない。どうしても聞けない。喉元まで言葉が出掛っているのに。

 胃と喉の間で煮詰めた重い何かを沸騰させたい。煮詰めすぎているから沸点を越えさせて吐き出したい感触。だけど重すぎて、喉を通すにはあまりにも骨が折れて。

 「では、少し横になりましょうか。君と一緒に過ごせるのなら、ソファだろうがベッドだろうが、私は構いませんし。」

 一ノ瀬さんが立ち上がり、私の手を取る。

 「目を瞑って横になっているだけで違うと思いますよ。さ、行きましょう。」

 「あ、あの!」

 「はい?」

 二の句が出ない。
 
 やっぱり無理。聞きたいのに。寿先輩が、一十木くんが、神宮寺さんが。皆が口を揃えて、貴方の望みだというのは本当ですかと。信じられないから確かめたいのに。

 一ノ瀬さんが、吐息でふっと笑った。

 「本当に今日は変ですね。疲れているんでしょう。さ、早く。」

 すっと握ってきた指を、私は握り返した。
 
 その指の優しさに心が解れたのか。

 その時どうしてか、するりと滑るみたいに勢いに任せて口が開いた。殆ど無意識だった。何故そうなったのかは判らない。口をついて言葉が出た瞬間は、頭が真っ白だった。

 「一十木くんに伝言を頼んだのは本当ですか。」

 
 意思と離れた力で放たれたような自分の言葉が、妙に響いた。

 しん、と。
 主語も無い私のその問いかけに、一瞬何もかもが停止したような気がした。

 それはもしかしたら私が勝手に感じていただけで、一ノ瀬さんにとっては空気が変わるでもない出来事だったのかもしれない。でも私には、一ノ瀬さんの返事が耳に届くまでのたった数秒であっただろうその時間が、永遠に続くようにすら感じられる間合いだった。

 「ええ、そうです。音也が君に伝言を届けてくれたから、君は私が急な仕事で来られなくなったのを知ってくれたのでしょう?」
 
 「・・・それと一緒に、別の事も、頼みましたか。」

 凍った空気がひび割れるような微かな音がした気がした。

 「・・・別の事、とは?」

 僅かな沈黙の後、一ノ瀬さんが私に問う。
 
 私が答えたら、状況はどっちに転ぶのだ。
 
 一体それは何の話だと詰め寄られるのか。そうですよと、にっこりと笑顔でも返されるのか。どちらだ。賽子はどちらの目が出る? 緊張で口が痺れる。どちらになっても、私に良い結末が待っているとは思えない。

 なのに話を続けるなんて。
 
 真実を知りたいなど、それだけを取り上げれば自分の意思であるかのように言いながら、結局は寿先輩の言うように、私は既に引き入れられているだけのような気がする。知らん顔をしてあやふやにしておけばこのままフェイドアウトしてしまうかもしれない些細な事件を、引き入れられてしまっているからこそ具体化しようとしているのかもしれないと、頭のどこかが冷静に考える。

 それでも、例え聞いた結果が不幸を呼んだとしても。

 何かに押されるように、私はとうとう聞きたかった事を口にした。

 
 「・・・一十木くんが、一ノ瀬さんに、頼まれたからって・・・。神宮寺さんも、同じことを言って、私を・・・私を、ホテルで・・・。一ノ瀬さんが、自分以外と私が関係をもってほしいと望んでいるって言って・・・。」

 喉が熱い。
 乾き切って、チリチリと鈍い感触がする。沈黙が体中に突き刺さる。一ノ瀬さんの私を見る目が、いつもと違うのかどうかも判断出来ない。

 一体何十秒経ったのか、終わらないように感じられた時間が過ぎ、一ノ瀬さんが困ったように笑った。

 「頼みましたよ。」

 その、瞬間。
 
 彼が、認めてほしくないと願っていた私の祈りを打ち砕く決定的な一言を告げた瞬間。

 ゆっくりと、空気が変わったような気さえした。
 私を取り巻く空気の圧力。ぐぐっと圧縮された何かに気圧され、私は思わず胸を抑えた。

 「う、そ、です、よ、ね・・・?」

 「本当ですよ。」

 彼の声は涼しい。嘘をついているとは思えない。

 「おかしいですか。まぁ、早々褒められた趣味では無いとは理解していますが・・・。」

 そこで言葉を切った一ノ瀬さんが、どちらかと言えば笑顔で私を見た。
 決して、怒っているようにも、泣いているようにも見えなかった。分類すれば笑顔だった。落胆や悲しみはそこに存在していなかった。そんな笑顔で、彼は私に一歩近づき

 「でも君も、レンと結構楽しんだそうじゃないですか。やっぱり君は、私の運命の人です。こんなに相性がいい出会いは、もうきっと、2度と無い。君は私を愛してるのに、レンに抱かれて悦べる身体をしている。」

 少し興奮した様子で、私の頬を撫でる。

 「あれは・・・! そんな、楽しんだなんて、ちが・・・!」

 「薬を使ったそうですけど、それでも完全に意識を失くす効果はないそうですよ。だから君に素質があるのでしょう。音也もですけど、レンが君をとても褒めていましたよ。綺麗で、とてもいやらしい身体だったと。すっかり君の虜のようです。何度もしたそうですね。自分からレンのモノを嬉しそうにおしゃぶりしていたそうじゃないですか。・・・ふふ、そんな君を、次は是非間近で見たいですね。きっと、とても可愛い顔をしながらおしゃぶりしたのでしょう。」

 強烈な稲妻が背筋を走り抜ける。
 まともじゃない。甘い息を吐く彼は、まともじゃない。そんな、そんな話を口にしてうっとりするなんて。

 「私のモノである君に夢中になっている男が居ると思うと、とても興奮するんです。自分のモノが賞賛されているという実感が、私を堪らなくさせる。身近な他人が喉から出る程欲しがるモノを私が持っている。それが嬉しくて仕方がないんです。」

 炎がゆらめくような目が怖い。

 「簡単には理解されなくて当たり前ですが、誰に犯されていても君はきっと美しい。その姿を見たいし、見せたいんです。私以外の男で感じる君がどれ程までに美しいのか、想像しただけでイキそうになります。だって君は、誰に抱かれても私だけを一途に愛し続けてくれる筈です。感じながらも私だけを愛してくれている、それをこの目で見たい。信じたいんです、君の愛を。今でも信じてはいます。でもそうじゃない。何があっても私だけを愛してくれているという証拠が欲しいのです。」

 夢を見るように語る一ノ瀬さんの手が、私の両頬を挟む。
 体温が高い。目が濡れながら昂ぶっている。彼は今間違いなく興奮している。自分の奥底の特殊な片鱗を、初めて私に見せながら。

 「でもきっと、君なら解ってくれますよね。君が好きなんです。大好きな君を他の人にも褒めてもらいたいんです。君が褒められれば褒められる程、君を欲しがる男を見れば見る程、私は嬉しくて震えがくる。他の誰もが欲しがるモノを持ってるという幸せを感じられる。君を見せびらかしたい。触らせて、悦ばせて、でもそれでも結局君は私のモノだと、心の中でそいつらを笑ってやりたい!」
 

 既に私を見ていない目で、こみ上げる笑いを抑えもせず饒舌な、初めて見る普通ではない一ノ瀬さんに、首筋の辺りがサアっと冷えて後ずさった。
 
 彼はそんな冷気を奪うか如く突然噛みつき、痛みと驚きに思わず悲鳴を上げた私に掴み掛るようにキスをし、押し倒した。

 

 

 

 



  
 


 To Be Continued・・・










  


 次回第7話は、4月24日頃更新予定です。












 

Room2308 第7話

 



