FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Room2308 最終話





 Room2308
 最終話






 



 
 一ノ瀬さんはどんな気持ちなんだろう。
 

 この部屋に通うようになって、それは当然不安だった。でもその不安は彼の心情を慮るというよりは、自分が一体どんな風に見られているのだろう不安と、そして、その後がどうなるのか判らないという恐怖だったと思う。

 嫌われたらイヤ。ふしだらな女、淫乱な女だと思われたらイヤ。誰とでも寝ると思われたら困るし、そう取られてたら誤解だと訴えたい。もしこんな姿を見たら想像を超える嫌悪感を持たれ、別れるなんてなったらどうしよう。でも、そんなマイナスな感情は最初だけだった。


 これが愛なのかと人に聴かれたらそうだと答える。今の私には、言い切る自信がある。
 誰に何を言われても思われてもいい。私は彼の為にどこまでも堕ちる。


 だってこれが愛でなくて何? 愛してる人が望むならこの身は捧げる。愛してる人の目を、心を、欲望を満足させてあげられて自分も気持ちがいい。贅沢な時間。不満が無くて恋人の希望を叶えられる。夢みたい。


 腹筋に着く程勃ち上がった彼のモノが体液を噴射した時、素直に嬉しかった。
 床に飛び散ったそれを舐め取る時に、いつも彼を、彼以外の3人を受け入れてる部分が切なく収縮して、それを見てほしくて仕方なかった。一ノ瀬さんに教えたい。貴方の反応に、私も反応すると。3人の男性はあくまで私たちの愛をどこまでも膨れ上がらせるだけのお手伝いさん。そんな言い方は聞こえが悪いと思うけど、それでも彼らには感謝している。彼らが居てこそ私と一ノ瀬さんは、余分な不安無くどこまでも私たちだけの快楽を追い求められる。

 
 一ノ瀬さんも、そんなようなコトを言ってた。
 いつの間にか私も、一ノ瀬さんの考えを疑問なく肯定するようになった。

 
 誰でもいいわけじゃない。多分。
 
 
 顔見知りの、よく判ってる相手だからこそ少しだけ安心している。同じ世界にいるからこそ信じられる秘密厳守の意識。学生時代からずっと一緒だった神宮寺さん達じゃなかったら、ここまでスムーズには受け入れられない、きっと。


 元々男の人は得意じゃない。だから、会った事も無い人に突然襲われたらそれは本当に只の恐怖でしかない。でもこの3人は、一ノ瀬さんの為って言ってた。本当は自分の為なのかもしれないけど、でも、結果的に本当にそれが一ノ瀬さんの為になって、そしてそれで私の彼への愛も証明されていてすごく素敵。なんて幸せな話。

 恋人が望む事はしてあげたい。
 例えそれがどんな事でも。この私の身で事足りるのならば。


 この気持ちが愛以外の何だと言うの。


 一ノ瀬さんを見る。
 彼は満足気な目をしていた。私が彼を癒せている。それが嬉しい。それを叶えてくれているこの3人には居て貰わないと困る。彼らに私を追いかける気持ちを失われたら困るの。だってそれじゃ一ノ瀬さんが満たされない。


