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Little by little 6話

 

 第6話
 
 
 
 「おやすみなさい。私だけの、お姫さま。」

 トキヤの優しい声は、夢だったのか、現実だったのか。




 ぼんやりと目が覚めた。
 
 頭が重い。腕が煩わしい。

 ――――――― 腕が、煩わしい?

 春歌は自分の左腕を動かした。危険を察知して段々思考がはっきりとする。目を開けると自分の左手首がベッド上部に繋がれていて、驚いて、必死に重すぎる体を起こした。

 柔らかさと厚みの無い布が手首にきりっと喰い込む。

 (手ぬぐい・・・かな・・? サラシ、みたいな感じの・・・布には違いないけど・・・どうしてこんな・・・。)

 考えながら起き上るが、力がうまく入らなくて、少ししか体が持ち上がらない。

 「っ・・・。」

 頭がどこかで鈍く痛い。
 
 そうだ。あの時も、トキヤが隣に居て目覚めたあの時も、何故か自分は部屋にCDを取りに行った後の記憶が無く、目覚めたらあの状態だった。
 こんな風に頭が痛くて、思い出せないのではなくて、思い出すモノが無い。と思ったのを覚えている。

 そしてやっと、自分の足の奇妙な感覚に気付いた。

 「・・・・!」

 身が収縮した気がした。
 ベッドに居る春歌の脚を掲げ、トキヤが口付けている。彼は、無心で春歌の脹脛を唇でなぞっていた。

 しかし起き上って、呆然と自分を見詰めている春歌に気付くと、その脚を離さず、特に何の衒いも無く口を開いた。

 「ああ、目が覚めましたか。どうです気分は。ジュースでもいかがですか。」

 この不可解な状況で、単純な日常会話を口にするトキヤに違和感しか覚えなかった春歌は、可否のどちらも返事が出来ず、黙っていた。
 その様子に、特に不満そうな顔もせず微笑を称えて、春歌の答えを待たず、トキヤは部屋を出て、少し大きめの瓶を持って戻って来た。
 
 「これ、お取り寄せで有名な林檎ジュースだそうですよ。・・・どうしたんです? そんな怯えたような顔をして。・・・ああ、大丈夫です。もう睡眠薬は入っていません。疑うなら、口移しで飲ませてあげますよ。」

 睡眠薬。
 その言葉に、春歌ははっとする。

 だがその時にはもう、トキヤに口移しでジュースを飲まされていた。反射的に飲み込んでしまう。

 兎に角、神経も体も意思もバラバラなのだ。
 春歌にとって今の自分の体は、中心が定まらない。トキヤの動作の10分の1のスピードでしか動けない、出来上がったばかりの機械仕掛けの試作中のオモチャと変わらない。

 それでも冷たく甘い果汁が、鈍く重い頭をさっきよりも少しハッキリさせてくれた。

 「一ノ瀬さん・・・。」

 春歌の硬い声での呼びかけに、トキヤが笑顔を向ける。
 その笑顔がやたら綺麗で、春歌は息が止りそうになりながら言葉を紡ぐ。

 「・・・私、あの時、CDを取りに行ったのは覚えてます。でも、そのすぐ後の記憶が無いんです・・・。気付いたら、一ノ瀬さんとベッドで寝てたんです。一ノ瀬さんとベッドに腰掛けて話した記憶が、無いんです。」

 「それはそうでしょう。君はもう、部屋に入った時にぐらついていました。CDを手に取った時には倒れ込んでしまいましたし。そのままベッドに寝かせましたよ。」

 「それも、睡眠薬・・・。」

 「ええ、そうです。起きた時、辛そうでしたね。ああいう薬は、得てして目覚めが良くない。」

 トキヤの笑顔は崩れない。

 「大丈夫、あの時も今回も、量は極少量にしてます。だから効くまでに、普通より時間もかかるのですがね。でも、本当に君はお人好しというか、2度も同じ相手の同じ手に引っ掛かるなんて・・・くくっ、ある意味、有り難い。」

