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MyFunnyValentine 第3話

 
 
 第3話



 ひとしきり泣いたミナコが、漸く落ち着いた時だった。

 ミナコの背中を2度3度優しく摩った琥一が、ぼそりと、送っていく。とだけ口にした時、ミナコは全身怒りに似た苛立ちが沸き上がり、今やっと整えた呼吸を殴り捨て、琥一のシャツを引っ張りながら叫び出した。

 「なんで!? なんでそんなコトしか言ってくれないの!? 私がルカちゃんにさっき何されたのか、コウにとってはどうでもいい事でしか無いの!? 私、私っ・・・さっきのルカちゃんが怖いの! お願いコウ、お願いだから、私はコウが好きなの!」

 「待て、落ち着け。わかった、わかったから・・・。」

 「判ってないよ! 何が判ったの!? 私がルカちゃんにさっき何されたのか判ってるの!?」

 叫んでいる最中も、適当にしか着ていない服が擦れて痛いその胸の先が嫌でも意識され、ミナコは又ぼろぼろと涙を流した。
 そして、どうしていいか考えあぐねているのか何も喋らず居る琥一を目の前にして、益々苛立ちが募り頭の天辺まで沸騰しそうになり、衝動に任せて適当に止められているブラウスのボタンを外し始めた。

 「・・・?」

 琥一はミナコが何をしようとしているのか理解が追いつかず、ただ黙ってぼんやりとしていた。ミナコが手早くブラウスとブラジャーを床に落とし、やっと琥一がはっとする。

 「見てよコウ。・・・ルカちゃんに、噛まれて・・あ、やっぱり傷になってる・・・。痛いの、ここが。」

 「っ、ば! ばか服着ろ、服! 何やってんだ!」

 あまりの驚きで後ろを向きその場から離れようとした琥一の腰に、ミナコが必死でしがみついた。

 「離せバカ! 何やってんだおい、よせ!」

 「離さない! だって、だって、コウが好きなの・・・! 痛いの、ルカちゃんに噛まれた所が痛くて、傷になっちゃってて、痛いの・・・!」

 「っ・・・。」

 悲痛さだけに塗れたミナコの言葉に、琥一の動きが少しだけ止まる。
 
 「本当に痛くて、ちょっと触っただけですごく痛いよ・・・。ルカちゃんが噛んだんだよ。私、やめてって言ったのに、イヤだって、言ったのに・・・! ね、コウ、ほんとだよ。見て。傷になちゃってるんだよ・・・ひどいよ・・・痛いよ・・・。」

 はらはらと流れる涙が自分の二の腕を濡らすのにとうとう耐えられなくなった琥一が、ゆっくりとミナコに向き直った。
 
 そっと、ミナコの鎖骨の辺りに触れる。
 
 「すまねえ・・・ほんとに。」

 顔を逸らしたまま、ただ指先だけをミナコの肌に載せて、琥一は泣きそうな顔でもう一度ミナコに謝った。

 「・・・傷、ひどいのか・・・?」

 ミナコは、伸ばされた手でもしかしたら張倒されるのではないかと一瞬身構えていただけに、予想もしなかった琥一の台詞に驚いていた。
 
 そのまま彼の指が彼女の胸に降り、緊張で尖った先端の根元、ルカが強く噛みすぎて、赤く抉れたようになっている部分の脇に触れた。

 ミナコの息が止まる。
 さっき琉夏に触れられた時も息が止まった気がしたが、あれとは違うとミナコは感じていた。あれは、目でも潰されるような前触れの緊張だった。だが、今は違う。

 「・・・傷を、診るだけだ・・・。」

 琥一が躊躇いがちに、ゆっくりとミナコの胸元に視線を移した。

 例え傷を診てくれるだけであろうとも、琥一の指に触れられて止まる息は、そのまま悦びに真っ直ぐに繋がっているのが処女の自分でもわかる。


 「ひでぇな・・・これじゃ、痛ぇだろ・・・すまねえ・・俺のせいで・・・。」

 ミナコは、さっきと同じ台詞に首を傾げた。

 コウのせい? 

