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甘いチョコレイト






 甘いチョコレイト

 
 

 バレンタインSS第1弾です。
 薄桜鬼SSL設定。高校卒業後の2人とも大学生、って感じで。たくさん頂いた年末リクより斎千R18です。初々しくて、ヤってる本人たちだけが幸せ。意味も全然無いある日のエッチの一幕、みたいなエロにしてみました。相変わらず読み切りは連載よりササっと書き上げてるので、細かい部分はご愛嬌で宜しくです。第2弾は、違うキャラで月末頃更新予定です。皆さま本当にリクエストありがとうございました!
 

 





 「甘い。」

 「ですよね・・・。」

 「いや、これは文句ではない。決して不満として述べているのではない。本当に甘いからそう言っただけの事で、その・・・、俺は普段甘いものを食べないせいで、どういう風に褒めたらいいのか、よく、解からぬのだ・・・すまない。でも、美味しい。」


 顔を引き攣らせながら、一生懸命ああでもないこうでもないと理由を並べる斎藤さんが愛しい。
 
 バレンタインだからと言って渡したチョコレートを、私の手作りという理由だけでとっても嬉しそうに食べてくれて、それだけで私も、思わず頬が緩んでしまうほど嬉しい。

 「もう一度言っておくが、嫌ではないのだ。ただ、普段食べないだけだ。間違っても、チョコレートがキライとは思っていない。」

 「はい、大丈夫です。無理なさらないでください。」

 「無理など、決して・・・!」

 さっきから押し問答をしながらチョコレートを食べている状況。
 私たちは、どちらからともなく吹き出した。

 「すまない。こんな言い合いをして食べるものではないな。折角あんたがくれたんだ。味わおう。」

 一応、斎藤さんの好みを配慮して、量は少しにしてある。その分、手編みの手袋を気持ち的に奮発して一緒に渡していた。その包みを開けた時、表面上は静かだが飛び上がらんばかりに喜んでくれた彼の姿が、胸にじわっと温かさを拡げてくれた。大事そうにそれを仕舞い込んだ彼は、私の横に座り直して、チョコレートを食べ始めてくれたのだった。

 小さなトリュフが幾つか、あっという間に斎藤さんのお腹に収まった。
 一粒だけ残して、斎藤さんがお茶に口をつける。だから私も、出されたお茶を頂いた。最後の一粒は、半分こしようか。でもこれ、半分に割れるのか? などと話しながら。

 「久々に甘いものを食べたが、美味しかった。その、あんたが作ってくれたことが何よりも嬉しくて、他にうまい言葉が見当たらなくて、すまないな・・・。あの手袋も、明日から使って構わないだろうか。」

 「はいぜひ!」

 「俺としては、仕舞っておきたい気持ちもあるのだが、だが使いたい気持ちもあって・・・難しい、もの。だな。大事な人からもらうプレゼントというのは。いつも一緒に居られる嬉しさもあるが、使って消耗されていくのがいやで、いつまでも新品のまま、飾っておきたくもある・・・。こんなにも悩んでしまうのは、あんたから貰う物だからだな。」