 
 Room2308
 第7話







 
 
 
 
 驚いたと言えば、驚いた。
 まさか僕たち3人に囲まれて、言い切るとは。

 「私は、一ノ瀬さんとは別れません。」

 おとやんは微妙にスカした目で彼女を見ていた。多分トッキーとは別れると言い出すだろうから、そうなったら強引に自分だけの物にしてしまおうと考えていたんだろう。目論見が外れて少々ではあるが、それなりに彼女にイラついているといったところか。

 レンレンは何とも言えない顔をしていた。
 それでも、「ハニーがそれでいいなら。オレはそんなハニーでも、これからも愛するよ。寧ろ、そんな一途な所が好きだね。」 などとのたまっていたが、それが本心か強がりか、はたまた、本気で楽しもうといているのかは不明。

 そして僕は。
 
 
 僕は、割と面食らっていた。

 彼女は意外な事に、トッキーに説明を求めたらしい。
 こんな大人しそうな顔して、案外な行動に出るものだ。もし僕たちが口裏を合わせて嘘を吐いていたら、自分から言わなくてもいい裏切りをバラす羽目になるというのに、そういう可能性は考えなかったのだろうか。純粋なのも善し悪しだ。

 「で、君、トッキーになんて言われたの。てか、言われて納得したワケ?」

 「納得・・・したわけではないのですけど・・・。でも、一ノ瀬さんが・・・。」

 3人の目が、彼女を一斉に見つめる。

 「どうしても、他の人としている私を、見たい、と・・・。」

 泣きそうな顔で、あちこちに視線を動かしながら春歌が絞り出した台詞に、僕ちん思わず口笛を吹きたい衝動に駆られたね。

 だってすごいじゃない。そんな希望を出されて受け入れようとするなんて、とても正気とは思えないよ。ネジが飛んじゃってるとも言えなくない彼女の理解し難い精神状態は、ある意味賞賛に値するね。

 頭オカシイでしょ。他の男とヤって来いっていう彼氏なんて、狂ってるでしょ。それをOKするなんて。

 男と女は不思議だ。
 きっと彼女は今、逃げ出したい程恥ずかしくて泣き出したいに違いない。なのに、好きな男が望むからと必死にこの場に立っている。

 愛してるって、一体どういう状態だ。どちらかのエゴを受け入れるのが愛か。だとしたら、彼女はとんだ貧乏くじを引いたものだ。自分は受け入れさせられるだけで、こちら側のエゴを、相手の男は受け入れてはいない。少なくともこの件に関しては。

 それでも良いと思えるだけの愛を今まで男が彼女に注いでいたからこその、女のこの境地なのか。だとしてもイカれてる。

 イカれてるのは僕も同じか。
 こうして同じ場所で、同じ舞台に上がっている。

 上がっている?
 いや、堕ちているのでは? 

 この舞台は、日の光も届かない真っ暗な地底にあるのでは。レンレンたちは好きな女を仮初でも手に入れられる興奮ばかりに気を取られてるのかもしれないけど、この舞台で一番のイカれ役は主役の恋人同士ではなく、実は僕たち3人なのでは。

 

 どうでもいいか、そんなの。
 
 楽しまなくちゃ損だよね。
 
 可愛くて、ヤリたいな~と思ってた女の子が居て。ところがその子はもう他の男のもので。それだけで終わればありふれたシチュエーションだったんだ。

 一盗二卑三妾えっと、なんだっけ。あーもう細かいコトはいいや、なんとかって昔から言うじゃない。一番興奮するのが他人の女とヤルこと。2番目は、自分より立場の低い女とヤルこと。

 トッキーの女。後輩の女。昔からの男の夢にどんぴしゃ当て嵌まってるっていうすごい幸運。多少突拍子も無い話すぎて信じ切れない不安はあるけど、でも一応、トッキーは本気だろうなとは判断できるし、僕も変に悪運いいから、多分面倒なイザコザの心配はない。



 彼女は約束の時間通りにやってきた。
 真面目で律儀だ。だからこんな目に遭うんだよ。のうのうと生きてるヤツ程、寸でのところであれどトラブルを回避して暮らしている。僕みたいにいい加減に生きてた方が、こうやって面白い場面で美味しい立場に居られたりする。

 そ。
 もうさ、面白いって思い込もう。これって実は僕たちが遊ばれてるんじゃ、なんて勘繰りはやめて、純粋に美味しく頂く方が絶対いい。余計なコト考えずに楽しまないとさ、なんだって、いつだって。

 僕は春歌を眺める。
 まるで怒られてるみたいに、僕たちの前で俯いて。スカートをぎゅっと握って泣きそうになっている。

 
 可哀想な春歌。
 これから僕たち複数の男の性欲を全身に浴びる。愛してるなんて気持ちに酔ってるから、トッキーから逃げ出せないんだ。でも自分が望んで逃げないのなら、好きにさせてもらっちゃおう。

 ・・・バカな春歌。
 僕は改めて彼女を見る。どこにでもいそうな、ちょっと可愛い女の子。こんな目に遭ってるなんて、きっと道ですれ違う他人も、一緒に仕事をしてる間柄にも想像できないだろう。


 「話は・・・色々しました。一ノ瀬さんの話を、全部理解できてるかどうかは、自分でも自信がありません。というより・・・理解は出来てない、です・・・。でも、・・・でも、一ノ瀬さんが本当にそれを望むなら、って・・・。」

 レンレンに聞かれて、彼女は少し考えながらも、ソコソコしっかりと答えていた。

 「へえ。それでいいの。君は本当に、それでもイッチーが君を愛してるって思ってるの。それと、君はそれでもイッチーを愛せるの。そんな、他の男とヤってみせろなんて言う男を。」

 「・・・はい。」

 その返事を聞いたレンレンは、微塵も表情を変えなかった。

 一方ではおとやんが、呆れたように首を後ろに傾げる。それでも暫くして首を振り、顔を上げた彼は、笑いながら立ち上がった。

 「おっかしい!」

 吐き捨てるような言い方だったけど、吹っ切ったような明るい声だった。
 
 きっと皆迷っていたんだ。心のどこかで。一足先に行動に出たこの2人も、何処かで僅かな引っ掛かりを感じていたんだろう。でもきっと、それでもトッキーを選んだこの子の判断がその引っ掛かりを外してしまった。

 「はぁ。トキヤ、本当におっかしいよね。自分の彼女マワされて悦ぶとか、まあ、俺たちはラッキーだけどさ。」

 「・・・。」

 更に顔を赤くし、春歌が俯く。
 そんな彼女を、おとやんが強引に抱き寄せた。

 「おとやくん・・・!」

 「ゴチャゴチャ言ってないでさっさとしようよ。トキヤが楽しみに待ってるよ。君が、俺たちに抱かれて嬉しそうにイクところ、見せてあげたいんでしょ。」

 あーあ、悪い顔。
 無邪気で天真爛漫なアイドルの顔がどっかにいっちゃってるよ。まったく、おとやんのこういう根っこの腐った部分、意外と好きなんだよねえ僕。

 なんて、可愛い後輩は後輩でも、なんでか男の後輩の方の顔をマジマジと見ていた少しの間に、春歌がショーツ1枚にひん剥かれてた。おとやんの仕事の早いコトといったら。

 彼女の身体には、無数の赤い跡があった。
 それこそ首から腹から太腿から、ものすごい数だ。僕が付けたあの印しに煽られたのかな。僕の付けた跡よりたくさんつけてあるっていう競争なのコレ? ウケる。


