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pastiche 第1話

 

 

 pastiche
   第1話






 

 「解離性障害。症状は健忘。ですがまあ、程度はごく軽いと思われますよ。今ちょっと難しい言葉を使いましたが、実際にはそんなに深刻な状態では無いかと判断されます。一時的なものだと・・・。」

 医者のその言葉を聴いたトキヤは、表情の読めない目を揺らさないまま、続く説明を聴いていた。
 春歌はそれを、ぼんやりと見ていた。




 

 それは、春も終わろうという頃だった。
 

 「君は、覚えてないんです、か・・・。」

 医者の難しい説明を2人で聞き終え、また入院中の個室へ戻って来た時には春歌はどっと疲れ、そのままベッドに潜り込んで眠った。眠る時に聞こえたトキヤの呆然とした呟きが切なかったが、それすらすっと消える程早く眠りにおちた。
 
 暫く経って目覚めても、トキヤはまだその場にいてくれた。
 眠る前に聞こえた呟きも、起きた時にほっとしたような、それでいて辛そうな笑顔も、春歌には理由が判らなかった。

 「一ノ瀬さん・・・。」

 どうしていいか判らず、でも、何か言わなければいけないような気がして、取り敢えずトキヤの名前を呼んだ。
 すると、トキヤが声を出さずに微笑んだ。

 「一ノ瀬さん?」

 「・・・ああ、いえ、すみません、なんでもありません・・・。私の名前だけは・・・ちゃんと覚えていてくれてるのだな、と・・・。部分的に記憶が無くなるという症状は、ショックを受けたりした場合に多いらしいですね。ショックを受けた原因に関する事を神経や脳が拒絶して、だから覚えて無い、という状態なのだと・・・あの医師の説明ですけど。」

 途切れ勝ちに、トキヤは話す。
 春歌は、上半身を起こした。

 「あの、覚えてないってどういう意味ですか。私は自分が誰かも判りますし、一ノ瀬さんの事も判ります。ただ、その・・・どうして入院してるのかが判らないんです。」

 「そのようですね。その辺りの部分をすっぽり忘れてしまってるようです、君は。」

 「あの、仕事は、」

 「ふむ・・・。本当に、仕事の事などは覚えているのですね・・・。大丈夫ですよ、仕事の事は心配要りません。日向さんが君のパソコンのデータを調べて、直しを指示されていた曲がきちんと直されているのを確認しましたから、請けた依頼は総て消化しています。次の仕事はストップしてあります。不幸中の幸いでした。一応次の話はあるようですが・・・」

 トキヤが説明してくれるのを、春歌は黙って聞いていた。
 今現在は依頼はすべて提出し終えた。彼の説明が、自分の記憶と相違無かった安心感でほっとし、途中でトキヤの声から神経が逸れる。

 春歌は左右をなんとなく見た。

 ベッド。
 ナースコール。
 
 自分が用意した物ではないタンブラーやタオル。新品のパジャマ。目の端に映る、病院のベッドを囲む特有の白いカーテン。個室の為それを開け放してあり、見渡せる部屋は、白い。
 
 自分は何らかの事故にあったようだというのは何となく理解していた。腕に包帯が巻かれているし、身体のあちこちに擦り傷がいくつかあった。それにどうやら看護士達も口にする 「記憶が欠落している」 状態だからこそ、入院しているし医者にも診察されているらしいという状況は判る。
 
 頭では判るのだが、自分にとって目の前のトキヤの事も覚えているし、大体が今トキヤの口から出た恩師・日向の存在も、仕事内容も覚えている。だから記憶が欠落していると言われても、気持ち的に納得できない。自分は何を忘れているというのか。それは大事な事なのだろうか。単に、事故の内容、その瞬間だけを忘れているのではないのか。

 



