FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

苦いチョコレイト

 


 
 
苦いチョコレイト





 
 バレンタインSS第2弾は、うたプリから砂春でお送りします。これから1年、また色々な季節のイベントにひっかけて、年末に頂いたリクエストからUP出来たらと思っています。
 





 

 「わかってたのかよ。」

 「・・・え?」

 私は固まりました。
 今、目の前の彼は、なんて言った? わかってたのかよ? え? な、何? 一体どういう・・・。

 「人の顔ジロジロ見てんじゃねえよ。」

 その声で、私ははっと我に返りました。
 ま、ま、まさ、か・・・。まさかとは思いますが。

 「さ・・・砂月く・・・!」

 「久しぶりだなあ。」

 ニヤリと笑ったその顔は、那月くんと同じ造りで、そして、まったく違う人の貌をしていたのです。

 「どうして・・・え、あ、眼鏡かけてな、でも、なんで・・・!」

 「あのなあ。」

 砂月くんが、ふー。と息を吐き出す。呆れてるみたいな、久々に出てきた外の世界でぐーんとのびをして一息ついたみたな、どっちともいえない仕草。

 「正確に言えば俺は別に、眼鏡をかけてない時じゃないと出られないワケじゃねえんだ。まあきっかけみてえにはなってるが、眼鏡があろうがなかろうが、俺が強くなってるタイミングの時なら出てこれるんだよ。那月ちょっと疲れてるみたいだったから、代わりに俺が働いてやろうと思ってな。仕事に穴は空けらんねーだろ。」

 「そ、そそ、そうですか・・・。」

 「ああ。別にお前に逢いに来たわけじゃねえよ。」

 「そ、そうですか・・・。」

 その台詞は、那月くんに言われたワケじゃないのに、胸がちょっと痛んだ。

 

 「で。なんなんだよコレはよ。」

 「な、何ってその、チョコレートなのですが・・・。」

 「見りゃ解かる。わかってて2個作ったのかって聞いてんだよ。」

 凄んだ声に、私は肩を引き攣らせて返事をした。

 「あの、あのその、私は何をわかってたと思われてるんでしょうか! 言ってる意味がわからないんですけど・・・。」

 

 一体どういうことかというと。

 今日は、バレンタインデー。乙女の祭典。私も例にもれず、お付き合いしてる那月くんに、手作りのチョコレートをプレゼントしたのです。

 ところが、チョコレートを渡した彼が大げさに喜んで飛び上がった途端、ふらっとよろめきそのまま床に蹲ったのです。
 
 膝をフローリングについたまま、俯いて動かない那月くん。心なしか、胸を押さえているように見えました。苦しいのか、言葉も発さず固まっていました。そして、単なる立ちくらみではないような気がして心配した私が駆け寄り、必死に呼びかけたり、背中をさすったりすること約2分。漸く顔を上げた那月くんは、砂月くんになっていたのでした。

 そして、私がプレゼントしたチョコレートの箱を開け、開口一番、「わかってたのかよ。」 と・・・。

 さっぱりわかりません (爆)

 私は那月くんと2人で食べようと、味の少しだけ違うハート型のチョコレートを2つ、作って来ていたのです。1つは甘すぎるくらい甘い、ミルクチョコレート。もう一つは、ほんのり苦い、ビターチョコレート。どちらも掌サイズで、お互いちょっとかじりあいっこしちゃおうかな、なんて、考えていて。