 「ほら、ベッドに座って。脚広げて俺のこと誘ってよ。それくらい出来ないと、トキヤも興奮してくれないよ。」

 ・・・すご。
 この状況を目一杯楽しもうって意気込みは、おとやんが一番すごいなと、その時の僕ちんはただ感嘆した。

 「早く。こないだみたいに乱暴にされたいの?」

 「イッキ。ハニーを怖がらせないでくれ。」

 一瞬怯えたような顔をした春歌の腕を、レンレンが取る。
 そして取られまいと一層春歌を抱き込むおとやんの、むっとした不機嫌さが伝わる。

 「はぁ? 何言ってんの。ここまできて焦らしてる方がおかしいだろ。」

 「だからって、彼女を怖がらせる必要はないだろう。ムリヤリは良くない。」

 「あのさあ、さっきの話、レンも聞いてたよね。春歌が自分でここへ来たってコトは、俺たちとヤリに来たってコトじゃん。それをなんで勿体ぶられなきゃなんないの。」
 
 「こらこら喧嘩しないのー。みんなで美味しく分け合おうよ、ね。」

 何やら雲行き怪しくなりそうだった2人の間に割って入り、僕は春歌を振り返った。

 「君、心を決めて今日ここに来たんでしょ。だったらおとやんの言う通り、焦らさないでほしいなあ。僕たちは協力してあげるんだから。ほらおいでよ。」

 いきなり僕が緩く制したせいで、ふっと気を抜いたおとやんの腕から春歌を奪い、壁に作り付けてある姿見鏡の前に立たせ、後ろから羽交い絞めにした。

 「ちゃんと前見て。あーあ、春歌ちゃんのおっぱいが、僕ちんにこんな風にされちゃってるよー。」

 「や・・・!」

 「やじゃないのー。鏡でイヤがってちゃ、トッキーに見せるなんて芸当、出来ないでしょ。慣れなきゃ、ね。ほら、こっちはこんなにピンピンになっちゃってる。胸が感じやすいんだ。」

 「ダメ、やめてくださ、やめ、あ、やめ、て、あ。」

 「やめなーい。だってまだ僕ちんだけヤってないもん。なので、今日は僕から。いいでしょ2人とも。」

 崩れ落ちそうになる彼女を下肢で支えながら、顔だけ2人を振り返る。
 勿論、2人が断れない空気を存分に出した笑顔で。

 「・・・ブッキーだけまだなのは確かだからね。いいよ。でも、あまり苛めないでやってくれないか。」

 「だーいじょーぶー。おにーさん優しいから。これも春歌ちゃんとトッキーの為だから。」

 レンレンはソファーに座り、早くも鑑賞モードに切り替えたようだ。
 おとやんも、ちぇーと言いながらも抗議はせず、レンレンの隣に腰を掛けた。でっかいソファーは、大の男が間をあけて偉そうにぶっ座っても余裕があった。後であっちのソファーで3Pしようかなとか考えながら、遠慮なく春歌の胸を思いのままに捏ね天辺を弄り、首筋を舐め回した。

 2人分の視線が刺さる。
 ヤバイ。これ、ちょっといいかもしんない。見られるのが仕事の僕でさえ、今までこんなシーンを他人に見せる時はなかった。これはちょっとヤバイ。作られたステージと違い、素のままの自分の性行為中の他人の視線という刺激は、実際体験すると想像以上だ。ゾクゾクする時のそのゾクゾクのレベルも種類も違う。

 全身が映る鏡の前で腰をふらつかせて、春歌が半泣きで喘ぐ。
 その口を塞いで、割り込ませた舌で息まで吸い上げる。トッキーの為にと思いつつ思い切れてない上に呼吸も自由にならず、彼女はもうほとんど軽く頭が真っ白だろう。何をされても抵抗の前に捻じ伏せられる。やっとモノに出来る。嬉しい、素直に。

 「おとやん、そのスツール取って。」

 「これ?」

 「そ、こっち頂戴。」

 おとやんが、皮張りの大き目なスツールを、言われた通りこちらへ持ってくる。その間も僕は春歌のショーツの上から、湿った箇所を強めに撫でていた。
 もう目を閉じて短く息を継ぐだけになった春歌に、スツールへ手を着かせる。中腰で、僕に向けて尻を突き出すような恰好になった彼女を引き寄せ、自分のモノを取り出しながら言った。

 「今から僕のが入るよ。ちゃんと感じて、ね。」

 ショーツのクロッチ部分をずらしただけで、入り口に性器を擦り付けたら、問題なくにゅるりと襞に埋まった。

 「あ、や、ぁ!」

 「ああ、これならすぐ挿いるね。いくよ。」

 にちゃりと音がする。
 肉感のある水の音は淫靡だ。彼女がよっぽど感じていたのか、僕のモノがすんなりと埋まっていく。

 「ああああああああ、ああああっ。」

 皮のクッションが軋む音がした。
 
 「あ、あ、やめ、だめなの、奥までダメ、ああああ、ああ、ああああっ。」

 「奥まで届かないと満足できないでしょ。もうココが一番、奥、かな・・・!」

 「んひぃ、ああっ!」

 爪先立ちの膝をガクガクさせて、春歌が甲高い声を上げた。

 「うわぁ、嶺ちゃんのが入ったら、全身がピンクっぽくなった、すごいや。」

 おとやんが呟く。
 僕はそんな彼に笑いかけた。

 「もっと近くで見てあげなよ。それに、色々触ってあげて。」

 「え、いいの。」

 「言ったでしょ、みんなで、美味しく分け合おうよってさ。レンレンもおいで。」

 僕は後ろから手を伸ばし、春歌の前髪を掴んで顔を上げさせると、耳から顎にかけたラインを舐めながら囁いた。

 「たっぷり躾けてあげるよ。トッキーの前で僕に抱き付いて強請る、どうしようもない女にしてあげる。嬉しいでしょ。」

 「ぁ、や、や。」

 「やじゃないでしょ。」

 おとやんとレンレンが近づいてきて、春歌が、何をされるのかと身構えたように体を一瞬ヒクつかせた。

 意外なコトにおとやんではなく、レンレンが春歌の顎に手を掛けたのを確認した僕は、彼女の腰を掴み直すと一旦モノをずるりと引き抜き、また一気に勢いよくぱんっと押し込んだ。

 「ぁはあっ!」

 「イヤ、じゃなくて、躾けてくださいお願いします、でしょ。ほら、言いなよ。」

 「ハニー。嶺ちゃんの言う通りにいい子で言えないような口、オレのこれで塞いでしまうよ、いいの。」

 ああ、もう彼も吹っ切ったのか。
 そうだよね、そうじゃなきゃ。1人だけいつまでも紳士ぶっててもしょうがないもんね。

 「いいんじゃない、言ってもきかないんだったら、身体に教え込まないと。」

 「あああっ、やめ、激し、やめ、あ、やあ、あ。」

 首を振りながら春歌が悶える。
 僕は何度も抜き差しをして、わざと答える余裕を奪ってやる。

 レンレンが無表情のまま、春歌に尚も迫る。

 「言わないと、オレのを全部飲ませるよ。」

 「ああっ、い、言います、言いますから、あっ、んん!」

 僕は突くのを止めた。
 おとやんは横から面白そうに眺めている。

 「早く言って。」

 「は、あ、…し、躾け、して、ください・・・おねがい、し、ます・・・。」

 震えながら、か細い声で春歌がそう告げた途端、僕は全身がぶわっと何かで逆立ったような気がして、めちゃくちゃに彼女の中を犯し始めた。

 「ひいっ、やあああ、あ、あん、あん、あ、んんん、ん、んぐ!」

 「ハニー、ちゃんと奥まで咥えて。そ、喉も使ってね、締めるんだよ。」

 「うわーレン、ひどいじゃん、言ったのにおしゃぶりさせてるじゃん。」

 おとやんの声、完全に楽しんでる。
 レンレンもさっきまでは微妙に袖に隠れてたけど、やっと舞台中央に登場したって感じだ。役者が揃い、この部屋という舞台装置は同じなままでも話は佳境。そんな感じだ。
 