 自分の名前は判る。七海春歌。春歌は心の中で復唱する。
 こんな事実は春歌にとって、当たり前で何の変哲も無い事だ。

 だがそれを、医師に何度もしつこく問われた。

 仕事は、生まれた場所は、住所はどこか。幼少期によくした遊びや、小学校時代に印象的だった学校行事は何か。最後に卒業した学校はどこか、その学校にいた友達や先生の名前は何か。今まで自分が作った作品、それが起用された番組名。その番組の出演俳優は誰か。最近好きでよく食べていた食べ物は何か。

 果ては、寒くなる前に買ったコンビニ商品は何ですか。など、思わず首を傾げて笑ってしまう内容もあった。

 ありとあらゆる質問を受けたが、どれも自分にとってはどうということのない、当然の事柄ばかりだった。

 なのに。
 日にちや時間をおいて尋ねられても、どうしても答えられなかった問いがあった。

 

 「お付き合いをしていた男性は、居ますか。」

 「入院する直前の数日間、貴女はどこで何をしていたんですか。」

 

 それを聴かれると、頭が割れるように痛くなるのだ。

 恋人と言う単語から連想される何かを必死で思い起こそうとすると、自分が誰かと口づけている映像が頭を過る。熱い手指、身体を貫く情熱的な固まりが記憶にちらつく。それは、自分が処女では無いと強烈に知らせていた。自分には恋人が居たのだ。それは間違いないらしい。

 しかし、相手が誰なのかが見えないのだ。
 確かに、覚えがある人物なのに、思い出せないのだ。

 「ここに来る前に、何処で何をしていたのかは、全然思い出せないんです・・・。だからどうして私は入院してるのか意味が判らなくて・・・。」

 頭を振る春歌を見て、医師は淡々と質問を続ける。

 「あなたは、山の中で倒れていたそうです。どなたと山へ出かけたのですか。」

 「わかりません・・・大体、山へ行った覚えがないんです・・・。」

 「誰かと約束をしていたのでは? 前の日や、一週間くらい前に会った人で、思い当たる方はいませんか。」

 「・・判らないんです。私は毎日曲を作って、みなさんと一緒に食事をしたり、メールで普通の話をしたり、それ以外、何かをしていた覚えがないんです。ある日突然、目が覚めたらこの病院へ来ていた、としか。」

 「1週間前に、あなたの曲を起用したCMが放送になりました。ご覧になりましたか?」

 「・・・曲を作成していた覚えはありますが、放送を見た覚えは・・・。」

 ずきりと、その質問を受けた時に春歌は何故か胸が痛んだ。
 思わず胸を抑えたが、思いすごしかとまた顔を上げる。そして、カルテに何やら書きこんでいる医師に告げた。

 「私は普通に仕事をして、皆さんと一緒に夢を追いかける毎日を過ごしていただけ。としか、それしか思い出せないんです。・・・でも、なんとなくですけど、私には恋人は居たような、気がする・・・。」
 
 と、心許ない一言を医師に向かって絞り出したのを最後に、どっと疲労感にも似た眩暈に襲われ、春歌は丸1日以上も眠っていたらしい。起きた時、あの問診から2日経ったとトキヤに告げられた。

 そして、眠っていたうちに診断結果がおりたと連絡があり、トキヤと共に医師の部屋へ赴いて聞かされたのが、所謂記憶喪失だという所見だった。

 ただ春歌は、そう言われても何か実感は湧かなかった。そんな事より自分は1日眠り込み、診断を聴いてまた疲れて数時間眠った。記憶が云々よりもそんな自分の弱さに項垂れた。しかしそれも、ショックを受けたせいなのだと言われた。医者の言葉は難しくてよく理解出来ないが、詰まる所これ以上傷つかないように、無意識に身体が眠りに逃げているらしい。精神とは、そこそこ上手く出来ていると春歌は感心した。

 何がそんなにショックだったのか。思いつかない。思い当たらない。
 ただ足を滑らせて頭を打った程度ではないのだろうかと、春歌は思っているのだが、トキヤは、そうではないようだった。

 

 