 「斎藤さん・・・。」

 嬉しくて、胸がいっぱいになる。
 そして私は、そこで意を決して、斎藤さんをじっと見つめた。

 「・・・? どうした。」

 斎藤さんが、不思議そうに私を見る。
 
 「斎藤さん、あの、実はもう一つ、プレゼントがあるんです。」

 「そう、なのか。」

 やっぱりちょっと驚いてるみたい。
 一度に3つだから、それもそうかな。私は逸る心臓を抑えながら、話を続けようとする。

 「はい。」

 「だがもうあんたからはチョコレートも貰って、手編みのものまで貰って、これ以上まだあるなど、嬉しいが、なんだか悪いような気がしてしまう。」

 「あ、でも、その、チョコレートとかと違って、これは、斎藤さんに喜んでもらえるかどうかちょっと・・・解からないんですけど・・・。」

 「あんたから貰えるものなら、俺はなんでも嬉しい。」

 真顔でそう答える斎藤さんに、ドキンと心臓が跳ねる。
 私は胸を抑え、息をゆっくり吐きながら、彼に告げた。

 「あの、もう一つのプレゼントは私からの、その・・・キス、です。」

 「え・・・。」

 小さな声が斎藤さんから漏れる。
 それは、がっかりしたという意味か、単に驚いたのかわからないけど、胸のドキドキが益々大きくなっていく。

 すると、斎藤さんがふっと笑った。

 「そうか、それは、嬉しいな。是非、受け取らせてほしい。」

 「本当ですか?」

 「ああ、当然だ。あんたからキスしてくれるなんて滅多にないからな。素直に嬉しい。」

 頬を少し赤らめて、斎藤さんが微笑みかけてくれる。
 私もさっきよりはほっとして、斎藤さんとの距離を縮めた。

 「良かったぁ~・・・。私、すごくドキドキしていました。もしかしたら、嫌われるんじゃないか、って・・・。はしたない子だって思われて拒否されなくて、良かった・・・。」

 「何を言うんだ。あんたからのキスなら、断る理由が無い。寧ろ俺はいつでも歓迎だ。」

 とても嬉しそうにしてくれる斎藤さんに安心して、私は大分肩の力が抜けていた。

 「良かったです。じゃあ、あの、ベッドに腰かけてもらえますか。」

 「ベッドに? 何故・・・そ、そんな続きを期待させるような台詞は、いくら俺相手とはいえ、軽々しく言わない方が・・・。」

 急にアタフタし出した斎藤さんは、それでも素直にベッドの端に腰かけてくれた。
 私は心の中で、お千ちゃんに教わった内容と、激励の言葉を反復し思い返すと、斎藤さんの脚の間にするりと体を入り込ませ、そのまま彼のベルトを外しにかかった。

 「な!?」

 「あ、動いたらだめです、脱がせにくいです。」

 「脱がっ・・・!? ま、待て! 待て待て!」



 

 30分後。

 私は斎藤さんに、怒ったような顔でじっと見詰められていた。

 お千ちゃんと一緒にチョコレートを作っている最中、私が斎藤さんとのお付き合いについて悩んでないか、と問われたこと。多分お千ちゃんは、社交辞令的に聞いただけなのだろうけど、丁度本当に悩んでる事があったので、ついうっかり口を滑らせたせいで詳細を知った彼女が、是非バレンタインにこうしろ! と猛然と勧めてきたこと。

 それは、いつも私が受け身で、斎藤さんにとって面白味が無いのではないかという不安。
 幾ら女の子が積極的になるのも・・・という考えがあるとしても、何度か体の関係があって、いつまでもこれでは良くないのではないかと悩んでいるという事だった。

 そして私からそんな悩みを聞いたお千ちゃんが、どうやら男の人は、口で愛されると嬉しいらしいから、絶対効果があるからチャレンジした方がいいと教えられたのだけど・・・。

 戸惑ったものの、私も斎藤さんに悦んでほしくて、頑張りたかった。いつも受け身で、ただ斎藤さんのされるがままになっていて、斎藤さんが本当に気持ちいいのかと多少不安に感じてせいもあり、意を決して挑戦しようとしたなどを、素直に全部白状したところ、

 「・・・まったく。俺はあんたに無理などしてほしくない。と、何度か伝えた筈だが?」

 と、怒ったように言われてしまったのだ。


 「無理じゃ、ないです。私も斎藤さんに何かしてあげたくて・・・。だって。」

 「だって、なんだと言うのだ。」

 「っ・・・。その、私が、あんまり何も出来ないと、斎藤さんカッコイイから、他の女の子に、とられ、ちゃう。」

 
 言ってしまった。
 涙が一筋ぽろりと頬を伝う。

 
 こんなこと言うつもりじゃなかったのに。

 
 まるで彼を信じてないみたい。でも本当に不安で堪らない。色気が無いと思われてるんじゃないかって。いつもいつもされるがままになってるだけで、面白くないって内心不満なのかもしれないって。ある日斎藤さんの前に、大人の色っぽい女の人でも現れたら、大好きな斎藤さんが盗られちゃうんじゃないかって。