 一瞬、裸のまま彼の前に立っているのも忘れ、本気で考え込む。
 
 どういう理屈か見当がつかない。確かに琥一はミナコのチョコレートを琉夏に、ミナコからだと偽って渡した。だが、だからと言ってこうなったのはそもそもミナコがハッキリと琉夏を拒絶しなかった結果であって、殊更琥一が謝る理由があるとは思えない。

 なのに何度も謝る琥一が不思議で、ミナコはじっと黙った。

 琥一も暫くそのまま、指先も動かさずじっとしていたが、突然体を屈め、そっと、ミナコの傷に口付けた。

 「・・・!」

 ミナコの体がびくりと震える。
 それを予想していたかのように、琥一の腕が彼女の両腕をぎゅっと掴んで捕える。

 一瞬だけ傷にキスをして、そしてそのまま琥一が、ミナコをひょいと持ち上げ、担いだ。

 「えっ? え、コウ! ええっ? 何、えっ?」

 いきなり変わった視界の高さと、静かすぎた状況からの転換について行けずに軽いパニックを起こしているミナコを担いだまま、琥一は何も言わずミナコのブラウスを拾い上げ階段を上り、自分の部屋のベッドへミナコを降ろした。

 「な、え? コウ、え? 何これ。」

 相変わらず戸惑ったままのミナコを、琥一がそのまま押し倒す。

 「コウ・・・!」

 「すまねえ。」

 「っ。」

 「・・・俺が、悪ぃんだ。お前をこんな目に遭わせる事になるなんて、思って無かったんだよ・・・。すまねえ、でも、大丈夫だ。」

 「え・・・。」

 どくんと、ミナコの心臓が脈打つ。
 琉夏に傷つけられた自分に対して、理由はよく判らないが謝ってくれて、そして琉夏の部屋から琥一の部屋に運んでくれた。そして、今自分を押し倒して、自分の首筋に顔を寄せてくれている。

 この状況で、行きつく未来は1つではないかと、ミナコが期待に息を飲んだ。
 だが、琥一は、ミナコの頭では思いつかなかった展開を口にした。

 「今だけ、今だけでいい。お前をこのまま、こうして抱き締めさせてくれ・・・。そうしたら、俺はきっぱりケリをつける。もう琉夏があんなコトしねえように、俺がしっかりするからよ・・・!」

 「? え・・・? コウ、それどういう・・・?」

 「聞くな。頼むから。言ったら俺が・・・。」

 琥一が何を迷っているのか何となくの見当がつきかけていて、だがそれは違うような気がして。
 しかも違ったらもう自分は立ち直れない。それを潜在的に理解しているミナコに、たった一言さえ口にする勇気は無かった。

 「俺は・・・言葉にしちまったら、もうこれで終われる自信が無ぇんだ・・・。今だけ黙って、こうさせててくれ・・・。そうしたら、もうルカがお前を傷つけるような真似はしなくなる。だから、今だけ・・・。」

 遠くで波の音が聴こえる。
 今だけ。そう繰り返す琥一の悲しげな腕が、2人で愛し合う未来は無いのだとハッキリ告げる残酷な記号のようで、ミナコは実感なく、だが確実に深く打ちひしがれていく心を感じて、じっと琥一の腕に抱かれながら暗くなる部屋の壁を見ていた。

 