 「お願いされたからね。ちゃんと躾けてあげないと。これをしゃぶってないといられない位に、してあげようかなってね。・・・すごく、可愛いから、こんなコトされてるのに。」

 最後のレンレンの言葉は、なんとなく真面目に考えなきゃいけない部分だって気がしたけど、僕は無視して快楽を貪った。

 「2人同時に春歌の中に出してよー。そうゆうの見たい~。」

 そう。
 この、おとやんの無邪気な悪魔のようなこの声こそが、今この場に相応しいと腹の底から、思えたから。














  To Be Continued・・・









 




  次回第8話は、5月10日頃更新予定です
  
  ※思いがけない多忙が続いて更新がちょっと遅れる事があって申し訳ない・・・でも、それでも訪れて下さる皆様に感謝しています。最終話まできちんと頑張ります。














 

 

 

 

 

 

 

Room2308 第8話




 
 
 Room2308 
 第8話



 


 

 

 苦しいと思ったけど、それすらすぐに快感が掻き消した。
 
 快感は連続すると苦しみになった。だから、どこまでが気持ち良くて、どこから辛くて、呼吸がおかしい原因が何なのか境目がなくなった。

 大体が、時間も判らない。
 大分経ったのか、どうか。

 「あー、それじゃあ入ってるのがイマイチ見え辛いかなあ。えっとお、もうちょっと春歌の腰を浮かして。」

 一十木くんの声が、やけに冷静に響く。
 それに答える寿先輩の声も、まるで行為の最中とは思えない位に、普段着の声で。

 「こう?」

 「ああ、ああっ。」

 「あはは、動かすとイイトコロに当たるみたいだよ。声出しちゃってる。春歌、そのまま自分で腰振ってみてよ。そ、そうやってちょっとお尻突き出して、俺の位置から出し入れがちゃんと見えるようにね。いいね~飼い主にじゃれついてる犬って感じするぅ。」

 一十木くんは裸で、ジュースを飲みながらソファに踏ん反り返って、私にまるで演技指導のように指示を出す。
 演技指導のように、ではなくて、これは本当に演技指導の一種だったと、そんな部分を真面目に考える。

 「トキヤに見え易い体位覚えないと、ダメだからね~。」

 そう。
 一ノ瀬さんに見せる為に、その為に私は、一ノ瀬さんではない男の人とこんな行為をしているのだから。彼らは、私と一ノ瀬さんの愛の確認につきあってくれているんだ。

 「イッキ、顔も見えた方がいいんじゃないか。だからやっぱり仰向けにさせようか。」

 「そうだねーうーん・・・。ずっと嶺ちゃんにしがみついてるのも、結構気に障っていいかなとも思ったんだけど。」

 「意外に意地が悪いね。」

 「レンほどじゃないよ。春歌が声も出なくなってるのに後ろからガンガン突きまくって、見ててマジで壊す気かと思った。」

 2人はもう、散々私を好きなようにして満足したのか、寛いでいる。
 
 寿先輩が最初に一度私を犯した後、神宮寺さんが、それまでの彼とは別人みたいに私を抑え付けた。立て続けに2度目を始められた時、私はもう声が掠れてしまっていた。

 その時は、3人とも気が触れているかもしれないとすら思った。
 でも神宮寺さんに揺さぶられながら、こんな風になっているのに冷静に相手を気が触れてると感じる自分こそが、気が触れているとも考えた。

 そして今また、寿先輩に貫かれている。



 声が辛くなったのは、喉を物理的に押されるせいもあるかもしれない。
 これをつけて、どれ位時間が経ったのか。

 
 「ハニー、オレのとブッキーの、どっちがいい?」

 一番最初に寿先輩と交代した後すぐ、神宮寺さんが低い声で問いかけてきた。
 ガツガツと腰を動かして、一番奥を容赦なく突き上げる彼に、答えるどころではなかった。

 「いや、や、わかんな・・・あっ!」

 「言ってよ。」

 「レン~。これ使おう!」

 その時、空気を読まない声で一十木くんが私の顔を上げさせ、目の前に、「これ」 を突き付けた。一度私の中に放った後、神宮寺さんに私を放り出した寿先輩がそれを見て調子の良い声を上げ、撮影するにはいい小道具だね~と言っているのが聞こえて、私の肘がガクガクと震え出した。

 私の崩れそうな四肢を見て、一十木くんが笑った。
 その顔は、色が無いのに勢いだけが強くて。

 「俺たちのペットにされてる春歌ってコトで。トキヤ、絶対に興奮してくれるよ!」

 「どっから首輪なんて持って来たんだい。イッキ、用意周到だね。」

 「や・・・め・・・。」

 言葉も続かない。やめてという三文字が。
 声も枯れていたけど、でも、一瞬過った考え。

 一ノ瀬さんがこれを付けた私を見て悦んでくれるかもしれないと。チラリとでもそう思ったら、拒否仕切れなかった。

 どうしてそんな風に思ったのだろう。
 一ノ瀬さんの話を聞いた時は、信じられない気持ちで居たのに。彼の愛すら疑ったのに。

 私はもう、おかしくなってしまっていたのかもしれない。
 でもそれはきっと、一ノ瀬さんのせいじゃない。

 首輪に繋がる鎖を手持無沙汰に動かして、神宮寺さんに犯される私を見る一十木くんの目は、普通の目じゃなかった。でも、きっとそれも、一ノ瀬さんのせいじゃない。

 誰のせい?
 私のせい?

 私が、彼の望みを受け入れたくて。それで彼らを、ここへ引きずり込んだの?

 そんな疑問が頭を翳める中、神宮寺さんが激しく中を漁る動きだけに呑み込まれていく。瞼の裏まで窓の外の夜景が広がるような錯覚。カーテンを閉め切ったこの狭い部屋で見る、見える筈の無い毒々しい都会のネオン。


 熱い液体がゆるゆると体の内側に注がれる感触に放心する暇もなく、首輪が引っ張られた。ぐいっと革が喰い込むけど、太さがあるせいかあまり痛いとは思わなかった。

 「ほら、次は嶺ちゃんだよ。早く。」

 一十木くんは容赦が無かった。

 「待ってよイッキ。オレのこれ、綺麗に舐めさせたいんだけど。」

 神宮寺さんも、最初の頃のような優しい雰囲気ではなくなった。
 でも、あれは優しさではなくて、臆していただけだった。今はそれが判る。

 彼も、好きだとか何だとか色々言っていたけど、でも結局は、私の身体で満足したかっただけなんだ。だからこうしてここに最初から居るんだ。だけど責められない。私だって変わらない。一ノ瀬さんの為とか綺麗言なだけだ。普通の女性ならそんな理由があっても自分から他の男性に抱かれに来たりしない。

 私はおかしい。

 そんな私が、言い訳の出来ない世界に身を置きながら体裁を取り繕っていた神宮寺さんをどうして責められる?