 でもそれじゃ、彼を信じてないみたい。
 信じてないって思われるのは辛い。だから、言うつもりは無かったのに。しかもあんなことして、はしたない、みっともない子だって思われたらどうしよう。いくら友達に指南してもらったとはいえ、彼のモノを、口で満足させてあげようって思った、なんて・・・。

 頭の中がぐるぐる回る。
 頭上で、斎藤さんの深い溜息が聞こえた。

 「言っておくが、俺は、あんたが何もしてくれない。などと思った事はない。」

 「へ。」

 さっきまでとは違い、優しさが滲んだその声に、私は顔を上げた。
 斎藤さんは難しい表情をしていた。

 「俺の方が、無理をさせていると思っていた。」

 ぽつりと彼が言う。

 「あんたは本当は、俺とするのがイヤなんじゃないかって不安だった。本当は痛いのに大丈夫だと嘘をついてるんじゃないかとか、気持ちよくないのに、俺が傷つくと思って言わないでいるだけなのでは、と・・・。」

 少し唇を噛んで、私をちらりと見る。

 「だから、いつかあんたが、俺から離れていくかもしれないって、怖かった。原田先生や総司のように、女性との付き合いに長けた男があんたに近づいたら、俺は、選んでもらえないかもしれない、って・・・。」

 彼の顔は、赤い。
 きっと、心の内を言葉にして私に伝えて、緊張とか、恥ずかしいって気持ちなんだろう。そんな斎藤さんに、心臓が踊る。

 夢を見てるみたいって表現を時々耳にするけど、私はそんな気分だった。
 だって、斎藤さんが私から離れてしまうかもって不安だったのは私なのに。なのに、斎藤さんも、同じ気持ちだったっていうこと? 

 それは、私が彼を想ってるのと同じ位、彼も私を想ってくれてるって意味?

 だとしたら、嬉しくて。あんなに何度も好きだと囁いてもらっていたけど、でも、やっぱり嬉しくて、夢みたい。夢みたいとばかり心が舞い上がっていたから、斎藤さんにキスされたのに気付くのも遅れてしまった。

 優しいキスが、何度も繰り返された。その合間に、斎藤さんが、好きだと掠れ声で呟く。
 私は彼にしがみついて、無我夢中で彼の唇を、舌を、受け止める。次第に深くなったそのキスは、そのまま私の首筋を伝って胸に降りた。

 「あ、・・・。」

 私の声に反応した斎藤さんが、顔をあげる。
 その目は切なげで、熱に浮かされていて、私は背筋が甘い蜜にどろりと塗れたのを感じた。

 斎藤さんが、私の目を覗き込む。
 
 「いや、か?」

 「そんな、そんなわけ、ないです。」

 それだけは誤解されたくなくて、しっかりと返事をする。
 彼はほっとしたように少しだけ微笑んで、、

 「あんたがそう言ってくれるなら・・・今日は、あんたの言うバレンタインのプレゼント、貰っていいか。」

 「え。」

 「ただし、あんたがするだけじゃなくて、俺も、な。」

 「?」

 彼の言葉の意味が解からなくて固まる私を抱え、彼はベッドに仰向けになった。

 「え? あ、あの斎藤さん。」

 「ほら、こっちに。」

 そう言って、私のお尻を掴み、自分の頭の方へ引き寄せる。
 私は彼の意思が解かって反射的に身を竦めかけた。でも、さっき彼が言ってた不安を思い出し、喉元まで出かかった拒否の言葉を止めた。