 「・・・そんな流れで進めてますから、だから暫くは治療に専念できます。仕事について心配しなくていいんですよ。」

 再びトキヤの声が耳に響いた。
 そうだった。自分は今、仕事の状況を聞いていたのだったと、居住いを正す。


 トキヤは、学園時代を一緒に過ごし、同じ事務所に入った友達だ。
 しかし。

 どうして彼が今ここに居るのか実の所、春歌には良くわからなかった。

 別に居てもおかしいわけではない。
 友達だから見舞いに来てくれていても当然だ。このベッドで気が付いてから何日かは何人もが見舞ってくれ、友も恩師も涙を流しながら、意識を取り戻したことを喜んでくれていた。

 ただ。
 何をしていても、彼がいつも当然のような顔をして傍に居る事が、春歌にはよくわからなかった。眠ってばかりいる影響なのか頭の芯がぼんやりする為、今まで尋ねる事もしなかったが、不思議には思っていた。どうしてトキヤは、自分にずっと付き添っているのだろうかと。

 彼はアイドルで、忙しい筈だ。
 そもそもこの病院は最近の例に漏れず完全看護だ。当然宿泊には許可が必要となり、それが不要な容体の春歌の病室からは看護士が時間になるとやってきて追い出されるので、トキヤも夜には帰る。付き添う必要はないのだ。なのに、ほぼ毎日1日中ここにいる。

 「あの・・・。」

 春歌は、思い切って尋ねる事にした。
 仕事の話をとうに終え、ベッドの横にある背の高い棚に置いてあるタオル類を整理していたトキヤが、軽く振り返る。

 「なんですか。」

 「あの、一ノ瀬さんは・・・どうして私にずっと付き添ってくれているんですか・・・?」

 「・・・。」

 一瞬鋭い目をして、それから押し黙ったトキヤの様子に慌てて、春歌は言葉を付け足す。

 「その! 嫌とかじゃないんです! 感謝してるんです! ありがたいと思ってます。ほんとに、色々してくれて・・・私、目が覚めてもすぐにはまともに真っ直ぐ歩けなかったし、喋っててもぼんやりしちゃって、お茶の用意とか、ほんとに、感謝してます。でも、あの。」

 トキヤは黙ったままだ。

 「ど、どうして、一ノ瀬さんなのかな、って・・・。林檎先生が気にかけて下さって、必要な物も届けて下さいますし、一ノ瀬さんは・・・お忙しいですし、お休み、なんでしょうか・・・。だとしても・・・。」

 トキヤが、ベッドの横のスツールに再度腰を下ろした。
 春歌は黙る。気まずくて、無理やり笑ってみせたが、トキヤは笑ってはくれなかった。

 「君は、覚えてないんですね。本当に。」

 「あの・・・。だから、教えて下さい。私はどうしてココに居るんですか。何があったんですか。どうして誰も教えてくれないんですか。ただ転んだだけなんじゃないんですか? 普通に仕事して皆さんとお喋りしたりして過ごしてて、たまたまある日転んで怪我をして、頭でも打ったからちょっとその時の記憶が無いだけな、」

 勢いついて畳み掛ける春歌を、トキヤが手で制した。
 はっと我に返った春歌は、感情を表に出し過ぎたのが恥ずかしくて、俯いた。

 少しして、トキヤが口を開いた。

 「君を病院に運んだのは私です。」

 「・・・はい、ありがとうございました。」

 それは意識が戻ってすぐに林檎らに聞かされていた。
 自分は出掛けた山中で道に迷ったらしい。トキヤが見つけてくれた時には、気を失って倒れていたのだという。腕の裂傷が酷かったと聞いたが、それは実際に腕が痛むのと、仰々しい包帯のせいで納得できた。

 トキヤは、春歌が気絶し腕を怪我しているのを見つけ驚き、慌てて119番をしようとするも、携帯電話は圏外で繋がらなかった。仕方なく春歌を抱えて、一番近い幹線道路まで戻って救急車を呼んだと聞いていた。