 皆そうだ。
 
 自分が選択した結果の中に身を置いているのだ。
 例え流された故だろうと、流されるという選択をしてその場に居るのだ。

 私も、よく解らない、一ノ瀬さんの言っている内容が理解出来ないと言いながら、でも、彼らに身体を開いている。それは単に一ノ瀬さんの話に対する興味だったのか。一ノ瀬さんに嫌われたくなかったのか、結局は一ノ瀬さん以外の男の人の魅力にも惹かれていた部分があったからなのか。

 解らないけど、選んだからここに居る。
 体中に恋人以外の男性の跡を付けられて。

 ぐいっと、口に神宮寺さんの性器を押し付けられる。

 「ほら口を開けて。全部ハニーに吸い出してほしいな。それから丁寧に舐めて。」
 
 口を開けるのも力が要った。
 これもきっと撮影されている。もう目が開かないけど判る。
 
 「あ、そっか。嶺ちゃんいい? レンのキレイにする間、2回戦開始は待っててくれる?」

 「もっちろ~ん。一回出したからちょっと満足してるしー。それよりハイッ、後輩ちゃんコッチに顔向けてー。あーダメだ、力が入んないみたい。レンレン、ちょっと春歌ちゃんの顔、こっちに向けて、そそそ、咥えさせてから、どんな顔してしゃぶってるか解るように・・・そーそー! いい感じ! 首輪もバッチリー。」

 「あはは、AV撮影なのこれ?」

 一十木くんの笑い声が乾いていた。
 
 彼も、私も、そしてきっと他の2人も、喉がカラカラだと思う。前のめりになりながら堕ちている今に充満しているのは、どろどろに淀んでいるのに体中の水分を奪っていくような狂った空気。

 水分を奪うというか、潤いを奪っていく感じ。大事な何かを、根こそぎ剥がしていかれる感覚。

 理性はガラスみたいと想像をしていたけど、違った。
 
 今までその言葉から想像されたものは透き通ったような硬い感触だったけど、違った。人として大事なものは、やはり人らしく瑞々しかったのだと、その時、私は初めて強くそう思った。だから理性が消えたら、こんな汚泥の沼で溺れる。這い上がる正気さえ奪われる。

 今ここに、サラサラと心地よく冷たい水気は一滴もない。

 熱くて粘ついた、欲と非日常しかない。

 「ほらハニー、後でこれを見るトッキーの為にカメラ目線して。オレのがどんな味なのか教えてあげなきゃダメだろう。」

 「う・・。」

 頭を動かされ、ずるりと口から彼のモノが半分以上抜け出る。
 顎が痛い。

 「舌出して。オレのが美味しいって、言ってごらん。」

 首を横に振りたくても、がっちりと大きな手が頭を抑えている。

 「後輩ちゃーん、言わないと、お尻の方も僕たちが好きにしちゃうよ。いいのかなー。」

 「・・・! や、やめて・・・!」

 一ノ瀬さんにも触れられてない場所を示唆されて、私は怯んだ。咄嗟に目が彼らを捉える。
 そんな私が面白いのか、ニヤニヤしながら何かを取り出そうとした一十木くんに不安を覚え、私は観念した。

 言われた通りに舌を伸ばし、下から上へ、神宮寺さんの大きなモノを舐めあげた。

 「・・・美味しい、です。神宮寺さんの、お○んちん、とっても、美味しくて、大好き、です・・・。」

 顔から火を噴きそうに恥ずかしい。
 頭の中が沸騰して周りの景色が消える。心と裏腹な興奮が体温を上げていく。恥ずかしいだけの言葉を言わされただけなのに、熱湯を鋭利な針で打ち込まれたように血が変わる。

 堕ちそう。

 もう、このまま、一ノ瀬さんがどうとか理由が要らなくなりそうに堕ちそう

 「それだけじゃダメだなー。もっとトキヤを煽ってよー。」

 一十木くんの要求はどんどんエスカレートしていく。
 カメラを回す先輩は、それを肯定しては楽しんでいる。

 神宮寺さんはもう、一切私を気遣う様子がなかった。
 
 私は言われるまま、神宮寺さんの大きなモノを舐めているのが解るように舌を長く伸ばし、カメラに向けて四つん這いで高くお尻を上げ、自分の手で秘所を拡げた。

 「ほら、イッチーが見てると思って! ていうか本当にコレ見せるんだから、ちゃんとイッチーに向かって言うんだよ~。」

 寿先輩の言葉には熱があった。異様な熱。ざらついたコンクリートのように、叩きつけたらボロボロと表面が毀れそうな組織で編み込まれた異質の熱だった。

 熱い液体が太腿に垂れ落ちる。
 その熱さに操られるように、口を開いた。

 ずっと一ノ瀬さんに抱かれて、時に彼の望む言葉を言わされたりした。それを思い出し、紡ぐ、これを後で見るだろう彼への誘惑。

 「一ノ瀬さん、見て下さい。ココに、神宮寺さんの精液、いっぱい出してもらいました・・・。春歌は気持ち良くて、神宮寺さんのお○んちんで、いっぱいイキました。今から、神宮寺さんの精液、先輩のお○んちんで掻き混ぜてもらうから、見てて、一ノ瀬さん・・・。」

 意を決して言った瞬間、私を取り囲む3人の体の内側が鈍い音を立てた気配がした。
 ぐにゃりと歪んで部屋を包む温度が揺れた気がしたのだった。

 温度は、熱は、揺れないけど。
 でも、そんな風になる筈の無い物がなったと確信した事だけは、ハッキリと覚えている。

 それからずっと私は、こうして寿先輩にしがみついてないと崩れてしまう程、寿先輩に貪られ続け摩耗したまま、その姿を一ノ瀬さんに見せる為に、撮影され続けていたのだった。

 卑猥な台詞、見せつける目的しかないような姿勢で、ずっと。恋人の為に、恋人以外の男と、恋人ともしないような真似を、ずっと。それが恋人の望みだという掌から滑り落ちそうな信用ままならない真実だけを拠り所にしながら。


 「あー出る、もう僕ちん出るっ。もう何発目かわかんないっ。」

 寿先輩の声が遠い。
 もう何回目か判らない下腹の熱が遅く寄せる波のようにじわあっと拡がっていく。

 「あっ、・・・んもう~、仰向けにするって言ったのにー。嶺ちゃんガマンがきかないんだなーもう。」

 「しょうがないじゃないか。無茶振りばっかりするね、イッキは。」

 
 誰も、目的なんて覚えていないみたいに目の前の肉塊に夢中だった。

 私を好きだと言ってくれた彼らの、その好きだという気持ちもどこにも今は見当たらないと思った。

 そう。

 一ノ瀬さんを好きだからという、その私の一番大事な理由すらもそこにあるようには見えなくて。何処へ辿り着くつもりでいたのか、私はただ彼らに身を任せ、最後は逃げるように気を失ったのだった。

 

 






  
 To Be Continued・・・











  

 次回第9話は、5月23日頃更新予定ですが、遅れる可能性大ですが頑張ります!






 

Room2308 第9話


 



 

 Room2308
 第9話
  









 

 楽屋というのは不思議なもので。
 本来出演に際しての準備、自分の出番までの待ちの為に使う。

 ただ、人と人が往来する場所ともなりえる。

 サラリーマン社会でも大概はそうらしいが、この世界でも人脈は重要だ。縁あって共演となれば、その縁を強固にする為、楽屋を交流場所の一つとする場合もある。

 私のように中途半端であっても新人はこちらが出向く側だが、大物になればなる程、挨拶に訪れる仕事関係者などが増える。

 それ以外にも、分刻みのスケジュールをこなす人気時には、各種媒体のインタビュー仕事を済ませる場所ともなる。

 テレビ番組などでしばしば楽屋訪問、などと謳い、支度中で私物が散らばったドレッサーテーブルの上を披露したりする。そうなると楽屋は仕事場でありながら、タレント個人の嗜好を持ち物で推測できるプライベート感ある場所となる。これがファンにとっては中々嬉しい企画のようだ。

 
 それでも普通は、こういう使い方はしないだろう。
 当の楽屋の正当な使用者が出番に向けてスタイリングに余念の無い横で、セックスをするなど。

 