 「あまり、見ないで下さいね。」

 「それではあんたの感じる場所が、正確に判らないだろう。」

 「っ。」

 恥ずかしさで頭が沸騰するかと思った。
 
 体を交差させ、お互いの服をずらしあい、秘部を晒しあう。斎藤さんの手が私のスカートを捲り、ショーツのクロッチ部分をぐいっとずらす。私は彼のズボンのベルトを外す。カチャリと外れたベルトの金属音が、自分の脳を刺すかと思った。震える手で、もう大きく張っている彼のモノを下着から取り出す。間近でそれを見たのは初めてで、その大きさと形に息を呑む。なんとなく怯えてしまう。

 でもその怯えも、彼の舌がいつも愛してくれる場所に触れると、ぼろりと崩れ落ちた。斎藤さんの舌が、私の体の、いつもは人目に触れる事のない濡れた箇所を何度も往復する。それだけで私の色々な感情は、温度の高いフライパンの上で溶けるバターよりもあっさりと早く、とろりと溶け出して思考の枠からはみ出して行く。

 「ああ、ああっ、やあん。」

 気持ち良さに腰を捩ると、彼の腕がそうさせまいとするかのように、がっしりと腰回りを抑え込む。霞む目の前で主張する彼の大きなモノが視界に入り、私は自然とそれを口に含み、ちゅうっと軽く吸い上げた。

 「あ・・・っ。」

 小さな声があがり、その後すぐ、狂ったように私の脚の間を激しく唇で愛し始めた彼は、きっと気持ちいいと思ってくれてると確信した。私も夢中で彼のモノを下から上へ舐めあげたり、咥え込んで唇で撫でたりした。先端の窪みを何気なく舌で強めに刺激すると、斎藤さんの腰がびくんと跳ねた。

 「ぅあっ!」

 彼の声が、ひくつく下肢が、私の行為を悦んでくれてると伝えてくれる。
 それに気を良くした私は、顎が外れそうになるのも構わず、もっと奥深くまで彼のモノを咥え込み、唇をきゅっと窄めてそれを扱きたてた。

 「は、あっ、だめだそんな・・・良すぎる・・・っ!」

 彼が息を詰めるのが判る。
 構わず上下に首を振り、唇で彼のモノを扱き続けた。途中で、周りの音も解からなくなる位、それだけに集中していた。一瞬、彼の下半身が強張ったと感じたけど、私は何だか少し意地になってるみたいに頬張り続けた。

 「だめだ、もう出る、出るっ、も、で、ぁああああっ。」

 「!!」

 斎藤さんの、切羽詰まった快感に震える濡れた声が、私の興奮を一気に引っ張ったその時、彼のモノが爆ぜた。対処する間もなく一瞬で口の中一杯に熱いとろみが拡がる。飲み込むのも大変なそれは喉に引っ掛かりながら、大好きな人を自分が感じさせてあげられた悦びと共に、苦みも連れて体に染み込んでいく。

 ごくんと、なんとかどろっとした雫を飲み干す。

 
 「大丈夫か、すまない、つい我慢が出来なくて・・・。」

 やっと息の整った斎藤さんが身を起こし、私の肩に触れ、気遣ってくれる。
 
 「・・・苦い。」

 思わず言った私に、斎藤さんは何やら口走り、ベルトをガチャガチャやりながら必死に服を身に着け慌てて部屋を出て行く。
 それが本当に慌てふためいている感じがして、何事だろうと呆気に取られて見つめていた私の元へ、ものの1分もしないうちに斎藤さんが戻ってきた。

 「さあ早く! 水を持ってきた。ほら飲んで、ていうか吐き出した方がいい。早く!」

 「え。でも、私、もう飲んじゃって・・・。」

 「何故飲んだりした! あんたはそんな事しなくていいんだ! 」

 「そんな、大丈夫ですよ。ちょっと苦かっただけで・・・。」

 「あんなもの飲まずとも良いのだ! あんたにそんな事をさせてしまって俺は、俺は、もう・・・! ああもう兎に角まず水を飲んで、あっ、それよりジュースの方が良かったのか。だがちゃんとあったかい物を飲んだ方が、いや、うがい薬か・・・!?」

