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complice 第5話

 


 
complice
  第5話








 
 得体のしれない不安が一定の状態で体内に停滞するのを、春歌は初めて体験したように思う。
 あれから、逸る心臓を抱え、自分の部屋へ戻ってきた春歌は、テレビやインターネットで情報を漁りまわった。


 

 624 吉野京子、200万円相当の貴金属盗難! イヤリング1個ww 大袈裟www

 625 オモチャやろーあんな大きいダイヤ。話題づくりか

 626 京子ちゃん、今度神宮寺レンくんと共演でクヤシー!

 627 宝石は大きくなるほど偽物っぽいってかオモチャっぽくなるもんだ

 628 624みてーなヤツほど、2万のイヤリングも買えない貧乏人


 ******************************************


 931 盗難の懲役って何年?

 932 ググれアホ

 933 実は紛失って知り合いに聞いた


 


 普段は見ない、信憑性の疑わしいサイトまで閲覧してみた。
 レンが今日も仕事で助かったと春歌は思っていた。

 

 あれからすぐにレンが起きてきた。
 彼は、同じ話題を垂れ流し続ける番組がかかったままのテレビを見て、

 「え・・・。ちょ、何だこれ。どういう事だ・・・? 昨日のあのイヤリングが、吉野京子の物だっていうのか。」

 流石に驚いたのか、固まったまま暫く画面の前から動かなかった。「事務所からも何も言うなって言われてるのでごめんなさい。」 と謝りながら車に乗り込む若い男の子の映像が繰り返し放送されている。

 「あ、コイツ・・・コイツだよ。例の、同じ楽屋に居るKK事務所の新人君の一人。・・・だけど、一体いつの話なんだこれ。囲まれてるのは昨夜みたいだけど、俺が帰る時はそんな騒ぎはなかった。まぁ俺は君に会う事しか考えてなかったからね。荷物だけ掴んで着替えもせず3秒で楽屋を飛び出したから、その後に盗まれたのが判ったのかな。しかし・・・。」

 お互い顔を見合わせて、不安を交換する。

 「あのイヤリング・・・。」

 吉野京子の物ですよね。とまた同じ台詞を言い掛けて春歌はやめた。
 くしゃりと、レンの手が春歌の頭を撫でたからだった。不安になると、人間は同じ言葉ばかり繰り返してしまうのだろうか。そこから気が離れない。

 「ハニー、君があれを持ってるってのは、今は黙っておいた方がいいと思う。今日、さりげなく仕事場で聞いてくるよ。俺が持って行って正直に楽屋で拾ったって話すのも、ちょっとこの騒ぎじゃあ危険な気がする・・・。詳しい状況が何も判らないから、今は迂闊な事は出来ない。ヘタをしたら、君が窃盗罪で疑われる。」

 「そう、ですね・・・。」

 「心配しないで。大丈夫。君は待っててくれ。」

 
 彼はそう言って優しく春歌を抱きしめ、仕事に出掛けて行った。
 

 

 

 イヤリングが包まれたハンカチを、カバンからそっと取り出す。

 確かに、レンのポーチの中にあったのだ。偶然何らかの理由であの中に入ってしまったとは思えなかった。意図して中に入れられた以外ないと思われる。それが盗まれた物だとは、どういう事だ。

 不意に電話が鳴った。
 春歌は大きく肩を揺らして驚き、電話を見た。

 表示されている名前に安堵し、手にしていたハンカチをテーブルに置いて通話ボタンを押す。

 「私です。今、電話宜しいですか。」

 「一ノ瀬さん・・はい、大丈夫です。」

 「そうですか。では、訪問してもよろしいですか。」

 「はい?」







 

 「あの、すいません、気を遣って頂いてしまって・・・。」

 「いいえ。私もたまには甘いものが食べたいのですが、口実でもないと口にする機会が無いものですから。」

 トキヤは実はもう部屋のドアの前に居て、そこから電話をしていたのだった。
 先日からずっと心配してくれていた彼は、ケーキを手土産に、春歌の様子を見に来てくれたのだった。

