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MyFunnyValentine 第1話




My Funny Valentine



 第1話
 
 


 
 チョコレートはカカオ豆で出来ている。
 
 だけど、カカオ豆は食べた事が無い。

 今、どうしてこの場でこの状況で、こんな下らないコトを考えているのか自分自身でも解らない。
 頭の片隅だけ別世界に飛ばしたまま、ミナコは目の前の男の胸部を見ていた。

 目を、合わせられなかったから。

 「・・・ッチ、何とか言えや。」

 「だって。」

 苛立たしげに舌打ちする態度に反論しようと、ミナコは咄嗟に顔を上げて、結果的に避けていた相手と目が合う。
 しかし次は、相手に顔を逸らされた。

 「コウ、どうして・・・。私は、ルカちゃんは大好きだけど、でもそれは、コウに対して持ってる気持ちとは全然違うモノなの。私・・・私は、コウのこと、男の人として好きな。」

 「やめろって。」

 ミナコの告白を遮り、苦虫を潰したような顔で琥一が俯く。

 「ルカの気持ち知ってんだろ。」

 「な、そ、それじゃあ、コウの気持ちはどうなの? 私は、コウの気持ちが知りたいの。コウは私をどう思ってくれてるの?」

 俯いてた彼が顔を上げた。
 睨まれるのかと身構えたミナコは、しかし琥一の沈痛な面持ちに畳みかけた勢いを失速させた。

 「・・・俺が、それを言ったら・・・。」

 琥一は言いかけて立ち上がる。
 
 「ルカにどんな顔すりゃいいってんだ。ルカとよろしくやってくれよ・・・。」
 
 「コ・・・。」

 「やめとけ、俺なんか。ルカの方が、よっぽど女慣れしてて楽しい気分にさせてくれるに違いねえ。・・・オマエもう帰れ。そろそろルカが帰って来る時間だ。」

 「そんな。」

 ミナコが尚も喰い下がろうとした時、近付いてきたバイクのエンジン音が止まって、窓ガラス越しにルカが見えた。
 
 「言ってる傍から帰って来やがった・・・。余計なコトは何も言うなよ。いいな。」

 琥一が念を押すようにそう言い、きれいにラッピングされて先程自分に手渡された、ミナコの手作りのバレンタインチョコレートを掴んだ。

 「はーただいまー。ぁ・・・ミナコ! 待っててくれたんだ?」

 少し仏頂面で入って来た琉夏は、ミナコの姿を見つけると、ぱっと表情を明るくした。

 「こんな日に限って大迫チャンに捕まるとか、マジでツイてないって思ってたけど、良かった。ミナコがまだ居てくれて。そろそろ暗くなりそうだったから、もう帰っただろうなって諦めてた。」

 嬉しそうにミナコに近寄る琉夏を制するように、琥一が先程の包みを琉夏に突き付けた。

 「え、何コウ?」

 「ミナコから、てめーにだ。」

 ミナコは驚いて琥一の顔を見たが、琥一はただ真っ直ぐ琉夏を見ていた。

 「ちょ、え。待ってよ。なんで俺、コウから貰ってるワケ?」

 隠しきれない嬉しさが混じる声で、琉夏が多少困惑しながらミナコを見る。
 ミナコは、琥一にギロリと睨まれ、結局適当に笑うと、琉夏に

 「細かいコトは気にしなくていいのに。ルカちゃん、貰ってくれる?」

 心と反対の言葉を口にして、じくじくと胸が痛い。
 ズタズタに裂かれてゆく心はもっと血が噴き出さんばかりに、自分の意志とは無関係に主張するものだと予想していたが、人間は案外、隠す能力に長けているのだと身を持って知った。

