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6:4

 
 6:4
 聖川真斗が優勢の場合





 





 ばんっ!!!!

 

 聖川さまが思い切り壁を叩きつけた音に、私も神宮寺さんも、一瞬動きがピタリと止まってしまいました。

 「こんな男と2時間余りも暗闇の中で過ごすなど、言語道断。自分の身を大切に考えなければいかんぞ!」

 「え、でも、ただ・・・。」

 「”でも”では無い! コイツは明るい日の光の下ですら不埒な振る舞いを厭わぬ男だ。何をするか判らん!」

 
 「やれやれ、ヒドイ言われようだ。」
 
 神宮寺さんが溜息をついて肩をすくめる。

 「ヒドイ言われよう・・・だと。貴様の普段の生活態度を見て、そう言わないで済む道理がどこにある。恥を知れ。」

 「レディ、こんな頭の固い時代錯誤な男の言う事なんて、無視しておけばイイよ。さ、オレと映画に行こう。」
 
 神宮寺さんにクイっと指で顎を上げられ、至近距離で見つめあってウインクをされる。目が近い!そして、くっ、唇が近い! 近いです神宮寺さん! 吐息が! きゃあああああ!

 「な、何をしているのだ、手を離せ神宮寺! 」
 
 聖川さまが横から割入り、私を神宮寺さんから引き離し、イライラした様子で言いました。

 「妻でもない女性に気安く触れるなど、どういう神経をしているのだ、貴様は。大丈夫か。汚い手で触られて、お前のこの綺麗な肌が腫れたりでもしたら大変だ。」

 「オレは病原菌か。っていうか、妻でも無いって、お前ほんといつの時代の人間なんだよ・・・。おい聖川、言っておくが決めるのはレディだ。お前こそ、いつまでレディの腰を抱いている、さっさと離せ。・・・レディ、どうする? オレと映画に行くだろ? 折角こんな人気作品のカップルシートのチケットを貰ったんだ、行きたいよね?」

 「神宮寺と真っ暗な室内で密着して過ごすなど、女子の貞操に関わる。今日は俺が腕によりをかけて、お前の好物ばかりを重箱に詰めて来た。心休まる美しい景色を見ながら一緒に食べよう。天気の良い日にお前と共に見たいとずっと思っていた、とっておきの場所があるのだ。」

 「え、っ と、あ、の、う・・・。」

 
 土曜日の朝。
 お仕事は丁度合間でお休み。いつも通りに起きて、朝食や身支度、簡単な一通りの家事を終えた頃、聖川さまが大きな重箱を抱え、少し顔を赤くしながら、湖が遠くに見える高台の公園があるから、そこにピクニックに行こうと誘いに来て下さったのです。

 その直後、玄関先で私が聖川さまに、お誘いのお返事をする前に神宮寺さんがやってきて、今大人気の映画のカップルシートのチケットを貰ったからと、誘いに来て下さったのです。

 「レディ、選んでくれ。オレと聖川、ドッチと休日を過ごしたい?」
 
 「お前の選択に従おう。遠慮せずに、どちらかを選んでほしい。」

 「あの、あの・・・。」

 「なにやってるんですか~?」
 
 「あ。」 「あ。」 「あ。」

 

 突然現れた呑気な声に、3人の返答が重なっちゃいました。
 四ノ宮さんが、ニコニコしながらいつの間にか傍に立っていたんです。

 「やぁシノミーおはよう。今、レディをデートに誘っていたトコロさ。聖川のヤツが横槍を入れているけど、今日レディはオレと映画に出掛けるから、シノミーの相手は出来ないよ、悪いね。」

 神宮寺さんが、悪戯っぽくウインクを飛ばしながら四ノ宮さんに説明して下さいます。相手が男性でも女性でも、ウインクを飛ばすのは、彼にとっての礼儀のようなものなのでしょうか・・・。

 「何を勝手な事を言っているのだ貴様は。四ノ宮、神宮寺の言う事を真に受けるな。まだドチラと出掛けるか決まっておらん。大体、元はと言えば後から来たのは貴様ではないか。横槍というなら正に貴様だ。俺が先に彼女を誘ったのだぞ。」