 彼はとても動揺しているみたいだった。
 私は逆に、終わった・・・と妙な達成感に安堵していて、彼の焦りについていってない。そのせいで動きの鈍い私を心配そうな顔で見ながら右往左往していた斎藤さんは突然、ハっとしたように目を見開くと、先程渡した箱から、残っていたチョコレートトリュフを取り出した。

 「これなら甘い! 苦みが中和される筈だ!」

 「え・・・むがっ。」

 有無を言わさず口の中に押し込められ、反射的に顎を動かす。柔らかいチョコレートは簡単に歯で潰れ、甘さがじんわり、しっかり口の中を塗り替える。
 その間もずっと、心配そうに見守る斎藤さんがおかしくて。ものすごく焦ってる斎藤さんの姿から、私を思いやってくれる気持ちが十分すぎる程伝わってきて、私の胸は一気に温かさで占められた。

 大好きな人の愛を感じる時に覚えるこの胸の感覚。
 彼にプレゼントしたチョコレートが、私の口へ入る。彼の精を受け止めた私へのご褒美みたいだと、少しだけ思った。

 
 「チョコレート、甘いですね。」

 「ああ、甘かった。だから丁度いいかと、どうだ、苦いのはなくなったか。大丈夫か。気分は悪くないか。遠慮せずに言うんだぞ。」

 「大丈夫ですよ。本当に大丈夫です。」

 私は、彼に擦り寄った。
 斎藤さんが、抱きしめてくれる。

 「私があげたのに、私が食べちゃいましたよ。」

 ぼそりと呟くと、彼がふっと微笑む。

 「構わない。またつくって貰えるのだろう?」

 「はい。斎藤さんが食べたいって言ってくれるなら、いつでも・・・。」

 ふんわりと浮いたような気持ちのままに答えた私を、斎藤さんが一層ぎゅっと抱きしめた。

 「嬉しい。嬉しかった。」 

 と、ぼそりと告げた彼の声が、プレゼントしたチョコレートを指しているのか、意を決した私の大胆さを指しているのか、将又これからも作ると言った言葉に対してなのかは不明だったけど、それは敢えて聞かなかった。だって彼が喜ぶのなら、どんなことでも嬉しいから。

 喉に絡みつく甘いチョコレート。彼の甘い抱擁。
 幸せで、自分がとけてしまいそうな、バレンタインデー。

 嗚呼、甘い。なにもかも甘い。
 甘くてしあわせで、本当にとけちゃいそう。彼と一緒ならそれでもいい。2人でひとつになって、ずっとずっとまどろんでいられたら、いいのにな。








 ~fin~













 

 

 

 
 
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妻の躾




 

 妻の躾




 

 薄桜鬼随想録、VITA移植でワーイなSSです。ワーイとか能天気なコト言ってますけど風間ちー様がSです・・・。それでも良い方だけ・・・。甘すぎるちーがお好きな方はご遠慮下さい・・・。