 「どこ行ってやがったんだテメーは。バイク乗って行きやがって。」

 日付が変わりそうな時間になってから帰って来た琉夏に、開口一番琥一が投げ付けた。

 「・・・コウ、一人?」

 「あ? ったりめーだろが。」

 「ミナコは?」

 「てめーの頭は飾りか? バスでゆっくり送って行けとかほざいて、バイク乗って行きやがったのはドコのドイツだ。記憶障害かよ。」

 いつもと変わらない態度で、なんか食ったのかと言いながらキッチンへ向かおうとする琥一の肩を、琉夏が肘で小突いた。

 「どういうつもりだよ。・・・つまんないお節介であんま人をコケにすんなよ。」

 琉夏の、喧嘩の前座のような物言いに琥一は乗らず、ふぅ、と溜息を1つだけ零した。

 「なんか勘違いしてんだよてめーはよ。・・・頼む、大事にしてやってくれ、あいつを。俺にとって、あいつは妹みてーなモンだ。あいつは何も悪くない。だから。」

 「いつまでそうやって兄貴面してるつもりだよ・・・!」

 苛立ちを抑えずに、琉夏が低く呻く。
 琥一はそんな琉夏を見てもトーンを変えず、

 「兄貴面してるワケじゃねぇ。勘違いすんな。俺にとっては、お前も、あいつも、面倒見る保護者気分になる対象だってだけだ。・・・そんだけだ。そんだけなんだよ。てめーは頭が良すぎて考え方が捻くれてんだよ。どういうつもりも何も、俺には無ぇ。」

 「いや、どういうつもりだよっていう俺の台詞は間違って無いね。あれだけお膳立てしてやったのに、まさかミナコにキスもしなかったの?」

 「いい加減にしろ。する訳ねえだろう。俺にとってアイツはそんなんじゃねえ。」

 「・・・呆れるぜ、コウ。」

 低い声で言い捨てた琉夏を、琥一が軽く睨む。だが、琥一はそれ以上その話を繋げる気が無いとばかりに、何か食ったのかと、先程と同じ台詞を口にした。

 琉夏は答えず、ふっと一瞬俯いた目をもう一度琥一に向けると、憤然とした笑みを浮かべてから階段を上がって行った。



 

 琥一に2度目の拒絶をされてから2週間後。
 ミナコは打って変わって、明るい笑顔で琉夏の隣に座り、昼休みを屋上で過ごしていた。

 「やっぱりタラコのおにぎりが一番美味い!」

 「ルカちゃん、本当にタラコのおにぎり好きだね。」

 嬉しそうに弁当を頬張る琉夏を、ミナコは目を細めて見詰めた。
 優しい幼馴染の顔で横に座る琉夏は、昨日も今日も、ミナコの作ってきた弁当を、美味しいと言いながら屋上で食べている。

 一昨日ミナコは、初めて男に貫かれた。
 相手は琉夏で、琉夏がこの間のように泣き叫ぶミナコに強引に噛みついたのではなかった。ミナコから、琉夏にキスをした。

 「ミナコ・・・。」

 ミナコはずり落ちそうな感情を必死で神経に引っ掛けて、他に縋る物が無く琉夏の首にしがみついている自分の惨めさと醜さを、狡さで無理矢理覆い隠していた。

 自分はなんてひどいのだと思った。
 忘れたい。消し去りたい。その為に、自分を好いてくれている男を利用するなんて、ほとほと汚い。

 身に凍みるほど判り切っていたが、それでもミナコは琉夏に縋りつかずにはいられなかった。甘えられるものに甘えたかった。あれだけの勇気を振り絞っても自分にたった一瞬しか触れず、感情を見せてくれなかった琥一に持っていた自分の気持ちが、ひどくみすぼらしくて可哀想で、耐えられなかった。

 だったら、琉夏の愛情を信じて、縋りたいと、ミナコは思い直したのだ。
 愛情を踏み台にするような狡さ。それに気付く頭に蓋をして、ミナコは必死で琉夏の愛に甘えた。

 「どうして? ホントにイイの? あのねミナコ、嫌なのに無理する必要は無いんだ。だから・・・。」

 「ルカちゃん、どうして私が嫌だと思ってるって決めつけるの?」

 自分が狡いと認識してしまうと、割と疑問を口にするのは楽だった。
 そこで初めてミナコは、単に今まで自分が、琉夏に嫌われたくなくて質問をしなかったのかもしれないと違う側面から己を見た。

 何にせよその時ベッドの上でミナコは、琉夏がどうして自分よりも琥一を選んでいると決めつけているのか、実際そうだが、何故本人でも無ければミナコが打ち明けた覚えも無い琉夏が妙に自信を持って信じているのかを尋ねた。