 「ハッ。なんだ、レディに選ばれる自信が無いから、今になって早い者勝ちだなんて子供みたいな思想を持ち出すのか?」
 
 「そんなワケなかろう!そういう卑怯な意味で言ったのではない。」

 
 どうしてこのお二人は、いつもこうケンカ腰になってしまうのでしょう。
 お互い同じようなお家同士で、幼馴染で、きっと本当はもっと仲良くなれる筈なのに。

 「そぉなんですかぁ。ところでレンくんの映画のチケットは、今日が期限なんですかぁ?」

 四ノ宮さんが、神宮寺さんの手にあるチケットを覗き込む。

 「え? あ、いや。別に今日じゃ無くても、上映期間中に席が空いてればいつでも使えるチケットさ。だけど、中々休みも取れないし、気が向いた時に行きたいだろう。丁度今日ならレディも休みのようだし、ね。」

 「・・・あ、ソレ、今日じゃなくても大丈夫なんですか・・・。」

 私はなんとなくホッとして、一瞬聖川さまを見ました。
 そして、神宮寺さんに向き直り、

 「ゴメンナサイ神宮寺さん。私もそれは見たい映画で、誘って下さって嬉しいんですけど、でもあの、そのチケット、今日じゃ無くてもイイみたいですから・・・。でも、聖川さまが作ってくれたご飯は、今日じゃないと、その。」

 私が口ごもると、四ノ宮さんがそれを誤魔化してくれるみたいな明るい声で、

 「そうですよねぇ! ご飯はその日のうちに食べないといけませんよねえ! 腐ってしまったら勿体無いし、良くないですよねぇ! だから今日は真斗くんとデートした方がいいと思うんです。ああ、羨ましいですねえ、真斗くんのご飯、美味しいですから!」

 きっと四ノ宮さんは、無邪気に言ってくれているだけで、私を助けてくれるつもりなんて無かったのかもしれません。でも、とっても助かりました。ナイスフォローです四ノ宮さん!

 「あの、そうなんです。食べ物を粗末にするのはよくありませんし・・・すいません。本当にすいません。」

 ペコペコと頭を下げながら言う私の言い訳、苦しくないでしょうか・・・。
 決して神宮寺さんより聖川様の方がいいという意味ではないのですが・・・。どちらか選ぶなんておこがましくて、何とか探した理由なだけなのですが・・・。

 「・・・レディがそう言うなら、仕方ないね。また、誘うよ。」

 「あのっ、神宮寺さん、私、多分今月の半ばを過ぎればまた少し日が取れると思いますので、あのっ・・・!」

 「いいよレディ、無理しなくても。しょうがない。誰か違う子猫チャンを誘うさ。」

 「気にするな。ソイツはその場が楽しければ、相手が女性なら誰でもイイのだろう。おい神宮寺、彼女は貴様の取り巻きの女性たちと違うのだ。無闇に声をかけるな。」

 「まぁまぁ真斗くん、そんな怒ったように言わなくても、あ、映画、良かったら僕がご一緒しますよお~?」

 「ハハハ、そう言ってくれるシノミーの気持ちだけ有り難く頂いておくよ。オレは、可愛い子猫チャン相手なら、30分並んでポップコーンを買うのも平気で映画を見るが、野郎とはご遠慮したいから、すまないね。」

 片手を軽く上げて部屋に戻る神宮寺さんが少しだけ寂しそうに見えて、私は聖川さまに、すぐに戻るからこのままココで待っててほしいと一言告げ、つい追いかけてしまいました。

 「神宮寺さん!」

 部屋に入る寸前の彼に追いつき、声を掛ける。
 神宮寺さんは少しだけ驚いた様子で振り返ってくれました。

 「レディ。」

 そして、すぐににっこりと笑顔を作ってくれる。

 「どうしたんだい。今更オレを選んだら、聖川が泣くよ?」

 「あの、いえ、違います。あの、昨日出した曲にリテイクが来なければ来週なら、大丈夫ですから。今日はすみません。それだけ言いたくて。」

 私は、良かれと思って言ったのですが、神宮寺さんの顔から笑みが消えて
 
 「レディ。」

 さっきとは違う低い声で、小さな声で

 「聖川の次なんてゴメンだね。オレは誰でもイイわけじゃないし、単に君と、たまたま今日デートしたいだけじゃないんだ。・・・聖川が一足先だったとしても、オレを選んでくれる君と、行きたかったんだよ。」