 「あんっ!」

 乱暴に自己満足を追及していた音也君のモノが抜かれてすぐ、神宮寺さんが私の中に入って来た。

 
 「ハニー、妊娠するのは俺の子かもしれないよ。最初にぶち込んだヤツが必ずしも権利を得る訳ではないからね。・・・すごいな、中、どろどろになってる。」


 横で、ベッドから降りた音也くんが炭酸水のペットボトルを豪快に飲み干して、誰宛てにでもなく言葉を放つ。


 「俺の赤ちゃん妊娠したら、俺と結婚するんだよねー。」


 ベッドルームをすり抜けながらの大声に、誰も返事をしなかった。
 神宮寺さんは私の身体を愉しむのに夢中で、一ノ瀬さんはそれを眺めるのに夢中だった。

 寿先輩だけが、少し間をおいて新しい飲み物を持って戻って来た音也くんに笑顔を見せた。


 「さあ、どうかな。」

 喘ぎ声をあげる私は犯されてる最中で頭が真っ白だと思われているのか。
 寿先輩が呟くように言った。


 「妊娠しても結婚できるかどうかは判らないよねえ。それに、誰かが当てるか誰も当てられないか、それも判らない。でも取り敢えず、僕はどれにもならない、絶対。」


 私と目が合ってるようで、合ってない。
 彼は私の姿を視界に入れているだけで、私ではない別のものを見ながら言葉を紡いでいた。


 「僕って、なぜか一番欲しい物が手に入らない運命な気がするんだよね~。」


 「ふうん?」


 手元からころんと。

 指がもつれたのか、ペットボトルの蓋を落とした一十木くんが、それを拾う為にしゃがみ込んだ。立ち上がりながら子供のような上目遣いで、寿先輩を見る。


 「だから嶺ちゃんじゃ、妊娠させられないってコト?」


 「いや。ていうかそこ?」


 きょとんと聞き返した音也くんに見せる寿先輩の笑顔は、穏やかでとても優しい。
 神宮寺さんが私に覆い被さって腰を打ち付ける様を眺めながら、まるで違うものを見ている顔だった。


 「そういう意味じゃなくってさー・・・。僕ね、ほんとはトッキーに誘われた時は、別にこの子を大好き! とかって気持ちを持ってなかったし、ハッキリ言ってなんか面白そうだなってだけでノったんだ。おとやんたちみたいに、明確な目的を持ってなかった。それって既にスタートから何かが足りないよね。 」


 「えー。俺、わかんない。嶺ちゃん難しいコト言ってる~。」」


 「・・・僕もよく判らないけど、何かが欲しいって気持ちが強くないと、結局何も残らないっていうか、ね。でも。」


 寿先輩が、自分の掌を見た。


 「でも、この部屋に居る時は震えるほど気持ちがいい。ズタズタになったトッキーを眺めるのが。ドロドロになって自分のいいなりになる彼女を見るのが。それだけで満足しちゃえて、それはそれでいいんだ。」


 2人の視線が私に向く。
 半分目を閉じた私が、彼らの話を意外に冷めた頭の片隅で聴いてるとは思ってないみたい。



 「だけど気付くんだ、いつも。」


 「え?」


 「トッキーは、彼女取られてズタズタになってるように見えて本当は違うんだ。って事に。」


 「どういう意味? トキヤが春歌と別れないからって意味? だから取ったコトにならないからって意味?」

 
 「そうじゃないんだ。なんていうか・・・。」


 寿先輩はとてもゆったりと話していた。
 傍から見たら、きっとこんな会話をしているとは思えないような表情だった。


 「僕はこうゆう風になりたかったワケじゃいんだ、多分。音やんが今言ったみたいに、彼女に僕の子を産ませるとか、そんな夢は持ってない。僕は単に僕の気分で動いてて、トッキーの為に動いてるつもりもなくって。でも、誘惑に負けちゃったからココに居るってのは判る。だから思うんだ。もう本当の望みは、それが何だかよく判らないけど、でも叶わないんじゃないかなって。気付いたらこの部屋に来るのが楽しみになってるってだけだからさ。」

 
 首を傾げる一十木くんの顔が、神宮寺さんに弱い部分を擦られた快感で歪んだ。そのまま引っ繰り返されて、勢いをつけた神宮寺さんが私の中に大量の精を放った。

 
  
 どれくらい経ったのか。
 5分も経ってないのかもしれない。

 寿先輩が、引き摺った余韻に漂う私の顔を覗き込んだ。
 すぐ後ろで一ノ瀬さんも、私の姿を満足そうに凝視していた。


 私は、反射的に手を伸ばした。
 一ノ瀬さんへと伸ばしたその手は、思惑を外して寿先輩に優しく掴まれた。私はその時、自分では気づかなかったしそんなつもりもなかったのだけれど、拒む空気を一瞬醸し出してしまったようだった。
 