 目の前のトキヤは、今までに見た事が無いほど楽しそうにしている。
 遠くを見る目で、彼は話し始めた。

 「君の可愛い喘ぎ声、私の部屋までよく聞こえてきましたよ。君は普段大人しいクセに、あの時の声は大きいんですね。」

 「っ!」

 「音也はバカですが、バカだからこそ動物的に、自分のモノを狙う敵の存在を敏感に察知出来るらしい。ある日から、君の部屋でしか会わなくなったでしょう。君の声すら、他の男に聞かせるのは嫌だったんでしょうね。同じ男として、解らないでもありませんが。」

 春歌は、これは夢なのではないか。夢ならば、どこかに目覚める入口があるのではないかと、見当違いな焦りすら感じていた。
 
 これが現実なのか。睡眠薬を飲まされるなど、テレビや小説でしか見たコトがない。自分にはそんな世界は関係ないはずだと焦れていた。

 「君が夕飯に誘ってくれた時、音也が忙しくてすれ違っているのだろう・・・と察しはつきました。一瞬迷いましたが、君の方から来てくれた以上、これはチャンスだと思いましたね。」

 喋り続けるトキヤは、昔と変わらないトキヤのはずなのに。
 怖いのだ。怖くて後ずさる事も出来ない。


 「どうして音也などと・・・ずっと、そう思っていましたよ。だから、君と音也の心が少しでも離れれば、数日で君の心を私のモノにする自信はありました。だからどうしてもその間、連絡を取って貰う訳には行かなかったんですよ。すぐバレるかと思ってましたが、存外、君は音楽以外に頭が働かないらしい。本当に助かりました。」

 「どうやって・・・。」

 「簡単です。」

 笑顔のままトキヤは続ける。

 「あれだけ暗証番号は他人に推測されにくいものに、と警察や携帯電話各社が声高に訴えてる中、本当に君は・・・。お陰で、2度目の入力で簡単にロックが外れました。盗聴器を仕掛けてケータイの暗証番号を探していたら、もっと時間を取られるだろうと思っていましたが、嬉しい誤算でしたよ。」

 「盗、聴器・・・?」

 「・・・本当に呆れますね。まぁ、そんな所が可愛いですよ。君、昨日ホテルで私が随分タイミング良く現れたとは思いませんでしたか? 朝、君が事務所に電話してたの、全部聞かせて貰ってたんですよ。早朝から撮影したからって、ホテルで部屋まで取って仮眠する程、私はヤワじゃありませんよ。というよりまぁ、あの日の私の撮影は早朝からでは無く、昼過ぎからでしたけどね。」

 「そ、んな・・・。」

 俄かには信じられない。そんな表情の春歌を見て、彼はふっとまた微笑する。春歌は、縋るような声でトキヤに言った。

 「そんなの嘘です。だって、一ノ瀬さんずっと優しくしてくれたじゃないですか。あの時だって、ただ寝てただけで何もしてないって、そう言ってたじゃ無いですか。」

 「それこそ嘘ですよ、そんなの。」

 「な・・・!」

 「ああ正確には、君とは何もしてません。君は寝ていただけですから。共同作業という論点で言えば、君とは何もしてないという言い方に間違いは無いでしょう。だから、音也にああ言ったのも嘘ではないですかね。私が一方的に、君に色々しただけですから。」

