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Russian roulette 番外

 

 


 Russian roulette 番外編 


 





 初めて意識した日なんて覚えて無い。
 ただ、気付いたら好きになっていた。

 教師と生徒。
 ありがちな安いメロドラマ仕様すぎて、我ながら情けないと思った。ハッキリ意識したのはあいつが学園を卒業した後だから、所謂教師と生徒っていう設定は、既にちょっと違ったのかもしれないが。

 ただ、初めてあいつの曲を聴いた時、俺に衝撃が走ったのは間違いない。
 才能はあると思った。しかし同時に、あれだけ引っ込み思案だと業界で生きて行くのは中々難しいだろうなと、教師の目で冷静に見ていただけだった。その時は。


 卒業後、作曲家としてウチに所属出来たあいつは、仕事を求めて、コンペやらの情報が山ほどある事務所にしょっちゅう顔を出していた。それでも早々、大きなチャンスが転がってる筈もない。最初は本当に偶然、あいつも時間があると言うから手が足りなくて頼み事をした。それから次は、一度頼んだ気安さも手伝って、簡単な仕事を手伝わせたりしていて、それで・・・。

 俺は自分の気持ちに気づいたものの、俺たちは教師と生徒の前に、男と女にもなれていなかった。
 
 あいつにはもう、付き合ってる男が居たからだ。
 
 自分の気持ちに気付いてからは、あいつの同級生などヒヨっ子すぎて敵じゃないとは踏んでいたが、だからって、いい大人が、しかも立場的にも横から強引にするのもどうかと思案していた。
 
 強引にしたって、上手くいかねーもんなんだ。
 結局無理が来て、ダメになっちまうから。

 俺は一時だけあいつと恋人ごっこを楽しめれば良かったワケじゃない。ずっと傍に置いておきたかった。だから、俺自身が正面切って強引に。とか、無理矢理。とかって手段は選べなかった。

 そんな時、ある映画のオーディションを見学に行った。
 ウチからは、例の俺の恋敵、一十木と、そして一ノ瀬、寿がオーディションを受ける事になっていた。

 あの映画はいわくつきの映画だったから、単純に興味があった。ウチの事務所の所属アイドルが数人オーディションを受ける。という取締役としての視察の意味も当然あったが。

 主役に選ばれたのは一十木だった。
 事務所に届いた封書を開けた時、丁度3人揃っていたので、目の前で開封したから、3人同時に結果を知ったのだ。

 その時、一ノ瀬はあからさまに悔しそうな顔をしていた。寿は笑って後輩への祝福の拍手していたが、その目の奥の薄暗い冷えた熱を、俺は見逃さなかった。






 

 「えー。なーんで僕ちんが、そんなメンドクサイことしなきゃなんないですかー。龍也さんが一言、ビシっと言えば終わりじゃない。」

 「だ・ま・れ。」

 俺が凄むと、嶺二は一瞬口を噤んだ。
 だが、またすぐ懲りずにブツブツと文句を言い始める。

 「だあって別に僕、単に担当の先輩だったっていうだけだし。おとやんが事務所クビになっても困らないもん。それにどうすればいいの? 好きあってる二人を別れさせるなんて、コッチが馬に蹴られそうだよ。」

 

 事務所に顔を出した嶺二を引っ張って、会議室に押し込んだ。
 
 何を言われるのか身構えていたこいつは、本題に入った俺の台詞を聴いて案の定、間髪入れずに想定内のリアクションをしやがった。ある種の微笑ましさを覚えながら、俺はわざわざ渋面を作って見せる。