 「とりあえずここに居たので安心しました。レンは、君を実家に連れて行かなかったんですね。」

 「はい。仲直り出来まして・・・あ、適当に座ってて下さいね。今お茶を淹れますから。」

 春歌はリビングにトキヤを通した。自分はリビングまで行かずキッチンへ入り、お湯を沸かして紅茶を用意した。
 
 家に戻ってからインターネットばかり見ていた為にお湯も沸かしておらず、おまけに、カップ類も夜に家を飛び出して以来、まったく洗ったりなどもしてなかったので、春歌は急いでがちゃがちゃと色々用意をした。

 なんとか体裁を整えて、用意したお茶をリビングへ運ぶ。

 「お待たせしました。すいません、あの夜からまともにお台所してなかったものですから、お茶を用意するだけなのに時間がか・・・一ノ瀬さん!」

 テーブルセッティングをしようとトキヤの方へ目を遣った春歌が、息を飲み血相を変えた。そして瞬間、トキヤの手から物凄い早さでそれを奪い返す。

 「あ・・・。」

 自分で自分のした事に驚き、春歌は動作を止める。トキヤも普段無い春歌の行動に呆気に取られていたが、すぐに真剣な声で春歌に言った。

 「なぜ、君がそれを持っているんです?」

 「あ、の・・・。」

 しまったと。
 春歌は心底、しまったと、後悔していた。

 突然の訪問が知った顔だった為にうっかり気を緩め、ハンカチをそのままテーブルの上に置いたのを忘れてお茶の用意をしてしまった。イヤリングを包まずに、そのままにして。

 「今朝、散々テレビで見ましたからね。留め具の特徴的な彫・・・・・それ、吉野さんのイヤリングですね。」

 「っ・・・。」

 「君が人の物を盗むなどあり得ませんが、吉野さんが盗難で被害届を出しているのは事実です。そして実物がここにあるとなると、少なくとも話題作りの為の狂言ではない。というわけですか。」

 春歌は何も言えない。
 何故だか判らないがこのイヤリングは盗まれた事になっていて、春歌がそれを持っている。説明のしようもない。

 泣きそうな春歌を見て、トキヤは深く溜息をついた。

 「一体どうしたと言うんです。君が盗難事件になどに関わっている筈がない。何か事情があるのでしょう。」

 「私にも判らないんです。私はただ、これが、その・・・。」

 言い掛けて言い淀む。
 
 レンにも言ってない本当のコトを、彼に話してもいいものだろうか。これは実は、レンの持ち物の中にあったなどと。指を噛みそうになる。

 だが、言ってしまいたい気持ちもあるのだ。レンにも、レンの荷物の中にあったという詳細は言えなかった。いや、彼にだからこそ言えなかったのだ。押し潰されそうな不安から解放されたい気持ちが弱いわけがない。おおごとになっている渦中の些細な真実を確認したいのに、それが出来なくてもどかしい。吐き出してしまいたい。

 泣きたい理由がレンだとしたら、そんな時は頼ってほしい。トキヤの甘い囁きを思い出す。
 
 それは悪魔の囁きだ。今ここでトキヤにぐらりとなったら、レンはきっと悲しむ。別に浮気だなんだなどと世間が言うような疾しい事が無くても、きっと、トキヤにだけ話した事実があるなどと知ったらレンは傷つくだろう。レンが悲しむのは見たく無い。

 だが、トキヤは少ない言葉で、春歌のそんな必死な思いをぱりんと割ってしまった。

 「言いませんよ、レンには。言ったりしません。君がここで泣いたなど。誰にも言いません。君はもっと甘えた方がいい。・・・ね?」

 「いちのせさん・・・。」

 足元が崩れる気がした。

 「わ、私・・・私には、何がなんだか、どうなってるのか・・・・。なんでこんな騒ぎになってるのか・・・。」

 立ち尽くして泣きじゃくり始めた春歌を、トキヤは黙って抱き締めた。









 
 
 「経緯は判りました。レンの判断は賢明だと思いますよ。これだけ大騒ぎになってる中、拾いました。では済まないでしょう。道に落ちていた訳ではないのですから。ヘタをすると体のいい自首とも取られかねない。」