 そう、普通は。

 普通ではないのは私で、その私が今日この楽屋を使用している以上、この空間の普通は世の中のそれとは変わるという事なのだろう。

 鏡に映る愛しい恋人の白い尻に這うのが、一応友人である男の手だとか、世間では普通ではないと言われるだろう景色でも、意外に目で楽しむ範囲は広い。

 

 事前に連絡は貰っていなかった。

 たまたま同じテレビ局で仕事をしていたレンが私の局入りを聞きつけ、陣中見舞いにやってきた。次のスタジオに向かうまで多少時間があいたとかなんとか聞いてもいない理由を話し、最近人気だというメンズ用ヘアフレグランスをくれた。どうやら次の彼の仕事は、この商品のCMらしい。


 「テスターサイズだけど、ひと月分位はあるんじゃないかな。まぁ、香りがお気に召すかどうか判らないけど。」

 
 彼は気が向くとこうして私の楽屋に顔を出し、適当に時間を潰して行く。
 音也と違うのは、手ぶらで来ない所だ。何かしら持ってくる。菓子類は気を利かせているのか持ってきたコトがなく、大抵はこの類のサンプル品だ。

 使った感想を聞かれた事は無い。
 私も、使った事は無い。どうでもいい話だが。


 少し遅れて、春歌がやってきた。
 競争心なのか単に気に入らないのかしらないが、彼女が私に手作りのお菓子を渡し微笑んだ途端、レンが強引に彼女を引き寄せ、キスをした。

 
 私はそれを黙って見ていた。

 必死に春歌の唇を貪るレンに吹き出しそうになるのをこらえながら。

 彼の目に、私はどう映っているのだろうか。
 恋人を寝取られた惨めな男として認識されているだろうか。それもまたゾクゾクする。自分の趣味嗜好がまともだとは思っていない。だから構わない、どう思われようと。寧ろそうやって蔑んで上に立った気で居てほしい。

 
 春歌が甘い息を洩らし、レンの手が彼女の胸を強く掴む。


 もう何度見たか解らない。
 こんな風に楽屋やその他で、レンや音也や寿先輩が、春歌を間違った愛で方で私に見せつけるショー。自信タップリの男が私の春歌を無様に欲する様は、いつ見ても腹筋を刺激する、これ以上ない喜劇だ。

 
 僅かに抵抗する春歌がスカートのホックを外されて、自分でストッキングを脱ぐようにレンに命じられた時には、私はもう鏡に向き直り本番に向けてのメイクを始めた。

 

 レンが、わざと音をたててするディープキスに、春歌はすぐに手折れた。はっきりと見ていなくても衣擦れの音で、彼女がレンに倒れ込んだのが判った。息苦しそうに喘ぎながらするキス。彼女の頭の中はもうほとんど真っ白だと思う。愛する私の前で、レンに、恋人同士でもしないような濃厚なキスをされて虚ろになってる彼女の気配が、背中に奇妙な昂揚感を這わせてくれる。

 これから本番に向かう私にとって、これ以上ない気持ちの持って行き方。
 精神的なタフさが要求されるこの仕事で、一種麻痺した神経で舞台に出るのが、実は一番客も自分も楽しめたりするのだ。

 
 「ねえハニー、見てよ。あいつ、ハニーがこんなになってるのに、涼しい顔して支度してるよ。冷たい恋人だね。」

 「ん、あっ、ちがっ・・・一ノ瀬さんは、ああして、舞台に臨む準備を、ああっ。」

 
 私の可愛い彼女の、いやらしい部分が出す粘着質な音。
 
 あの音は、大分濡れているんじゃないだろうか。私が素っ気ない態度で支度をしているせいで、彼女を悲しませてはいないだろうかと不安だったが、要らぬ心配だったようだ。


 「あ、ああ、一ノ瀬さ、ん・・・、ああっ。声、聴かな、で、っ・・・ひあああん、あんっ。あーあっ。」

 「折角オレが気持ち良くしてあげてるだから、酷い恋人なんかに神経向けてないでよ。ほら、ね。オレを見て。」

 「ああぅ、だめです、そんなにっ、ああっ、ああん、あんっ、あん。」

 「ん、そう・・・そうやって、頭真っ白にしちゃって・・・オレが、すぐにイカせてあげるからね・・・ここ、指で撫でてあげる。」

 「あーっ。」

 
 彼女は、あの小さな芽を刺激されると済し崩しになる。
 少し触れただけで感じすぎるくらいになるから、そっと撫でる程度でないと刺激が強すぎるのだ。それをちゃんとレンは判っているのだろうか。

 判っていないに違いない。
 
 彼女は本当に気持ち良くて蕩けている時は、あんな金切り声で喘がない。あれは、味も食べ頃で見た目も最高に瑞々しく、完璧なまでに色づいた熟れた果物を潰すような真似をされているだけだ。

 そうじゃない。
 私の愛しい女性は、私が優しくそっと、壊れ物を扱うように丁寧にあの部分を舌で愛でるだけで呆けた顔を晒して達するのだ。

 それが出来ないクセに自分の女気取りのレンは、なんと愚かしい事か。
 ああやってひいひい啼く春歌に満足しているかと思うと、腹を抱えて笑いたくなる。力を入れずとも、あんなにがっつかなくとも、彼女は美しく達するというのに。


 

 衣装やヘアスタイルのチェックを終えて、私は鏡の前から立ち上がった。
 
 さっきまで肌がぶつかる音と、私の愛する可愛い女性の喘ぎ声がこだましていたが、今は濡れた空気だけがその辺りに残っていた。

 
 肩を上下させながらグッタリしている春歌に近づく。
 スポーツで一試合終えたようなすっきりした顔をレンが、私を見た。その、私を人とも思っていないような目を気にせず、そっと春歌の頬を撫でた。

 
 それだけで、春歌がびくりと身体を痙攣させた。

 
 そう。
 
 本当に愛している男になら、私になら、特別敏感な場所など触れられなくても、たったこれだけで、瞬間的に私の手に収まるのだ。

 それが出来ないクセに、手に入れた気になっているレンの思い上がりが可笑しくて堪らない。
 
 私と彼女が、心の真に深い部分でどれ程繋がっているか解ってない。私のこの呪わしい特殊な欲求を満たす為に使われているだけだというのに、間男にすらなってないというのに。

 
 漲る優越感。
 攻撃的且つ余裕がある高揚した落ち着き。

 
 これだ。
 これで私は、今日もアイドルとして最高のパフォーマンスが出来る。他では手に入らない至宝のスティミュラント。手放せない。罵られようと蔑まされようと。

 
 「一ノ瀬さん・・・。」

 
 ぽーっとした顔で春歌が私の名を呼んだ。
 レンの目の前で、唇を食み舌を舌でくすぐってやる。甘えた吐息で私に擦り寄る彼女を、レンがぐっと自分に引き戻した。


 「レディ、だめだよ、イッチーはもう仕事だ。」

 嗚呼、可笑しい。
 目の前で徹底的な敗北を味あわせられたから、苦し紛れの常識を口にして私を遠ざけようとするなんて。

 ここに、私たちに、世間一般と謳われる常識など最早無いのに。

 
 「いやぁ、一ノ瀬さん・・・。」

 
 快楽にすっかり魅了されて、レンの腕を振り解こうとする力もまったくないような春歌。
 そんなどうでもいい抵抗すら許し難いのか、レンが益々彼女を抱きしめる。私はそれを見るといつも同じ歓喜に身を染める。


 私の女がそんなに欲しいのかと。

 勿体ないが、慈悲で貸してやっているではないかと、心の中で吹き出す。

 
 しかし、顔に出したら失礼というもの。
 こうして私たち恋人同士が盛り上がれて、私のアイドル活動にもプラスになる事に、レンは友達という名のもと付き合ってくれているのだから。