 意味が判らないという顔をする春歌の髪を、トキヤがそっと指で梳いた。

 「あの晩、君はぐっすり寝てましたよ。本当に可愛い寝顔だった。思わず服を脱がせて、体じゅう舐め回してしまいました。・・・勿論、ココも。」

 いきなり脚の間に手を入れてきたトキヤに驚いて揺れた春歌の体を、逃がすまいとトキヤが抱き寄せる。

 「君の全身を味わいつくして、その後、君の柔らかい太腿や、眠っていてもいやらしく天辺を尖らせていた胸に挟ませてもらいました。私の唾液と先走りでちゃんとぬるついて、気持ち良すぎて沢山出てしまった・・・。折角ですから、出したもの全部、君の体に塗りつけてあげましたよ。興奮して一度では収まらなくて、2回もしてしまって、2度目に出した分は、入口に塗ってあげました。あまり中まで指を入れて、目を覚まされても困りますからね。」

 怖くてその場面を想像できず、春歌はガチガチに体を強張らせた。
 ぬるりとした粘着性を帯びた氷が、体をざぁっと這うような恐怖感で走り抜ける。
 
 トキヤが、どういうつもりか、そんな背中を優しく撫でる。

 「全身私の精液に塗れた君を、ずっと見ていたかったんですが、バレると困るので、ちゃんとお湯で綺麗に拭いてあげました。私はね、力づくでは無くて、君の方から望んで私の所へ来てほしかったんです。だからあの時も、犯す事はしなかった。君が自分から、私を求めてくれるのを待ちたかった。跡を残さないように君の体で果てるのは、なかなか自制心が要りましたよ。何度吸いつきたい衝動を抑えた事か・・・。バレなくて良かったです。随分念入りに、音也は君の体を確認していたようですからね。」

 「まさか、あの後の、私と音也くんの・・・。」

 「ええ、全部聞かせて頂きました。音也の激昂振りは面白かったですよ。私は中に入れたりはしてないのに、必死に君の体を探ってましたね。綺麗に拭いてあげておいて良かったです。あの時点でバレたら、計画はそこで終わってしまいますからね。」

 「・・・・。」

 怖い。
 春歌の頭をその感情が占める。

 「君も、やっと私の方を向いてくれたと思ったのに・・・。折角少しずつ、君の気持ちを私のモノにしていくのが、上手くいっていると思ったのに・・・。まさか、ゆうべ音也があんな行動に出るとは思いも寄りませんでした。日向さんが居るからすぐに乗り込んで来られない筈だという事も、ちゃんと計算してあったのに。・・・全く社長が予想外の行動をしてくれた所為で・・・。」

 余程忌々しいと思っているようで、トキヤは初めて顔を顰めて軽く舌打ちをした。

 「君が、音也に引っ張られて私の手を離した時、どれほど私がショックだったか、判らないでしょう。」

 春歌は言葉も出ず、トキヤの顔を見た。

 「こんなに好きなのに。君が嫌がるコトをするのは可哀想だと思って、無理矢理犯しもせずに、ずっと、少しずつ君の心が向くのを待っていたのに。君は私を受け入れながら、私に甘えながら、結局最後は音也の手を取った。」

 トキヤは既に笑顔では無かった。
 春歌は後ずさる。だがここはベッドの上だ。後ろなど、無い。

 「あんな男のどこがいいんです!? 空気の読めない、頭の悪い、あんな男より、私の方が絶対に君を・・・!」

 「いやぁ!」

 乱暴に押し倒され、春歌は悲鳴を上げた。
 左腕が自由にならない。多少振り回す事は出来るが、所詮繋がれていて、逃げ出すのは不可能だ。それが益々恐怖を濃くさせる。

 「そう言えば、ここ、触られて感じてたようですが。」

 トキヤの指が、春歌の尻へ回る。
 咄嗟に全力で逃げようとしても、腕がベッドから離れない。

 「・・・やめて・・・!」

 「音也は指だけで済ませてくれたようですが、私は君のすべてが欲しい。もうこれからは、君は私のモノです。それを思い知らせてあげましょう。」

 「いやぁあああ!」

 どこにあったのか冷たい何かを窪みに塗り込められた。
 春歌にとって、それが何かはどうでも良かった。何を置いても逃げたくて、必死で手を縛る布を解こうと焦った。押さえ付けられても尚足掻く春歌に圧し掛かったトキヤは、いきなり無言で、硬く反り返った自身をそこへ無理矢理突き入れ捩じ込んだ。

