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Russian roulette 8

 


Russian roulette
         vol.8


 

 

 
 乗り込んだ車の中で、春歌は顔面蒼白で自分の身体を抱いていた。
 頭を殴られるような衝撃が巨大スクリーンで幾重にも目の前に繰り出される。永遠にそれが終わらない錯覚。

 無言でハンドルを操る嶺二が、信号待ちの度に春歌を引き寄せ髪を撫でる。
 その手は不気味なのだが慈愛に満ちていて、益々春歌を混乱させた。

 連れてこられた先は、この前の建物ではなかった。
 そこの駐車場でやっと春歌は、まともに口が利けたのだった。

 「ここは、どこなんですか?」

 震えが収まり、それでも怯えが顕著な目で尋ねる春歌に優しく微笑み、嶺二が答える。

 「僕んち。」
 
 「本当ですか・・・。」

 「本当だよ。さ、とにかく降りて。美味しいお茶をおにーさんが淹れてあげよう。」

 「い、要りませんっお茶なんて!」

 嶺二に渡される物を飲む。
 それがイコール災いだと覚えた春歌は、また頭を撫でようとした嶺二の手を思い切り振り払う。
 
 「帰して…いやです、もう私を家に帰して下さい! なんなんですかこの間からずっとこんなっ、一体何がしたいんですか! 私が、私が何をしたっていうんです、なんでこんな嫌がらせみたいな、どうして、何なんですか!」

 心細さが感極まってぼろぼろと涙を流し始めた春歌を、ぎゅうっと抱き寄せた嶺二が温かい声で言った。

 「ほらほら、落ち着いて。大丈夫。僕は君を傷つけたいわけじゃないんだ。」

 泣く子供をあやす仕草で彼は続けた。

 「ね。色々聞きたいなら、いい子でついておいで。教えてあげる。」

 驚いて、溢れる涙そのままに目を見開き自分を見上げた春歌を、嶺二はそっと腕から離し、そして車のドアを開けた。




 

 「だからー。本当に大丈夫だっていうのに。僕ちん信用ないなあ。」

 「信用なんかあるワケないじゃないですか・・・!」

 徹底的な不信と憤りを込めて、春歌は言い返した。
 嶺二の淹れた紅茶が、甘いフレーバーの湯気を立てて春歌の目の前に置かれていた。

 どうしても飲む気になれない。今度こそどうなるか解ったものではない。

 嶺二は少し離れて隣にどっかりと座り、コーヒーを一口含む。
 世間話のついでのように、彼は春歌に言った。

 「ねえねえ。トッキーに何回されちゃったの? どんな風にされたの? おとやんとドッチが良かった?」

 自分が動物だったら、今全身の毛が逆立ったに違いない。
 春歌の嫌悪は相当で、向けた視線に一瞬嶺二が苦笑いをした程だった。

 「そんなに怒らないでよ~。っていうかほーんと君、解りやすいね~。やっぱりヤラれちゃったんだ。そうかあ。」

 少しの間、嶺二が思案気な顔をする。
 面白がってる様子はなく、どちらかと言えば不機嫌そうだった。嶺二は、トキヤが春歌に何をしたか知っていたのではなくて、単にカマをかけられたのだと春歌は気付いた。しかし、カマをかけられる理由が判らず、じっと嶺二の顔を見る。

 春歌の視線が探るような気配なのに気付いた嶺二がふっと笑う。

 「だからほんとさっきも言ったでしょ、別に僕は、君を傷つけたいとは思ってないよ。トッキーがそうしない保証も無かったけど・・・そうかぁ。ちょっとトッキーを信用し過ぎちゃってたかな。意外と我慢が利かないねえ。」

 一瞬で纏う空気を変え、いつもと変わらない飄々とした仕草で話す嶺二がカップをテーブルに置く。
 先輩の笑顔でもう一度春歌を見て、視線を前方に移す。


 「ガス燈。って映画、知ってる?」

 「は。」

 春歌は突然ふられた話題についていけず、間抜けた返事をする。
 嶺二はのんびりと話を続けた。

 「往年の大女優・イングリットバーグマンが、アカデミー主演女優賞を取った映画なんだけどね。映画の中で、バーグマンは夫に色々嘘をつかれたり、奇妙な仕掛けをされたりして、段々精神的に追い詰められていく。この映画から、心理的虐待の事を、ガスライティングっていうようになったんだって。」