 「まあいい。時間が無い。」

 がたん。
 砂月くんが大きく動く。

 作った理由を思い出して照れていた私は、びくっとして彼を見上げました。

 相変わらず間抜けな顔してんな。と、彼の嘲笑したような言葉が耳に入ってきた途端、ぐらっと視界が揺れて、私はあっと短く叫んだ。

 「ビビってんじゃねーよ。俺が押し倒しただけだ。」

 砂月くんの声が上から降ってくる。
 でも、まだ状況がよく呑み込めていない。俺が押し倒した? 私を? あ、そうか。だから視界が揺れ・・・。

 「さ、砂月くんっ! なにをっ!」

 「おま・・・反応にっぶ・・・。」

 呆れた声。
 はっと意識と状況処理の焦点が合うと、砂月くんが私を押さえつけて見おろしていました。

 その目は、もう、濡れたように色づいていて・・・。

 「さ、つ、きく・・・。」

 「黙れ。」

 短く窘められてキスされた。
 
 舌が熱い。でも、熱いのは私の頭かもしれません。

 本当は、砂月くんの姿を確認した時から、もう頭の中がぐらぐらと煮立ってしまっていたのかもしれません。だって彼は、最初に那月くんの顔をして私の前に現れた時から、もう私のことを見る目が潤んでいたから。それは、ベッドで見る那月くんの目と、同じだったから。

 彼の唇が唇から離れ、そのまま耳の後ろをなぞって、首筋に降りていく。

 「おまえ、こんなに乳首デカかったか? 那月に散々弄られてるみてーだな。」

 「っあ!」

 固くなった胸の先をぎゅっと指で潰され、私は軽い悲鳴を上げました。なのに砂月くんは、止めてくれるでもなく、延々とソコを指で扱き続けました。

 「や、あっ、あっだめ、ダメですう、そこばっかりだめえええ。あああっ。」

 「だめじゃねえだろ。嘘言ってんなよ。知ってんだよ、お前がココ弱いってのは。」

 そう。
 だって彼は、いつも那月くんを心配して見てるのだから、那月くんの目に映る私も知ってるに決まってる。

 「あー・・・もしかして。乳首だけでイキそうだからダメって言ってんのか。おまえも大概淫乱だな。」

 「や、そんな、ああっ。」

 「イケよ。見ててやるから。遠慮すんじゃねえよ。」

 ぎゅうっと。痛いくらい抓られて、私は声も出さずに瞬間、軽く意識を飛ばしてしまいました。

 「はあっ、はぁ、はあ・・・っ。」

 全身が一瞬で引っ張られて、また風船の空気が抜けるみたいに弛緩して、息を吐く。震える唇を、砂月くんの指先が優しくなぞってくれた。

 「イったな・・・。これだけでイクなんて、どんだけ那月とヤリまくってんだよ。それとも、元からこういうエロい身体してんのか。」

 怒ってるみたいな声。なんて表現していいのか判らない顔で、砂月くんが問いかける。でも、答えられない。口が動かない。頭が働かないのです。全身が気怠くてぼんやりしている私の足を、砂月くんが強引に開かせました。

 「あ、だめです・・・。」

 抵抗の声は小さくて、しかも、全然だめって雰囲気を出せてないものにしかならなくて。

 「ああ、砂月くん、あ、あ、ああん。んっ、ああっ。」
 
 砂月くんに内股をぺろりと舐められて、私はそのまま、気持ちよさに任せてされるがまま、彼の舌にいつも那月くんを受け入れている場所を愛されて、またふわふわしてしまっていました。

 「ん・・・。おまえ、めっちゃ気持ち良くなってんじゃねえか・・・っちゅ・・・。」

 「は、あ、ごめんなさ・・・んんん!」

 「いい。もう一回イケ。な。」

 「あああああん!」

 刺激されすぎて表面は痺れてしまったような入口上の芽を、強く吸われて、私はまた・・・。

 一瞬景色が見えなくなった直後、砂月くんの顔がすぐ目の前に来た。
 
 「さ、つきくん・・・。」

 「そんな顔してんじゃねえよ。」

 「ぇ。」

 「俺が、させたんだけど・・・。那月はいつも見てんだな、この顔。」

 「砂つ・・」

 名前を呼びかけて、途中で彼が覆い被さり、下半身に突然杭が打たれた。

 「あああああああああっ。」

 あまりに急で息が止まる。
 そして、思考も止まってしまって。その後は、息継ぎもやっとな激しいキスで口の中も同時に犯され、気持ち良さも、そもそも砂月くんが現れた現実も、すべてが出口を塞がれて彼の獰猛さに掻き消されていく。