 面と向かってルカに、違うと言うだけの勇気が無かった。琥一に嫌われるのは、もっと耐えられなかったのだ。

 「マジで?・・・・スゲー嬉しい。ミナコ、ありがとう。」
 
 「あ、ううん。」

 眩しいものを見るような目で自分を見詰める琉夏の目に、ミナコは悲しさと申し訳なさで逃げ出したかった。


 「おいルカ、送ってってやれ。もう暗いから、あぶねーしよ。」

 「そうだね。ミナコ、後ろに乗っていきな。あ、でもちょっと待ってて。俺、これ部屋に置いてくるよ。ココに置いといたら、コウに食べられちゃうし。」

 「喰わねえよ、バカ。」

 軽い足取りで階段を上がっていく琉夏の姿が見えなくなるのを確認して、ミナコはもう一度琥一に向き直った。

 「コウ・・・ひどいよ・・・。」

 「・・・・・・・。」

 「どうして・・? 私のコト、嫌いなの・・・?」

 「・・・そうじゃねぇだろ。」

 「じゃあどうして?」

 「同じコト何度も言わせんじゃねえよ。アイツにはお前が必要なんだよ。お前だって、別にルカを嫌いなワケじゃねーだろうが。」

 「ミナコー! 行くよー!」

 階段を降りながら、琉夏が2階辺りから大声を張り上げる。

 琥一はミナコに背を向けると、すれ違いざま 「行ってくる」 と声を掛けた琉夏に目配せもせず、階段を上がって行った。


 

 「送ってくれてありがとう。居残りで疲れてるのにごめんね?」

 「居残り言わない。大迫チャンに捕まっただけ。てゆっか俺はへーき。お姫様を送り届ける役得は、寧ろいつでも大歓迎。」

 家に着き、バイクのエンジンを止めて貰ってから降りたミナコは、琉夏に御礼を言った。

 「あれ? ミナコん家、珍しく電気ついてないけど・・・。」

 「あ、うん。今日はウチの親、親戚の結婚式で遅くなるの。ちょっと遠いから、新幹線で行ってるから。まぁでも、11時くらいまでには帰ってくるけどね。」

 「え? 11時って、その間オマエ、ずっと1人で居るつもりだったのか。」

 「うん。」

 「うん。って・・・、何で言わなかったんだよ。だったらどっかで食ってから帰るとかあるじゃん。」

 「大丈夫だよ。」

 「何言ってんだよ。」

 琉夏が、ミナコの腕を掴んだ。
 
 「俺が大丈夫じゃない。危ないだろ。ウエストビーチに戻ろう。んで、また送ってやるから。コウに何か作って貰えばいい。電話して、材料聞いて買って行くからさ。」

 「・・・・・・・。」

 今ウエストビーチに戻って、頑なに自分の告白を拒否した男と顔を合わせるのか。
 そう思った時ほとんど無意識で、ミナコは琉夏に、家に上がって食事をしていけばいいと口にしていた。

 「え・・・でも、いいの・・?」

 琉夏の、戸惑いながらも嬉しそうな声。その表情に、ミナコの良心が少し痛んだ。琉夏は、あのチョコレートが本当に自分に渡された物だと、微塵も疑っていないのだろうか。だとしたら、もっと良心が痛い。

 「うん。でも私、今日の夕飯は適当にパスタとかで済ませようと思ってたの。茹でて、キュルピイのかけるだけソースでおしまい! って・・・。それでも良ければ、だけど・・・。」
 
 「いい。パスタ、いいね。俺、今この瞬間からパスタが世界で一番大好きになったから。キュルピイのかけるだけソース、最高。」

 「もう。ルカちゃんはすぐそうゆうコト言うんだから。」

 「ねね、タラコ味ある? 俺、タラコがイイ。」

 「あるよ。私もキュルピィパスタソースシリーズは、タラコが一番美味しいと思ってるの。」

 引き返せない。
 あの時、琥一の、チョコレートを掴んだ手が次に何をするのか判断できず、見過ごしてしまった自分はもう戻れないのだとの諦めもあった。
 ミナコは鍵を開けて琉夏を招き入れると、リビングでテレビのスイッチを入れ、琉夏をそこへ座らせてお茶を用意した。
 
 そして、着換えをする為に一旦一人で自室に入った。
 ぼすっと、ベットに倒れ込む。

 こんな予定では無かった。親が居ないのを理由に、コウを夕食に誘おうと思っていた。ここに来てくれるのは、自分の予定ではコウだった筈なのだ。なのに、コウが居ないどころか、琉夏が居る。

 「捨てるかと思った・・・捨ててくれた方が、よか・・・った・・・。」

 今更どうにもならないのに。繰り返し過る後悔に頭を振って、ミナコはセーターとロングスカートに着替えてリビングに戻った。

 


