FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

MyFunnyValentine 第6話

 

 
第6話


 
 

 目覚めて、夢ではないと確認する。
 頬をぺちぺち叩き、自分の部屋がいつもと変わりない事を見まわす。外から聞こえてくる音にも何の変哲も無い。鳥の声。近所の生活音。

 いつもの日常の空気にほっとして、鏡の前に立った。
 パジャマのボタンを外して、胸の赤い跡を映す。


 「コウ・・・。」

 好きな男の名前を声にして呟いたせいか、ぷくりと起き上った胸の先端のすぐ横、そのまた横、反対側の乳房にもあるその跡を、指でそっとなぞる。
 
 起きたばかりだというのに、とろりと頭から下半身にかけて、甘い気怠さが充満していく。

 琥一に抱かれ、狂ったようにお互い貪り合い、愛を確認しあった昨日の夕方。
 夜になる前にウエストビーチを出て、ミナコの家に着く前に立ち寄った公園でこれからの事を話し合った。

 「ルカには、俺が言うから。お前は今まで通り、ルカには優しくしてやってくれ。」

 「今まで通りってちょっと、そんな、だって、今までは。」

 琥一の言葉に、ミナコは例えようのない不安の染みが一瞬で心に広がった気がして思わず強い口調になってしまった。
 そんなミナコを予想していたのか、琥一はそのまま続けた。

 「わかってる。今までってのは、なんだ、だから、お前がルカと付き合う前みたいな今までだ。・・・今回の事は俺が言う。今日明日にすぐ言えるかどうかってのは、悪い、ちとわかんねえがよ。」

 琥一が困ったような顔をする。

 「流石に俺も、そこまで神経図太かねえんだ・・・。でもよ、こういう事は男がケジメつけるもんだろ。俺が言うから、お前は言う前も言ってからも、ルカに対する態度は変えないでいてやってくれ。冷たくしないでやってくれ。」

 ミナコは更なる不安を、その時の琥一の表情に覚えないでもなかった。
 
 なんだ・・・という脱力感は確かにあった。

 全身全霊で自分の総てを賭けて壁を壊しても、それを受け入れてくれたにもかかわらず。結局琉夏をシャットアウト出来ていない兄の優しさが、正直ミナコにはもどかしかった。

 ぼんやりとそんな事を思い出しながら、着替えをして髪を整えという毎朝と変わらない朝の支度をしながらミナコは、どこか頭の奥が麻痺したような状態だった。

 「!」

 突然携帯電話の着信音が鳴り響いて我に返る。
 ディスプレイが表示する名前に胸が躍った。
 
 「コウ・・!」

 慌てて通話ボタンを押した。
 
 「おぅ、寝坊してねーか。学校、乗っけてってやる。今もう、オマエんとこの近くのあの公園まで来てんだ。」

 一瞬で、悶々と悩んでいたモヤが晴れる。
 朝から届いた好きな男の、優しい声が嬉しくて、髪をチェックしながら鏡に向かって笑顔を作ると、ミナコは鞄を引っ掴んで家を出た。


 
 

 昼休み。
 ミナコはカレンとミヨを誘って、中庭で食事をした。

 当然、琉夏と一緒に居たくなかったからだ。
 幸い、最近はずっと琉夏も一緒に昼食を取っていたから、たまにはカレンたちと食べたいのだというメールに対して、琉夏は、そうだね~と機嫌良く返してくれた。