 「それは本当に感謝しています。山の中なんて、一ノ瀬さんが見つけてくれなかったら、私、死んでたかもしれません。でも、もし自分が一番最初に見つけたからって、そういう意味で責任を、とか、って・・・そういう風に思って付き添って下さっているなら、それは申し訳なさすぎますので・・・。」

 トキヤの視線に耐えられず、目を逸らして春歌は話を続けた。
 彼の強い眼差しに胸がざわつく。不安か、はたまた既知か解らない。

 「あの、私は決して一ノ瀬さんに居てほしくないとかそういう意味では言ってないんですけど、その。」

 「春歌。」

 「はい。・・・え?」

 反射的に返事をし、そして聞き返す。
 トキヤは、ゆっくりと言った。

 「そう呼ぶようになったのは、本当に最近でしたから・・・。多分、あの山に入る直前から記憶が無いのではなく、君の話を聞いている限り、私たちが恋人同士になった辺りからの記憶が無くなってしまっているようですね。医者もそう考えていましたし、私も十中八九、それで間違いないと判断しています。」

 「・・・・は?」

  
 きょとんとする春歌の手を握り、トキヤは言った。
 トキヤは、学園時代を一緒に過ごし、同じ事務所に入った友達だ。

 だが彼は今。
 彼の言葉に今、含まれていた単語は。
  
 
 「私と君は、恋人同士です。どうかそれを、思い出してほしい。」

 「な、そ・・・え・・・。」

 
 恋人同士?
 自分が、トキヤと?

 たじろぐ春歌の目をじっと見つめたトキヤが更に言う。

 「思い出させます。私が。・・・私は、君を失くせないんです。春歌、私が君の恋人です。これからもずっと・・・!」

 春歌は自分の身体の中で、ざあっと何かが舞い上がる音を聞いた。
 
 それは、彼の言葉に該当する記憶も無く。目が覚めてからずっと、ぼんやりしていて混乱していて、まとまらず散乱していた様々な心の欠片を、トキヤの手と言葉の熱すぎる真剣さが、強い竜巻の如く巻き上げた音だった。









      To Be Continued・・・
















 
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pastiche 第2話

 


 
pastiche
  第2話








 退院する時に付き添ってくれたのは、結局トキヤだった。

 「七海さん、退院おめでとう。21日からだから、丁度7日かしら。予定より早く出られて良かったわね。」

 朝、看護師の女性に明るく話しかけられ、春歌は頭を下げた。

 「昼までに病室を空けて下さいね~。お会計は昼にかかっちゃってもいいんですけど。病室だけは出ちゃって貰わないとココ、個室だから。次に入るのを待ってる人も居るし、下手したらまた1日分の入院費が掛かっちゃうんですよ。彼氏さんにも昨日ちゃんと説明しておきましたから、大丈夫だと思いますけどね。」

 看護師の言葉は否定しなかった。彼氏かどうか、本当の事は自分にも判らないのだから。

 11時を回った頃やってきたトキヤが手続きをすべて済ませ、簡単な片付けも荷造りもしてくれた。
 
 「昨夜、久しぶりに東京へ戻りました。日向さんから君の部屋の鍵をお預かりして、簡単な掃除などはしておきました。空気も入れ替えておきましたので、気分良く帰れますよ。今日も朝早くから窓を開けてありますから、早く帰らないと部屋が冷えてしまいますね。」

 「え。」

 春歌はそこで初めて、自分が入院していたのが東京の病院じゃないのだと間抜けな事を想った。
 トキヤは昨日、確かにいつもより大分早く帰って行ったが、いい加減付き添うのに疲れたのだろう位に捉えていたし、もっと言えばあまり気にしていなかった。少し考えれば判る筈なのに、やっぱり自分は眠り過ぎてどこか頭がぼんやりしている。