 「ごちそうさまー!」
 
 食った食ったと繰り返しながら、満足げに琉夏が腹をさすっている。

 ミナコは、お粗末さまでしたとニッコリ笑顔をつくる。
 そして、パスタを用意している間に琉夏が近くのコンビニで買ってきてくれたプリンの蓋を、ぺりぺりと捲る。

 「あ、やっぱりルカちゃんのプリンと違うね。」

 「そうだな、こっちの方がなめらか。ソコが30円の差か。」

 「プリンのお供が緑茶でごめんね。先に気付けば、ルカちゃんの好きな飲み物買ってきて貰えたのに。丁度コーヒーも紅茶も切れてるとか、ありえない、ママってば。」

 「ん? プリンに緑茶、サイコー。」

 2人で2種類のプリンを味見しながら、あれこれ言い合う。
 
 テレビはつけっぱなしになっていた。適当につけて、それから退屈凌ぎに琉夏が適当にチャンネルを変えて遊んでいただけだから、およそ自分達では選ぶ事は無いだろう、どこか外国の深刻そうな経済事情のルポ番組が流れている。

 「ミナコ。」

 「ん? なぁにルカちゃ・・・。」

 ミナコは驚いて声を切った。
 音も無く、いや、音はしていたのだが、生活音の中に紛れていた。それくらい、ミナコにとって琉夏と居るコトは特別な日常ではなく、そして、緊張を要するものでも無かったのだ。

 だから、気付いたら自分の隣の椅子に浅く腰掛け、真っ直ぐに目を見ながら腕を掴んだ琉夏に、咄嗟に身構えてしまったのだった。

 「さっきの・・・。あのチョコレート、ホントに俺が貰ってもよかったの?」
 
 琉夏の言葉に、息が止まる。
 嘘と、事実と、琥一のメンツ。琉夏への情。そして保身。思いつく限りあらゆるものを天秤に架ける。時間が無い。時間をかければかける程、口にした言葉は信用度を下げる。

 「・・・うん。」

 「俺、信じていいの?」

 「うん・・・。」

 「ねえ、オマエ、嬉しそうに見えない。」

 「そ! そんなコトないよ!」

 弾かれたように否定する。
 弱まった琉夏の目の光に、罪悪感と、そして、偽善的な母性本能が湧いたのをミナコは自覚していた。

 「そっか・・・うん、信じるよ。ミナコが、俺を選んでくれた、それ、信じる。」

 ミナコは返事が出来なかった。曖昧に笑った。
 そもそもあのチョコレートは、琉夏の―――――――――。


 1ヵ月前。
 幼馴染みの仲良しの3人。その中でミナコは、ずっと琥一に特別な、淡い想いを抱いていた。
 だが、琥一はああいう性格だ。なんとなく、向こうも異性としての好意を持ってくれているのではないかという出来事はソコソコあるのだが、勘違いだった時の恐怖で、ミナコは踏み出せずに居た。この関係が壊れてしまうのが怖かったのだ。
 
 もしも琥一が自分を女として見てないのなら、想いを告げた途端会話もなくなるかもしれない。ミナコはそれが怖かった。
 
 だからこそ、琉夏も交えて3人で楽しく過ごしていたし、それが最善だと、ミナコは信じていた。
 ある日、学校帰りの夕暮れ時の浜辺で、そう思っていたのは自分だけだったのかと頭を殴られたような衝撃で立ち尽くすその瞬間までは。

 「俺、ミナコが好きなんだ。俺と、俺だけと、付き合ってほしい。」

 その時のミナコは、すぐには何を言われたのか判らなかった。

 なぜ、琉夏なのか。
 真剣な瞳も声も、ミナコの胸をぐさりぐさりと静かに突き刺す。

 この言葉を口にしてくれたのが、どうして自分の想い人では無いのか。しかも、なぜ想い人の弟なのか。赤の他人だったら、又違った筈なのに。しんとした2人きりの砂浜で、ミナコはぼんやりと、向かい合わせに立つ彼の肩越しに見える景色よりも更に遠くへ、目を馳せた。

 「私、その・・・。」

 言い淀むミナコに、琉夏は寂しそうに笑うと言った。

 「いいよ。今は、ムリに返事しなくてもいい。でもさ、俺がこうやって自分の気持ちを告白した事で、ミナコの俺を見る目が変わるかもしれないだろ。だから俺は未来に賭ける、なんちて。・・・まぁ、悪い方に変わる。ってのも、あるんだけど。」