 「そんな・・・!」

 ソファに腰掛けたままがっくりと項垂れる春歌の髪を、トキヤが優しく撫でる。

 「取り敢えず、今日レンが撮影で色々聞いて来てくれるでしょう。それを待ったほうがいい。それと君は、これを持っていない方がいい。」

 トキヤが、目でイヤリングを示した。

 「え、でも・・・。」

 「君はなかなか嘘がつけない。真正面からは誰にも会ってないとはいえ、誰かがどこかで、君が楽屋から出てきた姿を、レンの車に乗り込む姿を見ているかもしれない。警察は、あの局にあの日出入りした全員に事情を聴くでしょう。もし誰かが君を見かけたと警察に伝えて、警察がいきなり君の元へやって来て、イヤリングを持ってるか持ってないかで聞かれたら、君のような人は判りやすく態度に出る。」

 「そ、それは、・・・。」

 「私が預かりましょう。」

 「えっ。」

 トキヤの突然の提案に、春歌は驚いた。
 しかし彼は涼しい顔で、何かおかしな台詞だったかと言わんばかりの表情をしている。

 「レンは、吉野さんの共演者です。当然、警察にとっては他の共演者同様、何度もしつこく当日のアリバイを尋ねる対象です。警察というのは、同じ質問を少しずつ角度を変えて繰り返し、相手の回答の矛盾を突くそうです。そこから嘘を崩して行く。第一前提として、イヤリングを持ってないと頑なに言い張れる絶対的な根拠は、本当に持っていない事です。だから、レンにも預けない方がいい。」

 「でも!」

 春歌は咄嗟にトキヤの方へ身を乗り出した。
 自分が持っていないのも困る。イヤリングをどうしたのかとレンに問われて、トキヤに預けたなどと言えない。

 春歌は今になって、イッチーの所に行かないで。と、ゆうべ泣き顔で縋ってきたレンをまざまざと思い出した。

 自分が甘い囁きに負け、冷静さを失ってしまったせいで、事態はどんどん思いもよらない不貞へ向いてしまいそうな気がした。
 
 気持ち的に楽になりたくて、トキヤだけに事実を打ち明けてしまっただけでも後ろめたいのだ。トキヤの口の固さは学生時代で明白といえど、レン本人には言えなかった部分を打ち明けただけならまだしも、問題の原点であるイヤリングを預けるなど、それはレンと恋人同士である自分には決して許されない行為であるような気がした。

 「大丈夫ですよ。失くすのも持ってるのも怖いから、実家に送ったと言えばいい。君の実家なら、すぐに出せと言われて出せなくても無理がありませんし、普通のご家族なら君の不利になるような真似はしない。そういう点でレンも納得するでしょう。」

 考えを読まれたかとドキリとする回答に、春歌は目を丸くする。

 「こんな事になってなければ、正直に 「落ちていた」 と言っても通るでしょうが、警察だけでなく世間にこんなに騒がれてしまっては、吉野さんが自分から被害届を取り下げて沈黙する以外、収まりませんよ。それこそ、どこに落ちていたのだと言われ、レンのポーチの中にあったなどと知れたら、レンが疑われる。」

 「そんな・・・! 神宮寺さんはそんな事しません! 私がこれを見せた時だって、全然心当たりが無いって顔をしてました! 嘘じゃありません! 私には判ります!」

 思わずトキヤにつんのめって大きな声を出した春歌に、トキヤが少し呆気に取られる。

 「す、すいません・・・つい・・・。でも本当です。あの時の神宮寺さんが、嘘をついてるなんて絶対にあり得ません。」

 「判っていますよ。」

 トキヤがふっと笑う。

 「レンほどの大金持ちが、こんな安いダイヤを盗む理由がありません。私たち庶民から見れば200万のダイヤは高額商品ですが、神宮寺財閥から見れば、金額的には日常のちょっとした買い物に過ぎない。そこからしてレンが盗んだなど、彼を知る人間なら露ほども思いませんよ。でも警察はそうじゃない。どういう理由でこれがレンの持ち物に紛れていたのか判りませんが、この状況でもしもレンのポーチの中にあったなどと警察が知ったら・・・判りますね。」

 春歌は、怖くなってこくこくと頷いた。
 
 トキヤの言う通り、そんな展開になったら警察はどうしてレンのポーチにあったのかを徹底的に調べるだろう。イメージが大事なアイドルにおいて、最終的に無実が証明されても過程が既に致命傷だ。
 