 でも、手が、指が、優しくて。
 それだけは、感じられて。

 突然出てきて、再会を喜ぶどころか言いがかりみたいな台詞を吐かれて押し倒してきたというのに、私に触れる手はとっても優しくて。
 そんなことがぐるぐるしながら彼の重みを感じて、私たちは最後、お互い強く抱きしめあいながら、果てた。


 

 「時間だ。」

 頭が真っ白になるまで抱き合って、嵐が過ぎて、まどろんでどの位時間が経ったのか。
 まどろんで、言葉もなく軽いキスを交わしつつ、過ごしたゆっくりとしたその時。砂月くんが突然、何かを思い出したように言った。

 「どうしたんですか。」

 「那月が戻ってくる・・・もう、時間だ。」

 「時間?」

 砂月くんが起き上がって、さっきのチョコレートの箱を開ける。

 「1口、もらうぜ。」

 そう言って、薄いハート型のチョコレートをがりりと噛み砕いた、

 「は、ちゃんとチョコの味すんじゃん。」

 口を動かしながら、ニカっと笑う。

 「だってチョコレートですから、チョコの味はすると思います。美味しい、ですか。」

 私の質問に、砂月くんはちょっと黙った。

 「チョコの味だよ。・・・普通のチョコの味。苦い。」

 少し間を置いてから口を開いた彼は、どこか、寂しそうでした。そして、すっと私の頬に手を伸ばすと優しくゆっくり撫でてくれました。私はそんな彼を見つめ、ふと、気づいた事を口にしました。

 「あの、時間って・・・? 那月くんが疲れてるから、代わりにお仕事する為に来たってさっき言ってましたけど、でも、那月くんは明日のお昼までお仕事なかったような・・・。急なお仕事が入ったんですか。」

 砂月くんが黙る。
 私はそのまま、彼を見つめた。

 「やっぱりわかってたワケじゃねえんだな。・・・そうだよな。わかるわきゃ無ぇよな。」

 「はい?」

 「那月の代わりに仕事なんてしねえよ。お前なら、何言っても簡単に信じるだろうと思って言ってみただけだ。」

 「え、じゃあ、どうして。」

 さっきまで砂月くんに性急に求められて応えていたせいで、頭がまだふわふわして、深く物事を考えられないのに、なぞなぞみたいな話をされても。

 でもなぞなぞは、あっさり答えあわせに入りました。

 「ちょっとだけ、ほんとに少しの時間だけでいいから、お前の顔が見たかったんだ。」

 「え。」

 砂月くんの顔は真剣だった。

 「バレンタインに、お前からチョコを貰うのが、一度くらい俺だって・・・」

 「砂月くん・・・。」

 彼の手が頬から離れて、その手を追いかけようとした私の手が止まる。
 頬から離れた砂月くんの手が、眼鏡をそっと持ち上げたから。目の前に差し出された眼鏡が、砂月くんの必死さなんだってわかったから。那月くんが、戻ってこなくちゃいけないから。

 でもすんなりとは受け取れなくて、私はさっきと同じ位置で、手を止めたまま。 
 そんな私を見て、砂月くんが笑った。

 「また運が良けりゃ、逢える。いや、俺が出てくるってことは、那月にとっちゃ良くない事なのかな。」

 「砂月くん・・・。」

  私に、逢いにきてくれたんですか?
 
  今日はバレンタインだから、だから、那月くんがチョコレートを貰うから、自分も私から、貰いたかったって・・・そういう、意味、ですか・・・?