 「・・・ありがとうございます。」

 春歌に向けて淡々と当然のように言うトキヤに御礼を言って、病室で使っていた諸々の荷物をまとめる彼の手つきを、なんとなく眺めていた。
 
 あの時。
 思い出してほしい。とトキヤに言われてから数日で退院は叶った。
 だが春歌は、哀しげに訴えたトキヤに応えられる記憶を、入院中はとうとう取り戻せなかった。

 通院は必要だと言われた。 
 帰る時に、東京の病院への紹介状を渡された。退院後1週間後に診察をするので予約済みだと言われ、その後はどうやら大分間隔が空くような説明をされた。

 (記憶がないなんて、結局は治しようがないのかも・・・。だから、通院といっても、特に何をしてくれるとかは無いのかもしれない・・・。)

 駅へ向かうタクシーに揺られている間、トキヤの手が自分の肩を抱いているのを、春歌は考え事をしながら振り解かなかった。
 単に心地が良かったのもあるが、トキヤの言葉を真っ向から疑うのも違う気がしていたからだった。

 新幹線に乗っている間は、流石にトキヤも身体に触れては来なかった。
 車内販売で買ったサンドイッチを昼食として2人して食べた後に、眠ってもいいですよと言われ、春歌はトキヤと長時間、他人も居る空間で隣同士で居るのが辛くて、大して眠く無かったが眠ったふりをして数時間をやり過ごした。

 目を瞑り、色々と考える。

 見舞いに来てくれた面子は、誰もトキヤがその場に居る事を咎めもからかいもしなかった。
 だとしたら、周囲にとってトキヤが自分に付き添っているのは当然だという事ではないだろうか。それは即ち、公認の仲だったからに他ならないのではないだろうかと考えた。

 でもそれにしては、皆トキヤに、それらしい言葉を掛けるでも無かった。
 
 公認の仲だとしたら、春歌の意識が戻って本当に良かったという言葉は、トキヤにもそれなりに向けられてもいいのではないか。と疑問が湧く。だが皆一様に春歌を抱きしめ、春歌に向かって安堵の言葉を告げるばかりだった。春歌にとっては、見舞いの最中に、トキヤの付き添いを疑問に思う者も居なかった代わりに、トキヤを春歌の恋人として認識した言動も、誰ひとり取ってなかったように見えた。
 
 トキヤが付き添っている件に関して、誰も触れなかったのは事実だ。
 自分が眠っている間にそれらしい話しをされているのだろうか? でもそれもしっくりこない。

 ぐるぐると考えを巡らせてるうちに、あっという間に新幹線は東京に到着し、駅から寮の前までタクシーで向かっていた。

 やっと自室に戻り、春歌はほっとしてリビングのソファに沈み込んだ。
 荷物は、トキヤが運んでくれた。

 「ふぅ・・・。久しぶりすぎて、なんだか変な感じです・・・。」

 ぐるりと部屋を見渡し、笑顔になる。
 色々と不安はあれど、自分の部屋はやはり落ち着けた。トキヤが言ってくれた通り、掃除をして空気を入れ替えてくれてあっただけで、気持ちは随分と違った。

 「そうですね・・・もうこんな時間ですか・・・。疲れたでしょう。荷物は後にして、お茶でも淹れましょうか。君は座ってて下さい。私がやります。」

 「いえ、そんな・・。」

 「無理をしてはいけないと医者に言われたでしょう。とにかく身体を休めて。心も平穏を取り戻した状態じゃないと、折角のきっかけがあっても記憶が取り戻せませんよ。さ、座って待っていて下さい。」

 「はい・・・。」

 確かに、退院時に医師にそう指導された。
 
 一時的な物だと思われる為、近いうちに記憶は戻ると思うが、精神的にフラットな、ストレスを出来るだけ取り除いた状態の時に何かきっかけがあれば、回復は早まると思われると。逆に刺激を与えるのも治療の選択にないわけではないが、本当に短い期間の記憶のようなので、日常生活に支障も無いし、そこまでしない方がいいのではないかと。