 「そんな、悪い方になんて、ソレはないよ・・・。」

 「そっか。でもさ、やっぱり、返事は今はいい。・・・あのさ。来月、バレンタインじゃん? 返事はその時で。ごめんなさいなら、チョコは要らない。でも、OKなら、チョコ、俺だけに頂戴。・・・コウにも、あげないで?」

 「え、な、なんで・・・あ、あの。でもっ! ほら、私、毎年コウだってあげてるし、不二山くんやニーナにも、義理チョコあげてたから・・・。」

 コウにもあげないでという琉夏の一言が、もしかして、自分がコウを好きだというのがバレているのかとミナコは焦った。琉夏に返事をするしない以前に、折角のバレンタインデーでコウにチョコレートを渡せない状況は何としても避けたくて、咄嗟にクラスメートの名前などを口にしたミナコに琉夏は、

 「OK。じゃあ、柔道部コンビには毎年恒例ってコトで、義理チョコプレゼントをどーぞ。義理チョコを、ね。大事な事だから、2回言う。」

 お茶目に許可を出す琉夏が、笑って、そしてすぐ真面目な顔をした。

 「でも、それ以外は、くれるんなら俺にだけにしてほしいんだ。・・・ミナコだって、断るんなら、言いにくい台詞言うより、チョコは無い!って行動で示せたら、その方が気分が楽でいいだろ? それに、俺が貰えても、コウも貰えてたら、なんか、チョコの意味が判んなくなっちゃいそうだからさ。」

 これは、琉夏の気遣いなのか。
 静かにきっぱりと依頼する琉夏の背で、赤さが波に混じって消えそうな夕焼けを見ていたミナコにはもう、断る為の台詞が見つけられなかった。




 そして。
 今日、そんなやり取りが琉夏とミナコの間で交わされていた事など知りもしない琥一が、琉夏にミナコのチョコを渡してしまった。琉一にと、覚悟を決めて告白したミナコの渡したチョコレートを。

 「ありがと、ミナコ。」

 そう言って、琉夏が顔を近付け、ミナコにそっとキスをした。
 驚いて固まったミナコの静止を肯定だと受け取った琉夏は、そのままもう一度キスをした。今度はミナコの背に腕を回し、自分に引き寄せ、遠慮勝ちに舌を差し込む。

 ずるりと頭から何かが抜け落ちた感触がして、ミナコはただ琉夏のキスを受け止めていた。
 涙は出なかった。失恋したのだと実感したが、泣きたい気持ちでは無かった。
 
 もう琥一へ目を向けるコトは出来ない。ミナコは、その事実を叩きつける琉夏のキスを、深海へ沈むような気持ちでされるがままに受け止めていた。


            
           
 

               To be continued・・・・・
 


 

 

 

  

 

 

 
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No title

泣けた!

だって。これさ・・・ゲームしながら「こうなるだろ?」と
思ってた情景だから。

そうなんだよね。
ルカとコウ・・・お互いに遠慮、特にコウはルカを優先させるから
絶対、こういうツラい三角関係に陥っちゃうのよね。

みるくちゃん、早く続きを~~~!


あ、でも「ミナコ」って誰よ!←ジェラシーwww

雫ちゃん

泣けた!? 泣けたの!?

やだー!!!!!! ありがとー!!!!!

私としては、一生懸命ルカとかキャラの雰囲気を壊さないよう、言葉尻まで気を付けたつもりです!
特にルカは、ちょっとしたコトでルカじゃなくなるから、気を付けたよー!
でも、あの儚さがほんと、ルカちんの魅力だからね。

世のときメモGS3プレイヤーの大人女子が、きっと思ってただろう△関係をwww
私が根暗な感じでお届けします。
ファンに殴られないようにネットサーフィンする時は夜道に気を付けようwwww

え。
あれじゃん、ミナコって、ゾウのミナコじゃんwwwww
私あの動物園デート見た時、あ! ミナコ! コナミだからか! そっか! 
って、なんかそんな変なトコにすごく感心してたよwwww
漢字当てたら何か違うかなって気がして、そのまま象のミナコのまま使ってるけどwww
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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