 「俺が言ったら即、最後通告みたいになっちまうだろが。上司じゃなくて、先輩っつう立場の奴が言った方が、あいつらが自主的に別れるかもしれねえだろ。」

 「・・・龍也さんさあ。」

 嶺二の声の空気が変わる。
 声音は同じなのだが、唇から声に載って洩れる吐息の感触が変わったのが判った。

 「なんだ。」

 腕組みをした俺を真っすぐ見据えた嶺二が、笑ってないのに笑っているように見える口の動かし方で尋ねる。
 
 「さっきから思ってるんだけど、それ、本気で言ってるの? ウチの事務所は恋愛禁止だから別れさせろって、なんか違うよね。なんてゆうか・・・・建前?」

 こいつは本当に業界が長いだけあって、妙な所で鋭い。
 そして、笑顔で人の腹腸を引き摺り出せるような奴だと俺は思ってる。だから敢えて視線を外さず答えてやった。

 「お前、あの映画やりたいって言ってたな。」

 「え。あ、ああ、こないだオーディション落っこちたヤツのコト? やりたかったですよそりゃ。龍也さんだって知ってるでしょ。僕があの映画に思い入れがあるのは。」

 「ああ知ってるさ。…あの映画はプロモーション上、主役が誰かをぎりぎりまで報道しないって話も、覚えてるな。」

 「オーディションで説明聞いたし、あの手紙開封した時にも龍也さんに念を押された。トーゼン覚えてるよ。最終発表は所属事務所の責任者宛てで郵送。誰が合格したかは、通知を開封した合格者の所属事務所のおエライさんしか判らない。おとやんが主役だって世間にバレたら、僕かトッキーのどっちかがネタを流したってバレバレだからな! って脅したの龍也さんでしょ~。」

 「脅してはいねえだろ。ったくお前は人聞きが悪ぃな。でもお前の記憶は正しい。まだ世間は一十木が主役に選ばれたとは知らない。撮影は始まるが、共演者にも緘口令が敷かれてる。主役が公になるのは撮影がある程度進んだ後だ。要は、」

 俺は一度言葉を切った。
 
 勿体ぶるつもりだったわけじゃない。一瞬だけチラリと、俺はもしかしてズルいのかという疑問が頭を掠めたからだ。だがそれは一瞬、いや、一瞬にもならないうちにざらりとした感触の何かで消されてしまう。

 「お前にも、逆転のチャンスは充分あるってこった。」

 嶺二が俺を凝視した。
 その顔は、冷やかであったが欲のある顔でもあった。

 「・・・僕に何をやれって言うんです? あの娘をかっさらってそれで終わり、ってんなら、まあさっさとヤっちゃってモノにしますけど。すぐ捨ててもいいなら。」

 「ヤったら殺すぞ。」

 俺の、努めて冷静な申し送りに嶺二がみるみる脱力する。

 「はぁあああ? ちょ・・・ちょっと待って下さいよ~。別れさせればいいだけじゃないのー? えー? もー嶺ちゃん困るんですけど! 別れさせるって言ったら普通に考えて、自分に惚れさせるしかないじゃん! そしたらヤるのが手っ取り早いのにヤったら殺すって、どんなムチャぶりかましてくれるんですかー!」


 子供のようにウダウダとごねて帽子を指でくるくると回す嶺二を、俺はただ黙って見ていた。
 
 この男は、こうしてふざけ半分で和やかに文句を言ってる最中にも、その頭の中では無意識に何種類ものテを既に目論見始めているようなヤツなのだと知っているから。

 俺は、ひとしきり喚いて、はぁ~とわざとらしく溜息を吐いた嶺二の肩を軽く小突き、お前に任せる、と笑って告げてその場を立ち去った。

 


 夜でもないのに、次の仕事へ向かう廊下は暗かった。
 俺の足下だけが妙に暗いような気がした。淀んだ負の色。だがどうでも良かった。

 あいつは動く。
 何が自分にとって最良の選択かが解る頭のいい奴だ。

 抜け目無くもあるから、ちいとばかり煮え湯は飲まされるだろう。別れさせる過程で嶺二以外が手を出したとしても、流石にそこまでの阻止は出来ない。しょうがないと割り切るしかない。少しの我慢だ。

 一度手に入れたら、離さない自信はある。
 それまで、のんびり待つか。








 
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乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

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だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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