 自嘲気味に寿先輩が笑う。
 その時その目が、確かに、私の手が本当は一ノ瀬さんに差し出されたコトに気付いて、それを責める苛立ちを視線として送ってきた。

 
 「さ、ロシアンルーレットだ 誰の子を、孕むか。」

 背中がぞわりとした。
 本気だ。

 さっき、私を妊娠させられる気がしないと言っていた彼は、それすら楽しもうとしていると判った。このままだときっと、私は今夜どれだけ犯されるか判らない。
 
 でも寿先輩のその言葉を聞いて、戦きながらも神宮寺さんの出した体液がとぷりと零れ落ちる程度には蜜壺を収縮させた私とは真逆に、一ノ瀬さんが乾いた吐息で笑った。


 「ふ、それはまた、ある意味どっちがそれをされてると思ってるんです。今の寿さんの表現では、被験者は彼女のような言い方ですが、実は違うと思いますよ。」


 「えー。どういう意味? 2人とも難しいコト言っててわかんない、なんで? 妊娠したら困るのは彼女じゃん。」


 「バカですね。当たったら、一生、罪を引き摺って生きて行くのですよ。愛するという罰を受け続けて。」


 彼らはいつも、情事の最中は人が変わったように狂った目をして乱暴になる時すらあるけど、合間、合間はこうして普段通りの友人の顔で言葉を交わす。


 愛するという罰。

 罰に愛は該当するのか。ではこれは。一ノ瀬さんも、実は罰を受けているということ? 私をこんな目に遭わせたから、私を愛するという罰を受けているとでも。そうは思えない。だからきっと、当たったら受け続ける罰は彼らにとって幸せな事に違いない。


 そんな思考が奇妙だと思えない事こそが、私たちのしている事がおかしいのだという証拠なのだろう。

 

 「罰は受けるよ。」


 寿先輩が静かに言った。
 
 
 「罰が、あるならね。」

 
 「へぇ、殊勝だねブッキー。」

 
 「僕ちんはいつだって殊勝ですー。・・・何だか解かんないけどさ、解かんないから、罰でもなんでも、あるなら、欲しいよ。確実なモノがほしいな、なんてね。」

 
 「確実なモノ、ね。・・・その気持ち、ちょっと判るかな。そうだね。オレもそう思うよ。彼女をこんな風にして弄んで、罰があるならほしいね・・・。」


 
 「おや、罪悪感があるのですか?」


 神宮寺さんの言葉に、一ノ瀬さんが質問をした。
 彼が答える前に、一ノ瀬さんは更に質問を重ねる。


 「もう数えきれない程彼女をひどい目に遭わせてきたというのに、まだ罪悪感があるのですか? それとも、最近になってそういう感情が芽生え始めたとか?」


 「いや・・・。」


 神宮寺さんは少し考える素振りをして、


 「罪悪感は持ってないかな、なんて、ハッキリ言うとまるで人でなしな感じだけど。でも、悪いね、持ってない。そうじゃなくて、単純に行為としてね、罰せられてもまあ当然かな、って認識はあるよ、って事さ。」


 「すごい発言きたね。罪悪感無いとか、レンレン意外と悪い人だねえ。」


 寿先輩が面白そうに笑う。


 「そうですね、いい加減な性格ではあっても最低限人としてのラインは捨ててないと思っていましたが、案外イカれていたんですね。」


 一ノ瀬さんも、なぜか笑顔だ。
 それにつられたのか、神宮寺さんがふっと笑った。
 
 
 「ひどい言われようだねえ。でも、特にオレがイカれてるわけじゃないと思うけどね。」


 神宮寺さんはそう言いながら、ずっと皆の話を黙って聞いている、きょとんとした顔のままの一十木くんの手からペットボトルを取り上げ、半分程残っていた中味を一気に飲んだ。ゴミ箱に空のペットボトルを投げ入れて、私の顔を見ながら言葉を続ける。