 
 「ダメですよ、レンの言う通り、私はもう行かなくてはなりません。いい子で待っていて下さい。ね、レンが一緒に遊んでくれるようですから。」

 
 笑い出しそうだ。
 大声で。腹を抱えて。

 
 「そうだよハニー。オレが居るだろ。」

 レンが真顔だった事にとうとう堪え切れなくって、私は足早に楽屋を出た。
 揺れる肩が収まるのを待ち、手で顔を覆い、周囲に口許がバレないようにしながらスタジオへ向かった。

 

 
 

 撮影が無事に終わった。
 戻ってきた楽屋に居たのは、尊敬できる部分と出来ない部分の落差が激しい先輩が一人だった。
 


 「おつかれちゃーん。」

 
 「寿先輩・・・お疲れ様です。」


 軽く会釈をして鏡に座り、一息吐いた私を覗き込む彼の目。

 戻ってきた時には、すっかり世間でいう普通の楽屋になっていると予想していたが違った。
 それは何故かと思いながら帰り支度を始めたけれど。


 先輩の顔をちらりと見遣る。

 
 「ん? なぁにトッキー?」

 
 「いえ、別に。」


 そうか、これだ。

 佇んでいたのが、人のカタチをしていながら、人では無い目をしているから違和感があるのだ。この楽屋が元に戻らなかったのではなく、この楽屋はさっきも、今も、何の変哲も無い楽屋なのだ。そこに居す者が異質なのだ。

 さっき居たのは可憐な花と、吸い寄せられて逆に花弁に羽を取られた哀れな虫螻だった。今居すのは、神と祀られながら人を喰らうというあれのようだ。名前がすぐに出てこない、何と言っただろう。

 
 「ねえ、明日さ、久しぶりに5人で遊ぼうよ。あの部屋予約したから。」


 あの部屋。
 
 最初に私の欲望が現実として春歌の前に姿を現したといえる2308号室。

 あの部屋も、ただのホテルの一室なのだ。
 なぜかいつも豪華さに虚無を覚えていたがそれは違ったらしい。奇妙な部屋だと思っていたがそうじゃない。あれ自体はただの部屋だ。奇妙なのは、私たち。目の前のこのヒトの風体をした異物。私がこの世で愛し縋り癒されるただ一輪の花。そしてそれに群がり蜜を貪る虫共。そして何より、私自身。


 口角を上げた先輩の、眇めた目を見る。

 
 嗚呼、やはりそうだ。私の見つけた答えは正しい。
 今日の彼は、鬼の方だ。今はまだ、半分だけ鬼。

 
 「・・・構いませんよ。」

 「おっ、けー! じゃ明日、2308。夜7時に。」


 彼は軽く手を振って、笑顔で楽屋を出て行った。

 
 あれは夜叉だ。
 
 そう。
 あの目は、夜叉の目だ。
 祭祀と祈祓の両方を秘めた、鬼神の目だ。

 ならば私は。


 「・・・くだらない。」

 
 笑えない。
 この最低の舞台で這い蹲って踊る面々に、何の差も上下関係もありはしない。

 私は肩を竦めると手早く荷物を整え、春歌がまだ火照り静まらぬ身体で待っているだろう家へ急いだ。




 
 

 



  To Be Continued・・・・








 

 次回第10話は、7月5日までに更新予定です。







 

Room2308 第10話








 

 Room2308
 第10話



 




 

 「ひ、・・・ぅ、ぁふ・・・・。」

 
 大きく脚を開かせたまま縛り上げたので、当然春歌は動けない。
 剥き出しになった小さな芽も尖り、ぱくぱくと動く壺の口が卑猥だ。

 見られるだけで小さく善がる。可愛くて可愛くて仕方がない。可愛いからこそ、つい意地悪をして、指で強めに芽を摘み刺激してしまう。


 「あああああああああああっ。」

 仰け反るも限度がある。
 何の躊躇もなく快楽に身を任せている声が心地良い。同じような悲鳴めいた声でも、レンが上げさせていた声とは明らかに違う。

 彼らは気付いているのだろうか。
 
 彼女が、心の何処かで自分たちを拒否しているのを。僅かすぎて本当に目を凝らしても判らない位の拒否の意を。イク時も、キスをする時も微妙に遠慮をし自身を解放し切らない春歌の私への操を。

 

 この世の中は理屈では割り切れないモノで出来ていて、そして私はきっと、世間一般から外れた精神の持ち主なのだろう。

 とは思うが。
 そうは思うが、では一体どれほどの人間が俗に言うまともな神経の持ち主なのだ。

 私とて、社会的常識を持ち合わせている自負はある。それどころか、事務所の中では事務方に就いてもそこそこヤリ手と言われる成績を残せる自信がある。会社組織という名の元で役割を理解した上で功績を残すだけの技量。自分のそれに不安はない。

 社会の中で上手く機能していればそれはまともだと言うならば、私はまともだ。
 
 自分の愛する女を他の男に貸し出して、それでも私を愛し続ける彼女を見る至上の悦び。それに愉悦を見出せない方が物事を一端から見てない、多角的な思考に欠けている凡人だと思う。

 ああ、そうか。
 
 凡人であるのがまともだという事なのかもしれない。だとしたら冴えた感覚を持った者は成程確かに、今のこの現代社会では排除される対象となっているといっても過言ではない。

 
 ぼんやりと考え事をしていたら、目の前の肢体からぱしゃんと水が垂れた。


 「は、ぁあ――――・・・。」


 だらしなく溜息が漏れる口も、可愛い。


 「ああ、申し訳ありません、お漏らしをさせるつもりはなかったのですが・・・君に見とれてついつい考え事を・・・。」


 私が簡単に謝罪を述べている間にも、ショロショロとそれは流れ続けた。
 唇が震えた状態で、目はもう焦点があっていなかった。この姿が美しいといつも感嘆する。私の前で白痴となる彼女は本当に綺麗だ。

 

 だって、私の前で総てを曝け出した証拠だから。
 
 何のブレーキも掛けずに私の愛に身を任せた結果の放尿。それが止められない程に痺れた脳で、私と一緒に居るこの空間だけが今の彼女の世界の総てであるなんて。

 この至福。

 あれらには判るまい。


 「ご、めん、な、さ・・・あ、あ・・・。」

 「まったく。お漏らしで感じるようになるなんて、女性というのはどこまでも貪欲なのですね。」

 
 フローリングの床に溜まった液体を、適当にタオルで拭い、それを洗濯機に放り込む。その間も春歌は、熱に浮かされた目で時折ぴくんと体を跳ねさせていた。


 「綺麗に舐めてあげますね。」


 そう言って膝をつき、春歌の脚の間に顔を埋め、べろりとひと舐めすると春歌は震えた甘い声をあげた。そのまま膣の中に舌を入れたり、襞を舌で丁寧になぞったりすると、彼女は身をくねらせながら規則的に喘いだ。

 リビングの椅子に縛りつけられているから、思うようには動けない。
 でも、彼女はそれが好きなようだった。私に拘束されると嬉しくて濡れる、というようなことを言った日もあった。そしてその時、


 「一十木くんも、縛りたがるんです。でも・・・一十木くんに縛られるだけだったら、きっとイヤだったかもしれませんけど、一ノ瀬さんにされてる事だから、一ノ瀬さんを思い出せるから、イヤじゃないんです。」


 その時の私の内側から湧いた震えときたらなかった。
 
 誰と居ても私が彼女の一番なのだという実感が起こす体内の地震。悦びというのは身体を駆け巡る時にブビラートを効かせて神経を揺さぶるのだとその時思った。


 