 途中で故意か偶然か、琉夏が一人でフラフラと中庭にやっては来たのだが、何も知らないカレンが丁度うまくミナコと同じような理由を口にしてくれた。 

 今日は自分達がミナコを独占するのだと茶化しながら言ってくれたお陰で、琉夏はそのままニッコリ笑ってどこかへ歩いて行った。

 正直びくついていたミナコが、ほっと息を吐く。

 「カレン。ありがと。」

 何の気なしに、日常会話でお礼を口にする。

 「何それ。どういう意味。アタシがバンビと一緒に居たいって言っただけなんだけど?」

 「・・・? バンビ、喧嘩でもしたの?」

 カレンが不思議そうに目をぱちくりさせ、ミヨが首を傾げながら尋ねる。
 そこでミナコは、やっと自分が失言したと気付いた。

 「あ、ううん、喧嘩なんかしてないよ。」
 
 「アヤシイ! バンビ、琉夏くんに泣かされたら、すぐアタシに言うんだよ。説教してやるから!」

 サンドイッチをもぐもぐ食べながら、カレンが勇ましく笑う。
 ミナコはごまかす為に少しだけ笑うと、心配そうに自分を見るミヨのお弁当箱にひょいっと目をやった。

 「ミヨ、これなあに、お肉かな。すっごく美味しそう、貰ってもいい? 交換しよっか。私のこのミートボール、中にチーズが入ってるの、これと交換しない?」

 「・・・バンビ。おかずはあげる。」
 
 「え、いいの。ありがと。」

 「でも。」

 ミヨの言葉に、伸ばし掛けたミナコの箸が止まる。

 「迷ってるように見える。それか、困ってるように見える。」

 仲の良い女友達の言葉が神経を掠める。
 ミナコはその瞬間に、笑顔を作り続けられなくなってしまった。無表情になった自分が解るが、口角を上げられない。

 ミヨは鋭い。普段大人しくて口数も少ないけど、きっと友達としての自分を的確に観察してくれているのだと思う。こういう時、それは証明される。

 「え? なになに、やっぱり何かあったワケ!? ちょっとバンビ、琉夏くんと何があったの、困ってるなら溜め込んじゃだめだよ、アタシらに言いなよ。どうしたの。」

 その様子を見ていたカレンが息まく。
 
 カレンは優しい。そして友情に熱くて、自分が何とかしてあげたいという思いやりに溢れている。友達で居てくれるのが嬉しくて、だけど、ミナコは結局そんな2人に嘘をついた。

 話題を変えようと伸ばした箸が止まったままで、ミナコは持てる気力全部を集め、もう一度2人に向けてニッコリと笑った。

 「大丈夫、なんでもないの。ホントに。ありがとね。」

 「バンビ・・・。」

 尚も心配そうに瞳を覗き込むミヨに、また笑い掛ける。
 その笑顔に、これ以上聞いても無駄だと思ったのか、ミヨはそのまままた弁当を食べ出した。

 青い空をぼんやり見上げながら紙パックのジュースを飲んでいる自分の横で、カレンがおもしろおかしく話す昨日のテレビ番組の内容が、ただ耳を通り過ぎて行く。

 自分は多分、罰を受けるのだろうと思っていた。
 琉夏に内緒で琥一とああなった自分は、きっと罰を受けるのだろうと。

 今この時、2人の友達に対する胸の痛みもそれのうちなのだろうと思った。大事な人に嘘を吐く辛さを、ミナコはそう受け止めていた。






 「ああ、コウ・・・ああんっ。」

 耽る情事はどこまで続くのだろう。そしてどこまでも続いて欲しいと思う。 
 恋い焦がれた男の唇が這う体は、熱を持って内側がざわめきっぱなしだった。

 快感に。
 幸せに。

 昨日に続き今日も同じコトをしている。
 違うのは、昨日はミナコが意を決して飛びかかってコウを押し切ってひとつになったが、今日はどちらからともなく自然に始めていた、という辺りか。

 ルカも筋肉質だが、ルカの多少細身で繊細さのある体と違い、琥一の腕はどこまでも強くて、女からすれば眩暈を覚える逞しさだった。

 男に抱かれるという行為を原始的に捉えれば、琥一の腕の方が自身をより女として実感出来た。

 耳元で、琥一が囁く。

 「ここが、いいのか・・・? 言わねえと俺の勝手にすんぞ。」

 「んんっ、あ、ん、コウの勝手がいい。コウの好きに、はぁ、されたい。」
 
 首にしがみつきながら訴える。
 
 「バカ・・・そんなコト言うんじゃねえ。」

 「だって、あああん、コウのしたいこと、されたいの。」

 喘ぎながら返答をしていた口を塞がれる。
 そして、そのまま熱の塊をゆっくりと入れられた。

 「んんーーー!」

 吸い付かれている唇から声が漏れる。
 どこもかしこも、離れてる部分がないようにとくっつきあう。総て、一緒になってこのまま離れずに一緒に居たい。
 きっと、お互いがそう思ってるとどちらも強く感じながら粘膜を混ぜ合う。
 