 「・・・え・・・。」

 うまく理解できなくて、動きの止まってしまった私の髪を、神宮寺さんは優しく撫でてくれました。
 そして

 「これはレディにあげるよ。今日ヤツと一緒に行ってもいいし、別の日にお友達とでも行ってくればイイ。」

 「え、でも、折角どなたかが、神宮寺さんにって下さったものなんですよね、そんなの貰うワケには、そんな。」

 「いいんだ。」

 神宮寺さんが、私にチケットを握らせる。
 そのまま無言でドアを閉められてしまった私は、諦めて聖川さまが待つ自分の部屋に戻りました。



 
 

*******************************************
 
 
 

 

 戻って来た自室で、窓に寄りかかり、空を見上げた。
 
 自分でも大人げないと思う。
 選ばれなかった事実に目をそむけたくて、彼女に嫌がらせのような真似をしてしまった自己嫌悪が、胸に黒い染みを広がらせていく。

 誰でもイイわけじゃない。誰でもイイなら、そのままチケットを持って他の誰かを誘いに行くさ。喜んでOKしてくれる子猫チャンは山のようにいる。
 
 でも違う。レディと一緒に行きたくて、オレが自分で用意したチケットだから、レディ以外と行くなんて選択肢は存在しない。

 オレの方を断る理由が出来た時の、レディのあのほっとした顔・・・。思い出すと、心臓がきりきりと痛い。

 聖川みたいに、好きだという気持ちを実直に前面に出して、本人に対し臆面もなく好意を向ければイイと言うのか。馬鹿正直に、隠すという小技も使えないアイツみたいに。そうすれば、レディはオレを選んでくれたってのか?

 「・・・・・・・・・・・・ヤメた・・・。」


 考えるのはよそう。
 
 今考えてもマイナスな思考しか浮かばない。大体、オレはオレだ。変えられないし変える気もない。オレそのものを選んでもらえなければ、意味が無い。
 
 今の時点では劣勢だ。6:4ってトコロか。勿論、オレが、4・・・。大逆転を狙って行かないと、このまま聖川のヤツに持って行かれそうだ。それだけはさせない。絶対に。

 部屋の窓から、聖川と、俺が手に入れたくて堪らない愛しい存在が、並んで歩いて行くのが見えた。
 景色のいい公園に行くとか言っていたな。子供の遠足じゃあるまいし。

 オレは舌打ちをして、車の鍵をひっかけ、外に出た。
 ムカつく聖川に形勢逆転し、本気で惚れてるレディを自分のモノにする作戦を考える為に。

 
 並んで歩く2人を追い越した。
 バックミラーに映る彼女の笑顔を確認すると、勢い任せにアクセルを踏み込んだ。欲しいものは手に入らない。オレが嫡男じゃない事はどうしようもない。今更またどうにもならないコトを思う。だが、彼女は。

 ―――――彼女を手に入れる事は、不可能じゃ無い。
 オレは唇を舐めて、とりあえず今日の休日は、晴天のドライブを孤独に楽しむ事にした。

 



 
     fin








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No title

こんにちは。みるくあずきさん。新作ありがとうございます。レン担なので、レンの出るお話は無条件で嬉しいです。みるくさんの書くレンの、ちょっとヤバめなぎりぎり感、トキヤとは別な意味での飢えてる感がヨイo(^-^)oまた、楽しいお話、待ってます。

ナナオさんへ

ナナオさんコメント有難うございます!

レンはカッコイイですよね~。
アニメで動いたらまた更にカッコ良くて、初見時ビビりましたww

書いたレンを気に入って下さったならとても嬉しいです。
コンプリスでレンを動かすの結構必死になって書いてたので
次の連載ではレンが出る予定ではないのですが、またお越し頂けたら幸いです。
18描写の無いSSでしたので皆さん面白くないかなって思ってましたが
コメント頂けて嬉しかったです。ありがとうございました
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

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鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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