 ぴくりと、春歌の片眉が上がる。

 「ガスライティングっていうのは結構面白くてね。心理的虐待と言っても綿密には、例えば君が僕に、お前が嫌いだ、死んでしまえと言い続けるのとは違うんだ。」

 春歌は、黙って嶺二の話を聞いていた。
 
 「昔、美しい有名女性奇術師が社会主義共和制国家の独裁者に気に入られ、国に招待されてショーを行った。彼女は現地で原因不明の病に倒れ帰国が遅れたばかりか、帰国してからも、持ち物をすりかえられたり、盗まれたり、身近で奇妙な事件が連続した。さて、彼女の周りで起こったおかしな事件の犯人は誰だと思う?」

 嶺二が問いかける。
 春歌は、真面目に返事をした。

 「有名女性奇術師を気に入ったっていう、その国の、独裁者・・・?」

 ふふん、と嶺二が笑う。
 決して馬鹿にしてるようではなかった。どちらかと言うと、何も知らない新人にいろはを教える先輩になったばかりの得意気なかおだ。

 「無理さ。独裁者は国のトップ、大要人だ。おいそれとたかが女1人を追って国を出られない。女性奇術師も有名人だ。そうそう甘いガードじゃない。それに。」

 嶺二が又コーヒーを一口飲む。
 春歌も、つられてお茶を飲んだ。警戒心が薄れる程、嶺二の話はこの場には突飛で奇っ怪だったが興味を惹きつけられた。

 「どの事件も、彼女が出掛けてる少しの隙に行われていて、場所も違う。一人の犯行じゃない。あくまで推測だけど、その国家そのものの仕業だと言われているよ。」

 「国家・・・。」

 「ガスライティングの定義は様々だけど、まず一つは嘘や目晦ましを多用している節がある。もう一つはこの奇術師のように、物をすり替えられる程度の嫌がらせが続くってコト。命に別条は無い。原因不明の理由で倒れても、帰国が遅れた程度で済んでる。」

 春歌の喉が上下する。
 思い当たる出来事が頭に浮かんで渦になる。

 「重傷を負うとか、生命の危機は無い。身に覚えの無い事を言われる程度。だけど、やられた当人は気持ちの上で相当なダメージを受ける。そんな風に次から次へと奇妙な事が起こって、まるで自分がおかしいのではないかと判断力を狂わされて精神が破たんしていく。ガスライティングは主にそういう手法を指すらしい。ちょっと面白そうだなって思ってさ。実際ホントに、そんな風になるもんなのかなあ、どんなもんかなーって、試してみたかったんだよね。聞いてる分じゃ、稚拙っていうか、本当にそんなんで人が壊れるの? って感じじゃない。」

 それを、私に聞かせてどういう反応をしろと言うのですか。と、春歌は目で訴えた。
 嶺二がそれを受けて口角を上げて見せる。

 彼はずっと微笑んでいる。それが不気味なのだと、春歌は心の中で詰った。

 「ある日、仲がいい程度の先輩に本気かどうかわからないお誘いをされて、別の日には突然襲われて、だけど最後までされなくて。恋人に疑われて。そんで次は玩具なんか入れられてアヤシイ薬盛られて。気が付いたら知らない部屋のベッドの上で、隣にはそれまで自分をからかっていた奴とは別の男が寝てました。って、どうだった。結構、キツかったでしょ。自分がおかしくなったと思っちゃった?」

 茶目っ気たっぷりの嶺二のウインクで、春歌は体中の正体不明の濁りを一瞬で怒りに変化させた。

 「ふ、・・・ふっ、ふざけないで!」

 全身を占めた怒りで頭が沸騰した春歌は喉の奥から嶺二に罵声を浴びせた。勢いで立ち上がり、爪が喰い込んで痛くなっても握りしめた拳を解けずにない。

 「そんな、そんなどうでもいい事を試す為に私をあんな目に遭わせたんですかっ! 最低! 私が、どんな気持ちで、大体、だったらどうして音也くんの物を捨てたりしたんですか! 音也くんは関係無いじゃないですか! どうして私で試そうと思ったのか知りませんけど、音也くんまで巻き込むなんて、ひどい、なんて事してくれたんですか! もう私は音也くんに嫌われて、もう別れるしかない、あなたのせいで、あなたのせいで私は・・・わ、わあああああああああん。」

 堰を切った感情が激流として溢れ出し、春歌は大声をあげてその場に泣き崩れた。
 嶺二が、わあわあと声をあげて大泣きする春歌を抱きあげて、自分の膝に乗せ優しく抱き締める。 