 「わかりました・・・あの、失くさないで下さいね?」

 本当にそんな心配をしていた訳ではないが、何かが不安で春歌はそう付け足した。トキヤが人に預かった物を紛失するなどあり得ない。だが、妙に何かが不安だった。

 「大丈夫ですよ。絶対に悪いようにはしませんから。」

 トキヤは春歌に渡されたそれをジャケットの内ポケットに仕舞うと、優しく笑った。
 そして

 「レンが今日この事件について何を聞いてきたのか、明日私にも教えて下さい。それによって、これをどうするかを考えます。レンの明日のスケジュールは御存じですか?」

 「明日から何日かは、ほとんど昼からの撮影になるって言ってました。夜は遅くなるって・・・。」

 「そうですか。では、明日は夕食を一緒にどうですか。私は丁度今、次の新曲のレコーディングに入る合間で半分オフみたいなものなんですよ。私は彼と逆で、夜なら暫くの間はオフなんです。明日の夜、私の部屋へ来ませんか。」

 春歌の髪をそっと撫でる。
 好きだと言われたのを鮮烈に思い出して、春歌は少しだけ後ずさる。

 「半分オフって、でも確か昼間はラジオに出たりしてらっしゃるんですよね。何だか申し訳ないです。今更言うのも変ですけど、私の勝手で巻きこんでしまって・・・。」

 「いえ、いいんですよ。まあ、私も完全にオフだと職業柄、不安になるじゃないですか。だから先輩の番組のゲストに呼んで頂いてるんです。それに、生放送はやっぱり楽しい。良い意味で緊張出来て、貴重な仕事です。昼に生放送が終わって緊張が解けて、気楽な気持ちで夕方までレッスンに打ち込めるのが、とても気持ちいいんです。夜には完全にフリーですから、気にしないで下さい。」

 「すいません・・・。」

 トキヤの優しい言葉に、春歌は思わず涙ぐんだ。
 自分の為に何かをしてくれる人がいる。その有難さと安心感に、ほっとして、嬉しくて、思わず涙がこぼれてしまったのだった。
 
 「泣かないで下さい。泣かれてしまうと、とても悪い事をしている気持ちになるじゃないですか。」

 「すすすすいません! 」

 慌てて、ぐいっと頬を拭う。

 「そうじゃないんです、嬉しくて、感謝してるんです。ほんとに、すいません・・・。これが神宮寺さんのポーチにあった事、どうしても神宮寺さんには言えなくて・・・。でもこうやって、一ノ瀬さんに話せて、例え神宮寺さんの持ち物に入ってたとしても、彼は盗難なんてしてないって言ってもらえて、ホッと出来て・・・。それに、確かに持ってるのも怖かったから、それを、代わりに預かって下さって。こんなにして頂いて、嬉しくて・・・。」

 「嬉しい、ですか・・・。」

 溜息混じりに笑うトキヤの伏せた目に、春歌はまた少し罪悪感を覚える。
 自分でも、なんだかトキヤに対し残酷な台詞を吐いたのでは無いかと後悔した時、すっと目の前が翳った。

 「ぇ・・・。」
 
 驚いたのと、口の中にぬるりと冷たいくせに熱い何かが入り込むのと同時だった。

 「!」

 自分の身体がどこにあるのかも忘れる位の衝撃だった。
 
 自分が今トキヤにキスをされているのも、逃げようにも両手を掴まれ、背中をソファに押しつけられてて動けないのにも、気付くのに何秒かかったのか解らない。

 暫くたって解放されても、春歌はあまりの驚きで固まったままだった。
 トキヤの睫毛が落とす影が、その黒い色が自分を捕まえてるという錯覚に囚われて口も利けない。

 「君と私が共犯だという証を・・・もう一度だけ。」

 レンがベッドの上で、挿れたいと春歌に対して乞う声に、それは似ていた。女として唇を狩られるのだと反射的に頭が理解し、同時に腰の内側が痺れた。

 そこに罪悪感が伴い混乱し、春歌は可否のサインも出せない。その動揺に気付いてるのかトキヤは、春歌を腰からぐっと抱え込み自分に引き寄せると、もう一度荒く執拗に、彼女の口腔を自分の舌で犯し始めた。








   
    
   To Be Continued・・・



 
 

 
 
 
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Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

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にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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