 琉夏は結局それには答えなかったが、その代わり、何度もミナコの気持ちを確かめてきた。

 「ルカちゃんと、したいと思ってる。その気持ちはウソじゃないよ。信じて。」

 きっぱりと強い目で言い切ったミナコの言葉を聞いた琉夏が、ほっと安堵したように見えたのは気のせいではないと、ミナコは温かい舌で唇をなぞられながら思っていた。

 
 ミナコの体に口を付ける度に甘さを増す琉夏の吐息は、ミナコの頭の中から虎一に拒絶された心の曇りをかき消す威力が十分だった。
 頭の中から大事な何かが抜け落ちて行く感覚に揺られながらミナコは思った。これで良かった。これでいい。琉夏の愛を注がれている最中は忘れられる。手に入れた昇華あるいは代替に没頭する。
 
 「あ、あっ、ヤダそんなトコ、いやっ、そんなトコ舐めちゃ、あっ・・・だ、めぇ・・・。」

 抵抗の途中で襲う快楽に、あっさりと流される。
 自分でも知らなかった小さな芽を舌と指で転がされると、ミナコは忽ち体を震わせて大声をあげた。

 「オマエすごい・・・こんなに膨れちゃって。こんなになっちゃったら、もうちょっと触っだけでイっちゃいそうだな。」

 「ひぃんんん! やめ、ダメえ!」

 「ん? なんで、気持ちいいんだろ。だったらやめない方がいいだろ。」

 ちゅうっと軽く芽を吸い、琉夏が囁く。

 「っん・・・だめだよ。たくさん気持ち良くならないと、オマエが辛いんだ。」

 そう言って、初めて知る強烈な快感に仰け反って喘ぐミナコを舌で攻め続ける。ミナコは仕舞には息も切れ切れになった。だが、舌から解放されてグッタリとしたミナコの蕩けた部分に琉夏が指を入れると、ミナコはまた壊れた玩具のように喘ぎ出した。

 「・・・もう、いいかな・・・そろそろ俺がヤバイ。」

 琉夏の呟く言葉の意味が、ミナコには良く解らなかったが、ぼんやりと芯が溶け出す頭では、もうそんな事はどうでもいい事にしか思えなかった。

 


 そんな事を思い出してぼんやりしていたミナコは、琉夏にふっと耳に息を吹きかけられて、飛びあがって驚いた。

 

 
 「うわぁ、俺が驚いた。」

 「ご、ごめん。ちょっとぼーっとしてたからビックリしちゃって。」

 ミナコは咄嗟に言ってからはっとした。
 琉夏の顔色が変わったわけでも無いのだが、万が一にでも虎一の事を考えていたとは思われたくない。無実の罪は着せられたくなかった。

 「琉夏ちゃん見てたら、その、あの、ちょっと思い出しちゃって・・・。」

 「へ? 何を?」

 「う。そりゃ、その、この間の、初めて、した、コト。」

 フェイドアウトするように声を小さくさせながら、真っ赤になって答えたミナコを見て、琉夏が座っている距離を一層縮めた。

 「ミナコ、やーらしい。」

 「ち、違うよ、そんなんじゃないもん。」

 「もう痛くない? 大丈夫? 」

 「うん、もう大丈夫だよ。あの日は、家に帰ってからもちょっと痛かったけど、でももう今は全然平気。どこも痛くないよ。」

 「そっか、良かった。・・・ねえ。」

 琉夏が、そっと耳打ちをする。

 「帰り、ウエストビーチに来てよ。今日も、オマエとしたい。」

 息がかかって肩が跳ねる。首筋にぞくっと痺れが走った。
 それらを知らなかったそれまでには既に戻れなくて、琉夏に腰を引き寄せられるまま抵抗もせず、今日もまた、ウエストビーチのあの琉夏の部屋で声を上げる自分が容易に思い浮かぶ頭を霞ませながら、ミナコは琉夏のキスを受け止めていた。

 忘れられる。きっと。
 自分はこれから、自分を好きでいてくれる優しい琉夏に甘えながら、自分を拒絶した、一番好きだった男への気持ちは忘れられるんだ。それだけを信じて、ミナコは琉夏の服の胸元を、ぎゅっと握った。



 
               

              To Be Continued・・・・・
 

 

 

 
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みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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