 無我夢中。
 まるで夢を見ているかのような、味わった事のない快感。時間の流れも、周りの物音も遮断された2人だけの世界。既に中毒だった。

 心の底から好きな男に抱かれるというのは、泣きそうな堕落だ。

 濡れるのは、物理的に男を受け入れる場所だけではないのだ。体中、粘膜も細胞も何もかもが、しっとりと水気を帯びる。
 じんわりと染み出した水気は、男の愛し方で量も湿度も粘度も変わるのだ。こんな風に、ずっと待ち焦がれていた惚れた男に、愛されてると実感しながら嬲られたら、それこそ涙が止まらない。世界は白く発光した狭くて広い距離感のおかしな空間となる。
 只管相手の肌の熱さと気持ち良さに溺れ続けるしかない。離れたくない。それだけが、つがいである事だけが自分の望みとなる程の閉じゆく高揚感に支配される。

 「好き、好き、コウ、好きぃ・・・!」

 しがみつき、堕ちないようにする。
 琥一の匂いに包まれて、じゅくじゅくと鎔けた血の匂いの甘い果汁に神経のすべてが塗れた気がして、なにもかもが放り出される。
 
 穿たれながら、尖らせた唇の先端で耳の後ろから鎖骨までをすーっと撫でられて、ミナコは意識を飛ばした。

 痙攣するミナコの体を琥一が強く掻き抱く。あっという間に夕方が暗闇になっているのにぼんやりと気付いた次の瞬間には、2人は満足仕切ったのか眠ってしまった。

 






 「やべ!」

 ばさっ! と物音。そして大声。
 隣のただならぬ勢いに、眠っていたミナコも跳ね起きる。

 「おい何時だ!」

 「え、あ、え。」

 琥一の焦った声にミナコもついわたわたして、時計が置かれてもいない方向にくるくると目を向ける。
 二人してただ慌てて、やっと

 「は、8時!」

 2人同時に時計を見て、そして、2人一緒に素っ頓狂な声をあげた。

 そして、一瞬間を置いた後、どちらからともなく吹き出した。

 「あはは、もう、やだ、びっくりしちゃって、やだーもう。」

 「おまえこそ、今、すっげえおもしれえ顔してたぞ、ははっ。」

 「もうっ、笑ってる場合じゃないよぉ。急いで帰らないと、流石にちょっと怒られるかも・・・。バイトって言ってあるから大丈夫だけど・・・良かったー・・・もう少し寝坊してたらダメだった。」

 はーっ、と。
 2人して大きく息を吐いて、安心したように琥一が相好を崩した。
 
 「焦った・・・。」

 そしてどちらからともなく、身を寄せ合ってまたシーツにどさっと倒れ込んだ。
 最中に比べて冷えた肌が、それでも触れるとまたほんのりと温かみを帯びる。その心地良さに揺られながら、鼻先をくっつけて、お互いを慈しむ。

 「あー・・・マジで焦った。・・・寝ちまったな、うっかりしたぜ。」

 「うん。だってコウがいっぱいするから。」

 「あ? バカか。てめーがちっとも離れねえからだろうが。」

 「違うし!」

 暗い部屋で裸のまま、じゃれあっているのがたまらなく幸せだった。

 「じゃあ、離れたかったのか。」

 「ぅ・・・ズルい、コウ。」

 「ばーか。ズルくねえだろ。なあ、どうなんだよ。」

 掠れた声で聞かれ、またどくんと心臓が跳ねそうになる。

 「は、離れたいわけ、ない。」

 小さく答えたミナコに、琥一が吐息で笑い、抱き寄せる。
 それは決して力強くなく、愛おしくて壊せない儚い物に触れるようで。
 
 お互い同じように思っているのが伝わる。軽く触れる唇から、優しい指先から、どちらも今、満たされているという感情が交差する。穏やかで、確かな愛情に包まれていると実感できる時間だった。


 幸せは、崩れる。
 渦中に居る者はいつも、いつの時代もいつの世も、どうしてかそれに気付けないのだ。










 

              To Be Continued・・・・・












 
関連記事
スポンサーサイト
[PR]

FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。