 「さっき敬愛すべき先輩が言ったのと同じさ。オレも確実なモノが欲しいって意味だよ、罰が欲しいっていうのは。それにね、人間なんて、きっとみんな最初からちょっと狂ってるんだよ。ただ、その狂ってる部分が、普通は閉じたまま一生が終わるんだと思う。何かの弾みで、ソコが開いて狂気が大っぴらに顔を出してしまうのさ。今のオレたちみたいにね。」 

 
 「そ、悪魔に見つけられちゃったんだよね、その閉じた部分を。そんで、そこを開けられちゃったんだよ。」

 
 「悪魔? ・・・それってトキヤ?」


 気付けば床にお尻を降ろして座り込んでいた一十木くんの台詞に、寿先輩と神宮司さんが顔を見合わせ、そして、一ノ瀬さんにもちらりと目配せをして3人共がふっと笑った。
 
 

 「悪魔はこの子だよ。僕たちを狂わせた本当の悪魔・・・。」


 寿先輩がそっと、私の頬を撫でた。
 頬を撫でた手をそのまま首筋へ滑らせ、ぞくんとする感覚に私は逆らわずに甘い息を吐いた。

 
 「トッキーは差し詰め、俺たちを共犯に誘い込みに来た使い魔、ってとこかな。トッキーだって、このレディと気持ちイイコトしてたから、隠してた欲望が顔を出しちゃったんだからね。」



 使い魔。
 一ノ瀬さんが? そして私が悪魔?


 私の方が、一ノ瀬さんを使っているというの? 私が彼に指示を出しているというの? 言い出したのは彼なのに。最初は私はムリヤリ、一十木くんに犯されてショックを受けていたのに。


 でも。

 でも、いつからだろう。
 一ノ瀬さんに、こんな風に、彼ではない男性と身体を重ねているのを見てほしいと自分から思うようになったのは。目的がいつのまにかすり替わっていると言われれば、そんな気もする。

 
 
 「さ、後輩ちゃん。生贄はイケメン揃いだ。好きなだけお食べよ。」

 
 寿先輩が、いつもの茶目っ気たっぷりの笑顔で私の髪を掴んだ。


 「いいね。悪魔との契約の代償は、このオレ自身か。悪くない。」


 判らない。
 でも違うと思う。私は、違うと思ってる。悪魔は私じゃない。

 一十木くんが立ち上がった。
 その体の中心にあるモノは、また大きくなっていた。気付けば、私を囲むようにしている他の皆も、同じだった。

 意識が遠くなる。
 あれで気絶するまで掻き回される。それを一ノ瀬さんに見られる。期待が体温を上げ、近づいてくる一十木くんの姿がやけにゆっくりと感じられる。そんな朦朧とした頭を掠めたのは、神宮寺さんの声だった。


 「そういえば、どうしていつも必ずこの部屋が取れるんだい。」


 それは本当に、何の気なしに思いついたから聞いてみた、というような聞き方だった。一十木くんがちらりと、神宮寺さんと一ノ瀬さんの顔を見た。


 「この前ふっと思ったんだよね。この部屋ならソコソコ人気はあると思うんだけど、よく毎回取れるなって。月とか年単位で抑えちゃってるわけでもないんだろう。タイミングがいいだけかい?」


 「さぁ。」


 一ノ瀬さんが、私に優しく口づけて答えた。


 「昔の映画で、ありませんでした? 2,3なんとか番の呪われた部屋。ここもそういう部屋なんじゃないんですか。彼女が悪魔なら。だから私たちは、こんな風になっているんではないんですかね。」












  

 fin



  







  あとがきを、1週間後くらいに掲載予定です








関連記事
スポンサーサイト
[PR]

FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。