  そう考えた途端、ぼん! と自分の中の恥ずかしさに火が付いた。
  顔が赤くなったのが自分でもわかって、自分の両手で頬を隠す。


  砂月くんは、那月くんの中にずっといる。私の心にも。そう思っても、悲しくて。

  「ホワイトデーには、また逢えますか。」

  思わずそう口走った私を、砂月くんがぽかんと見つめる。
 彼は肩を竦めて、苦笑した。

 「かもな。そん時にならなきゃ解らねえ。・・・でも・・・、」

  言葉を切って真面目な顔をする。

  「逢っても、すぐ別れなきゃなんないだろ。」

 「さつきく・・・。」

  言いながら俯き、眼鏡を掛けた彼のその仕草が、胸に痛くて。
  思わず名前を呼んだのですが、でも、彼はもう一度顔を上げた時には、那月くんの顔をしていました。


 
  「あれ。僕・・・そっか・・・。」

 那月くんは、戻ってきたばかりでまだ頭がぼんやりするみたいでした。

  「・・・ただいま。あのね、今日さっちゃんが表に出たいって言うから、ちょっとだけ、僕、交代したんです。」

  にっこりと、でもどこか寂しそうに那月くんが笑顔で言う。

  「交代?」

 私はちょっと言い方が引っかかって、聞き直してしまいました。

 「はい、交代しました。貴女からチョコレートを貰う役を。」

  「あ・・・。」

  砂月くんの言葉を思い出す。
 
  「わかってたのかよ。」 あの言葉は、多分、もしチョコが箱を開けても1個しかなかったら、自分が貰ったら那月くんが悲しいんじゃないかって心配してたからこそ。

  「わあ、これ、つくってくれたんですね! うわーかわいいー! ねえ、食べてもいいですか。」

  那月くんが、開いた箱を見て歓声を上げる。
  私はにっこり笑って、じゃあ、私はこっちを食べますね。那月くんは新品を食べて下さい、と言って、砂月くんがかじってない方のチョコレートを、那月くんに渡しました。

 「ん、美味し~~~~! 甘くて、とっても美味しいですう! 嬉しいです、とっても嬉しいです、ありがとう。」

  満面の笑みで御礼を繰り返す那月くんの前で、私も、砂月くんがかじって行ったチョコレートを、一口、かじりました。

  「そっちはちょっと色が違いますね。味が違うんですかー?」

  「・・・はい、違います。」

  「わーいいなあ、そっちも食べたいですー。どう違うんですか。」

 
  那月くんの無邪気な笑顔に、私はつられて微笑み、答えました。

 
  「こっちは苦い、です。」

 
  砂月くんが苦いと言った意味。
  そして私も、彼に思いを馳せる、この苦み。






 
     
    ~fin~
  




 




  ちょっぴりセンチなSSになってしまったです・・。










 

 
  

 

 
 

 
関連記事
スポンサーサイト
[PR]

コメントの投稿

非公開コメント

新作も素敵でした!ほろ苦い気持ちになって目をウルウルさせながら読ませていただきました。さっちゃん好きなので、みるくさんのさっちゃんが読めて幸せです♪

ma85さんへ

ma85さんこんばんわ!
コメントありがとうございます!

なんだかセンチになってしまって・・・でも砂月を書きたかったのでまあまあ満足です!
www

バレンタインが過ぎたら、薄桜鬼随想録発売ワーイの薄い鬼SSを1本載せるんですが
その後、毎度連載必ずうたプリの毎度でまた連載開始いたします。
次の、本気で皆様がドン引きするような話ですけど
お付き合い頂ければ嬉しいです!

私もさっちゃん大好きです。かっこいいですよね~!
でも那っちゃんも魅力的。リアルだったら、那っちゃんみたいな人、空気がほんわりしていいなって。
コメント本当にありがとうございました!

こんにちは。みるくさん。第二段はさっちゃん!ちょっとビターででも、相変わらず素敵なお話…。
泣けました。ありがとうございました‼

ナナオさんへ

ナナオさんこんばんわ!
砂っちゃんにしたら、なんかちょっとセンチなお話になってしまいました・・・
素敵とおっしゃって頂けて申し訳ないやら有難いやら・・・。

来週薄桜鬼FDのヴィータ移植ワーイなSSを一遍掲載したら
以前予定でお知らせした通り、月末辺りにまたうたプリで連載開始いたします。
ドン引きされるの覚悟な話wwwで頑張りますので、また遊びに来て下さると嬉しいです。
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。