 トキヤの用意してくれたお茶に口をつけながら、春歌は切り出した。

 「あの・・・一ノ瀬さん。」

 「なんですか。」

 「その、私たちは、どうしておつきあいを始めたんでしょうか・・・。一ノ瀬さんはこの前、付き合い始めた頃からの記憶が無くなってるって私に言ってました。それはいつ頃なんですか? 私は、いつからの記憶が無いんですか?」

 「・・・私と一緒に出掛けたりした事は、覚えていますか。まだ、ハッキリとそういう関係になっていない時に。」

 「一ノ瀬さんと出かけた・・・。」

 「ええ。」

 春歌は少し考える。
 
 覚えはある。
 友として、曲作りのインスピレーションを求めて一緒にレンタルショップへ出掛けて、DVDを借りて帰ってきた記憶。撮影を見学していたら、急な待ち時間が出来てしまったからと、テレビ局内のカフェで一緒にお茶を飲んだ記憶。仲間同士で、誕生日会をしようと盛り上がったら買い出し係になったので、2人で買い物袋を提げて談笑しながら歩いた記憶。

 どれも友達として出掛けた記憶だ。それは間違いない。あの時の自分達の間に、特別な関係性はなかった。

 思い出された事柄を、春歌はゆっくり、思い出した順番通りにトキヤに告げていった。

 「誕生日会の時、実際にお店に行って買い物をしたら想像以上の荷物になってしまって、こんなにたくさんの量を持って帰るのは、2人じゃ無理すぎるって話になったんですよね。それで一ノ瀬さんがちょっと機嫌が悪くなっちゃって・・・。そしたら翔くんからメールが入って、手伝いを向かわせたって言うから、誰が来てくれるのかなーって途中で待ってて・・・。」

 トキヤは黙って聞いていた。

 「・・・それから、音也くんが・・・。」

 春歌がそう呟いた時、ぴくりとトキヤの肩が揺れ気がした。

 「・・・?」

 だがトキヤは、もう一度見た時にはいつものトキヤだった。

 「どうしました・・・私の顔に何かついていますか。」

 「あ、いえ、今、一ノ瀬さんが、なんとなくビックリしたみたいに見えて・・・。あ、そう言えば。」

 春歌はカップをソーサーに戻して言った。

 「そう言えば、音也くんはどうしたんですか。音也くん、お見舞いに来てくれて、ないです、よね・・・?」

 今度は明らかに目を逸らしたトキヤが、話題を変えた。

 「忘れていました、今朝、四ノ宮さんから退院祝いにケーキを頂いていたんです。ああ、安心して下さい。頂いた立場で失礼な言い草ですが、お店で買って下さったそうですから大丈夫ですよ。切ってきます。」

 トキヤはさっさとキッチンへ行ってしまい、春歌はそれを見送るしかなかった。
 ほどなくして、皿に乗せたケーキをトキヤが春歌に差し出した。それは、春歌が大好きだと公言している店のケーキで、ホール売りしかしていない、そこそこ値の張る商品だった。

 「わぁ・・・これ・・・!」

 思わず頬の緩んだ春歌が感嘆の声をあげた。
 それが嬉しいのか、トキヤも笑顔になる。

 「持ってきてくれたのは四ノ宮さんですが、渋谷さんや翔、聖川さんやレンも、皆が少しずつお金を出し合って買って下さったそうですよ。どうしても四ノ宮さん以外、今日は都合が悪いらしく・・・四ノ宮さんも、私にこれを渡して急いで仕事に向かっていました。また皆の都合がつく時に、退院祝いのパーティをしたいと言ってくれてました。」