 
 「・・・大概にせぬか。」

 俺が、低い声で一言放って変わった空気に、千鶴がぐっと詰まるのが判った。

 娶って数カ月。
 目に入れても痛く無いとはこれか。と実感しながら暮らす我が妻は、どの季節の花などよりも美しい。

 しかしその花も、反発が過ぎると折りたくなるもの。
 いや、反発とは少し違うか・・・。

 俺の言動が過ぎるせいで、こやつは窘めているのだ。俺自身は過ぎているつもりは毛頭無いが、千鶴はそう捉えている。それは解る。

 だが、その口ぶりは妻というよりまるでお目付役の仕事そのものだ。愛する妻を常に愛でたい自分としては、母親かと問いたくなるような真似は少々気に障る。

 可愛らしさをもっと見せてくれれば良い。そういうのは、そんなに無茶な要求ではない筈だ。

 「でも、私は千景さんの為を思って・・・あまり無茶は・・・。」

 俯いたまま、小声で最後の抵抗を見せる。
 先ほど投げ打った声音ほど実は怒っても不機嫌にもなっていない俺は、面白くてつい、追い打ちをかけてやる。

 「お前は、俺が何をどうしていようが口出しをする必要はない。俺を思うのなら、家に帰った時に妻としての労いをしてくれれば、それで良かろう? それとも何か、お前は、そうは出来ぬと言うのか。」

 「いえ、そうでは・・・。」

 「ふん・・・。少々お前を甘やかし過ぎたか。躾が必要かもしれんな。」

 「え。」

 立ち上がる俺を、千鶴がきょとんと見つめる。
 俺は、優しく笑いかけてやった。



 

 「それでは、これで報告は終わりです。」

 「ふむ。では俺は戻るぞ。」

 「何か、急いでおられるのですか?」

 雨霧が問う。
 報告を聞いていた俺が、終わるや否やさっさと出て行こうとしたのが気になったのだろう。

 「別に何もない。退屈な仕事から早く帰りたいだけだ。」

 「・・・まあいいでしょう。奥方もお待ちでしょうし。夫の帰りを寝ずに待っているとしたら、あまり遅くなっては可哀想です。」

 雨霧の言葉に口許が緩みそうになるのを必死で抑え、俺は部屋へ戻った。




 

 「戻ったぞ。」

 そう声を掛けても、妻は答えない。
 それは当然だ。

 「千鶴、どうした可哀想に。夫の帰りを待ちわびていたという様子ではないか。・・・此処が、な。」

 縄をずらし、脚の間の滑る粘膜をなぞってやる。
 簡単に指が濡れ、既に熱く蕩けた肉に埋まる。

 「んん!」

 千鶴がびくんと体を撓らせる。
 柱に縛り付けられた両手首が、ぐっと引っ張られ、腰を浮かせる千鶴を逃げられないようにする。口に噛まされた手拭が濡れそぼっていた。

 大きく開いた状態で縛り上げられた両足を、必死に膝を閉じようとしているのが解かる。しかしそれが叶わず、妻の顔も体も、羞恥で真っ赤に染まっていく。そして身を捩りながら俺の指を締め付けた。俺は内心でほくそ笑む。

 「本当に待ち侘びていたようだな。可愛いやつめ。・・・しかし、悦んでいるのでは仕置きにならんな。」

 わざとぐちゅぐちゅと音を立て乱暴に花壺を指で掻き回す俺の言葉に、千鶴が首を横に振る。だがもうそれも、ただただ男を煽る弱々しさだけで説得力も無い。肌は益々熱さに染まり、うっすら汗ばんで甘い匂いすら漂う。

 「これで少しは従順になるといいがな。だが虚勢を張るお前を見るのも悪くはないし、困ったものだ。」

  「んー!」

 
 ぴんぴんと、指先で胸の尖りを弾いてやると、面白いように声を上げる。子供の玩具のようだ。
 

 ・・・まあそうかもしれぬ。

 俺もこやつの前では特に、好奇心と独占欲を押し隠せぬ子供に似ている。
 
 欲しくて欲しくて、自分の手で泣かせたくて、笑顔にさせたくて、どうしようもない。俺の一挙一動に反応してほしい。そうしてくれたその時が、とても愛おしい。愛でる者と愛でられる者の図としては、子供が人形を宝物として大事に仕舞い込み、自分だけの世界に浸る時に取り出して愛玩するのと然して変わらぬ。