 「さわ、らな、で・・・!」

 しゃくりあげながら拒絶する春歌などお構いなしに腕に閉じ込め、嶺二がその頬の涙をそっと舐め取った。

 「後輩ちゃん泣かないで。僕は別に、君を傷つけたいワケじゃなかったんだってば。それは本当だよ。」

 「だったら、だったらなんで・・・ひっく、なんで・・・!」

 春歌の嗚咽は止まらない。
 ぼろぼろと流れる涙も止まらない。

 「あのさ。」

 嶺二が、取り出したハンカチで涙を拭ってくれる。

 「人って、単なる他人より、自分の好きな人に自分が嫌だと思ってる事をされると、めっちゃくちゃ傷つくんだよ。哀しくて、文字通り心が折れる。自分じゃない男と仲良くされて、しかも何度もされたらかなり凹むよね。疑いや不安が続くと、人ってホント擦り切れてくんだ。浮気してるみたい。でも証拠が無い。相手は明らかに態度がおかしい。そんな事が続いたら、どうしていいか精神的に八方塞になるよね。」

 嶺二のその言葉が耳に入って来た時、暴発した感情がばらばらと音を立てて自分に降り注ぐ中で、かちっと何かが填まる音を春歌は聴いた。
 
 涙が止まった。
 ゆっくりと、嶺二の腕から少しずつ離れる。目に映る嶺二は微笑んだままだ。後ずさる春歌を、彼は引き止めなかった。

 「私を傷つけるつもりじゃ、なかったって・・・それ、って・・・。」

 背中にソファの肘掛が当たり、それ以上後ずされないのを合図にしたように春歌は口を開いた。

 「私じゃなくて、私を、使って、って、コト・・・?」

 信じられないものを見たという目はこういう目なのかと、嶺二が感嘆の息を洩らす。
 春歌の凝視には、軽蔑、侮蔑、あらゆる蔑みが宿っていた。

 「私じゃなくて、音也くんを、傷つけたかったんですか・・・どう、して・・・どうしてですか・・・。」

 「どうしてかな?」

 ふふんと鼻を鳴らし、自分の髪をさらりと梳いた嶺二が、春歌をぐいっと引き寄せた。

 「そんなコト、どうでもいいじゃない。僕はもう十分話したでしょ。君の言う通り、僕の本当の目的は君じゃない、おとやんだった。君は辛い目に遭い続けても、それをおとやんに言えないだろう。だけど隠すのも下手だろうって思った通りだったよ。君の態度がおかしくなったから、おとやん精神的にヤラれてた。かなりへこんだおとやんを見れて、まあ満足だ。」

 「満足・・・? 満足、て・・なんて、人なの・・・。」

 「僕の目的はある程度達成。君に種明かしをしてあげた。それで?」

 何をどう詰られても、嶺二はどこ吹く風だ。
 掴まれた手首は、針金で巻かれたように痛い。

 「それで、って・・。」

 「これ以上、君に言わなければならないコトってある? 無いよね。」

 「あ、ありますよ! 一ノ瀬さんは、一ノ瀬さんはどういう、一体どうして一ノ瀬さんが嘘なんかついたんですか!」

 嶺二の笑顔は崩れない。だが、至近距離で彼を見ていた春歌の目には、彼の吐息が感情の揺れを現したのに気付いた。

 「そんなコトどうでもいいでしょ。」

 「よくありません! 答えて!」

 理由は解らなかったが、ここは畳みかけるべきだと思った。初めて捕まえた嶺二の感情の揺れを逃がせないと必死だった。解らない事はもう全部なくしたい。チャンスは今しか無い。彼はまだ何かを隠してる。

 「うるさい。まったく、優しくしてあげようと思ってたんだけど、聞きわけの無い子はどうしようもないな。」

 腕を捻りながら春歌をソファに押し付けた嶺二が、ここへきて初めて苛立った声を出した。

 「取り敢えず、僕の相手をしなよ。言う事を聞けば痛い事はしない。」

 「いやですっ、離して!」

 「悪いけど離す気は無いんだ。漁夫の利ってヤツは、自分以外が手にするのはムカつくからね。」

 言われた台詞に引っ掛かり、春歌が一瞬動きを止める。
 その数秒で、ショーツを引きずりおろされた。

 「やっ!」

 「暴れるならしょうがないね。でも、痛いのは最初だけだよ。」

 必死になって逃げようとして、思い切り足や腕を振り回したせいで、春歌はテーブルにあったカップを弾き飛ばした。
 甲高い音がして、テーブルにお茶が零れる。

 「あちゃー・・・あ、良かった、スマホにかかんなくて。割れなくて。」

 嶺二が、春歌の上にどっかりと座ったまま、無理気味な姿勢でスマートフォンを手に取った。
 春歌は動けない。彼の体勢が不安定になった機に乗じて暴れても、体の中心を抑え込まれていて逃げられるまでいかなかった。それどころか、逆にさっきとは違う位置から手を伸ばされて、足首に引っ掛かっていたショーツを簡単に部屋の隅に放り投げられてしまった。