 「ひぎぁああああああああ! 痛っ、痛いぃい! 抜いて!抜いて!痛いっ、痛!」
 
 今まで経験した事の無い有り得ない程の強い痛みで、息も絶え絶えに絶叫する春歌の口を片手で塞ぎ、トキヤはお構いなしに前後に擦りあげた。

 「うるさいですねっ・・・。声など出さずに、私が君のコチラの初めてを貰っているのを実感して下さい。痛いですか? その方がいい。痛ければ痛い程、君の中で、私の記憶がより強く残る・・・!」

 あまりの悲惨な痛みに、春歌は体を動かすことが出来なかった。
 全神経が非常事態宣言を出し、完全保守に切り替わる。入って来たものを自分の意思で追い出せない以上、ただただ、痛みが早くなくなるのを待つしかないと判断し、出来る限り痛みを拾わないよう、歯を食いしばり、じっと息を潜め動きを止めた。

 トキヤが、そんな春歌を見て目を細める。
 
 「無駄なコトを。どうせもう、2度と私以外の男に抱かれる日など来ないのですから、素直に快楽を追求した方が得ですよ・・・しかし。」

 ずるりと抜き切る寸前まで動かされ、春歌の喉が攣る。
 ギリギリと噛んだ奥歯が欠けそうに軋む。
 
 「初めては確かに痛いでしょうねえ。君の体に、これでしっかり刻まれる。私に犯されたこの痛みが・・・。」

 「ぅあああ、やめっ、やめてくださっ・・・痛い、痛いいいっ。」

 「やめてほしいですか?」

 トキヤが耳元で、吐息で囁いた。
 
 「・・・ぅう。」

 「いいですよ。止めてあげても。ただし、音也と別れると、今ここで私に約束するなら、ですが。」

 「そ、んなっ・・・。それは・・・許して・・・お願い・・・お願いですからっ。」

 「そうですか・・・。こんな簡単な条件にもすぐ頷けませんか。交渉決裂、どうぞ泣き叫んで下さい。君の泣き顔は興奮する。そうですねぇ、ああは言いましたが、案外黙って耐えずに泣き喚いた方が、私を煽って早く終わるかもしれませんよ、ふふっ。」

 ずずっと、また奥までトキヤの熱い塊が入ってくる。
 春歌は痛みで失神寸前だった。声すら喉が痛みに引き摺られて上がらないのだ。

 「やめっ・・・くうっ・・も、やめて・・・!」

 「私もキツイですよ・・・。さっさと動かしてイかないと、私が困る。」

 「やめて、やめて! もう動かさな、で・・・ お・・お願い、します・・・。音也くんと、別れるのだけは、どうか・・他のコトならっ、一ノ瀬さんの言う事、聞きますから、だからっ。」

 シーツに顔を押し付け、流れる涙をそれに吸い取らせながら、春歌は強烈な痛みに心を折られてトキヤに懇願した。
 涙の染みがどんどん広がるシーツを見たトキヤが、満足げな息を吐いた。

 「もっと泣きなさい、ほらっ! 」

 「きゃあああ! いやぁあ痛いいい!」

 「泣いてる君を、もっと滅茶苦茶にしてあげます。君を犯し尽して、音也と別れると、君の口から言わせてみせます。私以外の誰にも満足できないように、私以外を求めなくなるようにしてあげますよ!」

 
 手を伸ばしても、多分今掴めるものは地獄。
 
 脳裏に音也の優しい笑顔が浮かび、どんな理由であれ彼を裏切った自分を責めながら、春歌は半分気を失った。

 
 

 

 

 
              To Be Continued・・・
 
 
 

 

 

 

 
 

 
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プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
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拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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