 「囲っておきながら、自分の手で壊したくなるのも似たようなものだな・・・。」

 俺の呟きに、妻が不思議そうな目をする。何を言ってるのか判らないのだろう。当然だ。
 
 先程ずらした、股に喰い込んだ縄をその部分だけ解き、下半身を多少自由にしてやると、千鶴がこの先を察して身を固くした。

 「愛らしいお前を、俺の欲望で汚すのすら歓喜だ、という意味だ。」

 さっきの不思議そうな目に答えてやると、妻は益々意味が判らないという顔をした。
 
 「ふ。判らなくて構わぬ。妻はただ黙って夫に従っていればいい。こうやって俺の成すがままにしていれば、お前は気持ちよくなれるのだ。」

 いやいやとまた首を振る千鶴の蜜壷目掛け、俺は自分の固くなったものを一気に押し込んだ。

 「んんんんんんんーーーー!!」

 拍子抜けする程あっさりと、妻の蜜壷は俺を受け入れた。
 
 中は灼けるように熱い。熱いのに全身がぶるりと震える。寒さでもなく恐怖でもなく、快楽で体は揺さぶられるのだ。昂ぶる熱が俺の体を駆け巡り発火する。

 慣らす真似もしてやらず、思うままに掻き回した。びくびくと体中が波打っている妻を他所に、構わず大きく出し入れしてやる。

 「悦い、か?」

 搾り取られる快感に言葉が切れたが、妻の方もそれどころではないようだ。返事も出来ずに半分白痴になりかけている。
 

 それを確認すると、俺は入れていた男根をあっさりと抜いて立ち上がった。

 妻が、ほっとしたように体を弛緩させる。
 
 だが、いつものように体勢を変え続きを始めるでもなく着物を調え始めた俺を、訳が分からないような、不安そうな目で見つめた。そして俺は、そんな妻の様子に気付いていながら素知らぬ振りで、縛めをすべて解いてやった。赤い跡が残る手首を庇いながら益々、千鶴は混乱した目で俺を見た。

 俺は唇の端がうっかり上がりそうなのを堪え、敢えて無表情を作り告げる。

 「仕置きだと言っただろう。そのまま中途半端な状態で今日は休むがいい。俺は別の部屋で寝る。」

 「え・・・。」

 ああ。いい。
 
 その、驚いている隅で縋るような声がいい。もっと縋れ。俺の着物の裾に、行かないでと泣きつけばいい。俺が欲しいというお前が見たい。

 「どうした。俺の言うことを聞かねばどうなるか思い知らせる為の躾だが、縛ったままではあんまりかと思って、解放してやったのだぞ、感謝しろ。では、ゆっくり休め。」

 「そ、んな。」

 呆然とする姿が可愛らしくて噛み付きたくなる。
 
 「ではな。」

 「や・・・!」

 身を翻した俺の着物の裾を、小さな手が掴んだ。
 俺は黙って見下ろす。

 「千景さん待って、私、このままじゃ・・・。」

 すぐに何も返事をしなかったのは、妻に見せている表情通りの不機嫌さからではない。
 
 嬉しさで二の句が告げられなかったからだ。単にそれだけのこと。愛する女に、火照った体を沈めてくれと、はっきりしとした言葉にはせずとも全身で縋られて、万感だ。

 「ふん、今更、待って。もないだろう。この俺を散々待たせてばかりいるではないか、お前は。」

 「・・・。」

 言い返せない妻を見つめる。先程の繋がりで薄く染まった肌がそのままで、抱かれたいと言いたいのに言えない慎みに目を潤ませていた。それを確認した途端、俺の中で何かがすとんと理性から転げ落ちた。

 本当に、俺は子供だったらしい。もう少し焦らして楽しみたかったが、自分の欲求を抑え切れなかった。俯く妻を押し倒し、唇を貪りながら続きを再開した。

 「どこをどうしてほしいのだ。自分で言わぬか。」

 「む、無理・・・そんな・・・。」

 「言われなければ解からぬな。・・・やはり、今日は仕舞いか?」

 にやりと笑った俺の目に映る妻は、真っ赤な顔をして身体を震わせている。先を少しだけ挿れて抜き差ししてやると、途端に甘い声で啼いた。動かすのを止めると必死に腰をくねらせて奥へ誘い込もうとする。いつもだったらすぐに受けるその誘いを、俺は最後の加虐心で振り払い、顔を寄せ、耳元で囁いてやった。