 「なん・・・どいて下さい!」

 「あー・・・しつこいなぁ、もう。」

 低い声で呟いた嶺二が舌打ちをした。
 尚も抵抗し続ける自分に向けられた言葉かと春歌は体をビクつかせたが、そうではなかった。嶺二は、画面を撫でながら眉を顰めていた。
 
 そして春歌に目を遣る。春歌は何事かと身構えた。

 無表情で数秒、春歌を見詰めた嶺二が、にっと笑った。
 
 「君は、なんだかどこまでも可哀想だね。運命?」

 「・・・?」

 言いながら何やら指先を動かしていた嶺二が、端末を耳に当てる。

 「ああ、僕。どこ・・・そ。今すぐ開けるよ、待って。」

 短い通話を終えて、そのまま春歌から退いた。そして壁に掛かったインターフォンを何やら操作して玄関へ向かう。春歌はぽかんとその後ろ姿を見送っていたが、はっと気付いてバッグ探した。部屋に来る時、嶺二が持ってきてくれていた筈だったからだ。中には携帯も入っている。見つけて引っ掴み逃げようとした所で、嶺二が戻って来た。

 「お待たせーごめんねー。」

 その声が春歌の頭を素通りしていく。足が地面に縫いつけられたみたいに動けなくなった。
 
 嶺二の後ろに、トキヤの姿を見たからだった。

 「やっぱりここに居たんですか。・・・探しましたよ。まったく、携帯もインターフォンも切るなんて・・・。」

 「一ノ瀬さん・・・。」

 今この場面で、嶺二があのような会話をする相手はおそらく、とは予想していた。だが、いざ目の前に予想通りの回答が現れても、やはり春歌には驚きがあった。

 さっきの嶺二の説明では、どうしてトキヤがこの台風の中に居るのか解らなかったからだ。関係性が見えないのだ。

 「あれ、帰る気?」

 春歌がバッグを手にしているのを見た嶺二が、訝るでも不機嫌になるでもなく、淡々と問いかける。
 我に返った春歌が動き出すのと、左右から腕を取られたのが同時だった。

 「帰れると思ってるトコロがほんとーに・・・。」

 愛しいものを見るような目で、嶺二がそんな春歌に苦笑する。
 春歌の右手首を握る嶺二が、バッグを抜き取る。

 「今ココから帰っても、トッキーに拉致されちゃうよ。だったら、僕と一緒に居た方がいいと思わない? なんたってトッキーは、協力するような顔して、最初から君を独り占めする為に僕を利用しようとしてただけ。っていうズっルーいヤツなんだからさ。」

 「人聞きの悪い事を言わないで下さい。」

 トキヤが、むっとした目線を嶺二に向ける。

 「ほんとじゃーん! 僕ちんは、別にこの子をどうこうしたいんじゃないから、怪我とか絶対させないでねって言っておいたのにさ。」

 「怪我などさせてないでしょう。」

 「いや骨折とか捻挫はしてないけどさ、穴だらけにするってどうなの。暴行って単語はニュースで流れる時に性的な意味も入ってる時があるでしょ。それと一緒!」

 「・・・彼女も同意の上ですよ。」

 チラリと自分を見たトキヤのその言葉に、春歌は一瞬頭が真っ白になった。
 同意とは。
 いつの事だ。意識が無かった夜のうちを指すのか。それとも、混乱極まって碌な抵抗もしなかったあの目覚めた後のコトなのだろうか。