 「ああん、もお、挿れ、て、いれてくださいぃ。」

 
 「何を?」


 わざと意地悪で、私ははぐらかす。
 とろとろに熱く溶けた下半身が、甘ったるい声で余計どろりと形をなくしていくようだ。


 「あ、ん、一ノ瀬さんの、大きい、のを・・・ひぅ!」


 クリトリスをかじってやると短く叫び、椅子が動いた。顔を離し、今まで舐めていた穴に指を2本ゆっくり差し込むと簡単に奥まで収まり、そのまま抜き差しすると、じゅぶじゅぶと水の音がして、中はうねって私の指に絡みついてきた。


 「やあ、やあん、指いやあ。」


 「でも、気持ちよさそうじゃないですか。椅子まで垂れてきてますよ。」


 「違ぁ、あああ、やあ、指じゃないのぉ。」


 「まったく・・・ハッキリ言えないクセに、わがままですねえ。」

 
 それでも惚れた弱味で、私は甘やかしてしまう。
 先程から膨れ上がって硬くなりすぎている自身を彼女の入口に宛てると、誘い込まれるように一気に入ってしまった。


 「あ―――――、あ、ああああっ。」

 
 ずぐりと一瞬で奥まで到達したそれに突かれ、彼女が引き攣った喉を晒す。
 彼女の身体を椅子に括り付けてしまってある為に密着する事が出来ず、でもそのせいで逆に、小刻みに揺れる彼女の乳房が目に映える。悪戯に胸の尖りを指で捻ってやると、きゅうっと中が締まった。


 「好きですね、ッ、これが・・・もっと強い方が?」


 「ああっ、ダメ、ダメですっ、そんなに強いとッ・・・。」

 
 彼女の制止を無視して、もっと強く摘んでやると、泣きそうな顔で善がり始めた。そのまま、意地悪く質問してやる。

 
 「この前は音也と2人で遊んだそうじゃないですか。何をされたんです。」

 
 「あ、あ、あんっ、なに、もっ。」
 
 
 「何もないワケがないでしょう。きちんと報告して下さい。最近音也は君を縛るのを好んでいたようですが、縛ったまま何度犯されたんですか。2回? 3回? それとも、途中で寿さんが行ったようですから、それ以上ですか。」

 
 「ひぁあああ。」

 
 ぎゅうっと捻ったので痛い筈なのに、彼女の悲鳴はどこまでも甘い。痛みさえ快楽になるこの状態になると、何をしても受け入れ始めるので色々試してしまう。時々暴走して春歌を徹底的に苛めてしまう時があって厄介だ。それでも止められなかったりするのは、それだけ私も溺れているからだろう。


 「言わないのなら、言いたくなるようにしてあげましょうね。」

 私はそう言い、春歌の拘束を解いてやった。
 ぼんやりとする春歌をそのままベッドに連れて行って転がし、仰向けになった口に、今まで秘部に埋め込んでいたモノを押し込んだ。


 「んぐ!」


 「大丈夫ですよ、ちゃんとこっちにもイイモノを入れて差し上げます。」

 
 軽く腰を動かして彼女の口に自分で出し入れしながら、私はシックスナインの体勢で、彼女の脚の間を指で確認した。とろとろの愛液は溢れっぱなしだ。


 「すぐ入りますね。」

 最初に、アナル用のバイブを挿入した。男性器より細いそれは易々と彼女の中に入り、数回出し入れしただけでたっぷりと蜜が絡んでぬらぬらと光を帯びた。一旦それを抜き、次はかなりの太さの玩具を入れ込みスイッチを入れてやる。緩慢な動きながら自動でピストンするそれが春歌の膣内でモーター音を立てると、春歌の身体がびくんと大きく反応した。


 「おや、これだけではつまらないでしょう。もう一本入れてあげますから待ってて下さいね。」


 最初に入れたアナルバイブで、つんつんと、彼女の尻の窄まりをつついた。


 「んん! ん!」


 彼女は何かを言いたいようだが、私の物を上から咥えさせられていて言葉が発せられない。


 「嬉しいんですか、そうですか。いつもいつも何人もの男を同時に咥え込んでいますからね、もう一人とでは満足できないでしょう、わかっていますよ。」


 「んんんー!」


 「そんなに焦ってはダメですよ。一応入れるモノはさっき濡らしましたが、ココそのものは濡れてないんですから準備が必要・・・・ああ、そうでした、君はもうコッチも大分広がっていたんでしたね。私とした事が、ふふ・・・こっちも一気に入れましょう、ね!」


 「んぶっ!」

 
 一際苦しそうな声が上がったと同時、すぐ後ろを圧迫された為か蜜が零れていた場所に入れておいた玩具がぬるりと抜け出た。押し出されてシーツに転がったそれは白濁した粘液に塗れ、生々しく照っていた。


 「ああ、誰が前に入れたモノを落としていいと言いました? ちゃんと両方入れるんですよ、両方、ほら、こうやって・・・。」


 「んふうううう! んんん!」

 
 口腔も、膣も、後孔も総て塞がれた彼女が必死でくぐもった声をあげるも、私は両方の穴を玩具で責め立て、自分の腰を彼女の顔に押し付けて前後させ、完全に犯し尽すつもりで甚振った。


 「夜は寿さんたちに犯されるんですから、拡げておいた方が楽でしょう。・・ッ、出そうです・・・飲んで下さい、後で、こっちの穴にもたっぷり注ぎ込んであげますから。」


 そう。
 今夜はこれから久々に目の前で、他の男を複数一度に虜に彼女を堪能できる。とても嬉しい。こうして2人きりで愛し合うのもいいが、それだけで満足できなかった私だからこその、常識から外れた提案。それを受け入れてくれた彼女には感謝し切れない。


 私は絶頂に達し、彼女の上に跨ったまま、彼女の喉の奥に勢いよく自分の欲望を放った。
 口腔から喉へ続く狭くなった箇所へ捻じ込んで柔い内肉に刺激される感触が堪らない。それに包まれて彼女の身体の中にマーキングする雄としての本能の満足で恍惚となる。

 
 出し切って彼女の口から自分のモノを引き抜き体の向きを変えると、彼女はぐったりと、虚ろな目で横たわっていた。

 頬を撫でると、とろりと目線を私に向ける。


 「今からコッチにも出してあげますから、夜までちゃんと、君の中に私の精を入れたままにしておいて下さいね。最近どうも彼らは忘れてるらしい、君が私のものだという大前提を。まあ、忘れていてくれるからこそ面白くて気分もいいのですが、でも、判らせて曇る顔を見るのも楽しいですからね・・・。悪趣味な私は、嫌いですか?」

 
 ごくりと彼女の喉が鳴る。
 私が大量に放った精を飲み込んだ音だった。


 「大好き、です、一ノ瀬さん・・・。愛してます・・・。」

 
 そう返事する彼女の開いた唇は、私の精液で糸を引いていた。
 汚しても汚しても、美しい。こんなものは他に無い。皆が欲しがる私の愛しいひと。

 
 「私も愛していますよ。君しか愛せない。君しかいない。だから今夜は、とびきり美しい姿を見せて下さい。誰に犯されていても、私の視線を、愛を感じ、それに悦ぶ君を見せて下さいね。」

 
 清楚な服を纏った彼女がそれを脱ぎ、顔を赤くして恥じらいながら拡げた局部から溢れ出る精液。
 
 それを他の男に見せる為、私は彼女をひっくり返してうつ伏せになった尻を掴むと、期待で再び上を向いた男根を深々と入れ込み、大きく腰をグラインドさせて彼女に覆い被さった。












 
 To Be Continued・・・








 

 次回第11話は8月31日頃に更新予定です。








 


 

 


 
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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