 「言うことを聞かぬか。俺の子種を奥に欲しいと口にすれば、すぐに天国を見せてやるぞ。言わぬならこのままだ。」

 そうして浅くぐりっと一度抉ると、とうとう我慢がならなくなった様子で妻はしがみ付き、

 「も、だめ。欲しいの、千景さんが欲しいの、奥に、子種、早くぅ・・・っ!」

 ぐいぐいと腰を下から押し上げて、半分泣きながら順序の怪しい単語をぶつけてきた。この辺で勘弁してやるかと、あくまで自分を棚に上げて俺はぐっと妻の腰を抱え込み、押し込み勢いよく貫いて擦りあげてやった。

 「あっ、あんっ、あ、あああん!」

 髪を振り乱し喘ぐ様は、待ち詫びていた快楽に翻弄されていると教えている。

 「そんなに気持ちが良いか。俺の言う通りにすれば、いつでもちゃんとこうして可愛がってやる。覚えておけ。」

 「あああっ、んぁ、はい・・・!」 

 「出すぞ・・・。」

 妻は呆気なく気を遣り、俺は孕ませる為に限界まで奥へ捻じ込み、搾り取られるままに一滴残らず注ぎ込んだ。



 
 手首に口付ける。
 妻が、まだぼんやりとした目でそんな俺を見ている。

 「跡がついたな・・・。まあいい。しばらく、それが目に入る度、良き妻になろうと小言を思い留まれ。」

 「小言は、千景さんが言われるようなことを、」

 「俺は何もとやかく言われるような事などしておらん。」

 面倒になりそうだったので、ぎゅっと掻き抱いた。
 いつもならそれでもなんだかんだと言ってくるが、今は流石に体が重いのか、何も言わずに胸に収まっている。大人しいのは幸いと耳に口を寄せ、

 「あまり煩いと、また躾ねばならんぞ。どうする。俺はまだ寝なくても構わんのだが? 案外お前も、縄の感触が気に入ったのではないか。いつもより乱れていた。次は違う格好で縛りつけてほしいか。」 

 わざと恥ずかしがるような事を囁いてやった。

 途端、妻の耳から首筋から真っ赤に染まった。
 思わず笑いを堪える。妻は、何かを言い返したいが言葉にならないらしく、ぎゅうぎゅうと俺の体に小さな拳を押し付ける。

 俺はそんな妻の仕草が愛おしくて仕方なくなり、頭を撫でながら髪を梳いた。暫く言葉もなくじゃれあう。こんななんでもない時間に満ち足りる。夫婦とは不思議だ。

 「今日はこのまま眠れ。無理をさせたな。」

 「千景さん・・・。」

 もぞもぞと動き、俺の顔に顔を近づけてきたので、そのまま口付けてやる。
 甘い唇。柔らかい肌。暖かい心地。体の奥にまで届くこいつの匂いが、俺を満たす。

 俺も大概甘い。
 だが仕方なかろう。躾けようにも、俺にとってはこれで限界だ。勝てぬのだ。この愛する妻の何もかもに、毒気を抜かれて骨まで抜かれているのだ、この俺が。

 やがて聞こえてきた規則正しい寝息。
 普段と変わらぬ心音。

 これが日常であり当たり前であると、本気で放漫に言い捨てる事がもしも、今後の俺にあったなら。その時、この掛け替えのない幸せは崩れるのだろう。

 だから今日も口付ける。祈りに似た自然な行為。
 俺の癇癪だか思い付きだか、子供のような悪戯に巻き込まれて尚、俺から離れぬこの愛しい花を、しっかりと腕に抱きながら。











  ~fin~










 
 

 
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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