 だが嶺二が、春歌を引き寄せながらトキヤに言い放つ。

 「抜け目無いなぁ、ちゃっかりどっかでそう言える既成事実まで作ってるもんなー。何をどう上手くやったか知んないけどさ、そもそも最初が嘘なんだからダメでしょ。」

 「寿さん!」

 嶺二の言葉をトキヤが遮る。
 春歌は二人を見比べて、出てくる言葉を待つだけだ。

 「ねえ、君が最初に目を覚ました時、トッキーは君に何て言ったの? 君がトッキーとあの部屋で寝ていた状況がどうして起こったか、なんて説明したの?」

 「え・・・。」

 「寿さん! そんなコトは今更どうでもいいでしょう!」

 「えーそうかなーこの子はどうでもよくないみたいだよー? 僕ちんも観念して、色々喋っちゃったもん。」

 「な・・・! 何を話したんです。どこまで・・・。」

 明らかに狼狽えたトキヤの手の力が強まる。
 春歌は左手首の痛みに顔を顰めた。

 「わ、私は、私は酔っぱらって、一ノ瀬さんに逢いたいって言ったって、聞いてますけど・・・違うんです、か。」

 春歌が、恐る恐る嶺二を見上げる。
 嶺二は顔色ひとつ変えない。

 「まあまあ、こんなトコで立ったまま話すのもなんだし。リビングに戻ろうよ~。」

 「戻りませんよ、私は彼女を連れて帰ります。」

 「あのねえトッキー。帰るってなに。もう今更この状況で、トッキーの思い通りに行くと思ってるの?」

 「っ。」

 「大体ねえ、今からイイトコだったのに中断されてるワケよ僕たちは。ねぇ、後輩ちゃん?」

 ぺろりと、嶺二に唇を舐められた。

 「なっ!」

 トキヤと春歌が同時に声をあげた。嶺二を非難する声だ。そんな2人を尻目に、嶺二が春歌のスカートを捲り上げた。

 「あっ! やだっ!」

 「やっぱりー。そんなヒマ無いと思ったんだよねー。パンツ履くより逃げる方が大事だったんだねえ。」

 咄嗟に隠してももう遅かった。 
 トキヤに一方の手を掴まれているせいで、余計に隠しきれない。

 「・・・君・・・。」

 トキヤが驚いたのが解って、泣きそうになる。
 誰が見たって驚くだろう。下着を着けて無い自分が可哀想でならない。

 「準備出来たトコだったのに、お茶がねー。音もバイブも消して無視しようと思ってたんだけどねー。お茶がねー零れてねー。やっぱ光ってるのが目に入ったら、履歴確認しちゃったよ。仕事の習慣って怖いね。」

 嶺二が冗談めかして言ってる台詞も、既に春歌しか目に入ってないトキヤには雑音らしかった。
 トキヤの視線が恐怖で、春歌は体を捩って嶺二に涙声で離してと叫ぶ。しかし力の差が歴然でどうにもならない。

 「寿さんに、触らせたんですか。」

 「ちがっ、とにかく離して下さいっ!」

 反論した春歌の脚の間に、徐にトキヤの指が触れた。

 「やっ!」

 「触らせたかどうか聞いてるんです。」

 探るように肉を割る指から逃げるが叶わない。
 嶺二が後ろから春歌を抱えるようにして、首筋にキスをしてきた。

 「っひ、やめっ、イヤ・・・!」

 「寿さん、彼女に触らないでくれますか。」

 春歌の秘所を擦る指を休めないまま、トキヤが棘のある声で嶺二を牽制する。
 だが嶺二はお構いなしに、春歌の耳朶を食み、服の中に手を入れて胸を揉みしだいた。

 「やめて、やめてえ。」

 2人がかりの快楽の暴力で、春歌の身体は気持ちとは裏腹に陥落寸前だ。

 「どうして寿さんに触られて、溢れて来てるんです。」

 「えーそうなの。僕、結構好かれてるのかなぁ。嬉しいから、サービスしてあげちゃおうかな。」

 「しなくて結構ですよ。私がしますから。」

 さっきより険呑な声で、トキヤが嶺二に言葉を投げつける。
 嶺二はそんな彼を挑発する目的で春歌の顔を舐めると、きゅっと彼女の胸の先端を力を入れて摘んだ。

 「っあああっ、イヤ、あああっ。」

 一際大きく啼いて腰を撓らせた春歌の胸の先端は、それでも解放されなかった。続け様に流される快感に、最早喘ぐしか術の無い春歌を腕に抱えたまま、嶺二がゆっくりと言った。

 「そんなに気になるなら、自分で確認すれば。奥まで拡げて、僕のが残って無いか試しに掻き出してみなよ。それか、中がこないだと違うカタチになってるか実際にヤってみればいいんじゃない。ま、僕は潔白だけど。」

 トキヤに下肢を、嶺二に上半身を絶えず愛撫され、快楽に負け崩れ落ちる身体が恨めしい。だけどその気持ちすら真っ白になっていく頭にかき消される。

 「と・り・あ・え・ずー。」

 嶺二の声が3人の間を抜ける。

 「僕が楽しむから待っててくれる? それとも、後輩ちゃんを検分したい? どっちかに決めてよ。3秒で。」

 トキヤが、呆れた色の息を洩らした。
 
 「どうして貴方を楽しませなければならないんです。検分しますよ。薬を飲ませないなら、彼女が暴れないように抑えてて頂けますか。」




            

           

        
               To Be Continued...






  

 

 次回9話は、1月18日頃更新予定です。予定ですので、遅れたらゴメンナサイ~。




 
 
 
 
 
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プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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