 「そうなんですね・・・嬉しいです。」
 
 「さ、折角頂いたのですから、食べて。次に皆さんに会った時に、感想と御礼を言ってあげないと。」

 トキヤに促され、ケーキを食べる。
 久しぶりに食べた甘いものが、気持ちをほわりとさせる。

 美味しさのあまりさっと平らげて、紅茶を飲む春歌を見て、トキヤが目を細める。

 「・・・可愛いですね。」

 「はい?」

 「可愛いです、とても。そうやってケーキを嬉しそうに食べたりする君は、本当に可愛い・・・。」

 トキヤのストレートな物言いに、春歌は赤くなって俯いた。
 俯いた目に、トキヤの手の気配が映った。

 「!?」

 頬に手を添えられ、春歌は固まった。
 
 「・・・顔を、上げて。このままでは、キスが出来ない。」

 「!」

 キス。
 誰と誰が。

 (私と、一ノ瀬さんが!?)

 突然のトキヤの濡れた仕草に混乱した頭が、身体の動きを止めている。どうしていいかわからない。大体自分は、トキヤとキスなどする間柄なのか? 本当に?

 でもならば、医師に問いかけられる度に脳裏を過ったあの口づけは誰と?

 「ぁ・・・や、ぁっ・・・!」

 がしゃん! 
 
 ソーサーが振動で揺れて、上に乗ったカップに当たり派手な音を立てた。 
 
 しん、と、部屋が静まり返る。
 咄嗟に拒否した事を少しだけ後悔した春歌が次に見た物は、トキヤの傷ついたような、泣きそうな表情だった。

 「あ、あの、ごめ・・・なさ。」

 「いえ。」

 謝ろうとした春歌の言葉を、トキヤが遮る。
 彼は額に手を当てて長い溜息をついた。

 「・・・すみません。まだ記憶の戻らない君にこんな事をするなんて・・・。こんなあからさまに拒絶されたなんて、今までありませんでしたから・・・ふふっ。」

 小さな笑いに、春歌の胸が痛む。
 恋人だった記憶は無くても、友達だった記憶は持っているのだ。友達を傷つけた自分の振る舞いに辛くなった。

 「意外とショックですね・・・。記憶が無い無いと医者から繰り返し聞かされていても、どこか信じられなかったのに、こんな事でこうもあっさり実感するなんて・・・。」

 「ごめんなさい・・・。」

 「謝る必要はありません。君は記憶が無いのですから。付き合っているという認識を持てない男にキスをされそうになって逃げるなど、当たり前です。」

 零れたお茶を片付け、それから少しだけ今後の予定を話すと、トキヤは帰って行った。
 
 




 春歌は荷物を片付けるのも後回しにして、寝室のベッドへ倒れ込んだ。

 一体自分はどうなるのだろうという不安は勿論あった。
 しかし、そんな大した事態ではないという思いも少なからずあった。

 仕事に支障が無いし、人間関係も、トキヤと恋人同士だった件が真実かどうかは別として、友達だった相手も、仕事関係の人物も、全員記憶がきちんとある。これからの生活に特に支障があるとは思えなかった。

 問題があるとすれば、トキヤと恋人同士だったという点だ。全く覚えて無い為、かつての恋人を傷つけているとしたらそれは居た堪れない。

 それでもまた一緒に出掛けたりしていれば、一度好きになったのだからすぐにもう一度、そういう気持ちを持てるようになるかもしれない。なにより医者が、短期間の記憶が欠けているだけだから、すぐ取り戻せるだろうと言っていた。そうであればそれでいい。

 だが、そうでなくてもあまり困らないような気がした。

 「一ノ瀬さん・・・。」

 友達だった頃も、それなりにトキヤに惹かれていたのは確かだ。それはきちんと覚えがあった。さっきのキスを拒絶したのも、別にトキヤが言ったような単純な理由だけでは無い。ずっと甲斐甲斐しく病院で世話をしてくれていたトキヤが、急に男の貌をしたのが怖くなっただけだ。

 病院に居る間、それこそ眠り続けで、起きていても頭がぼんやりしていた。そのせいで、色んな疑問も後回しにしてしまっていた自分の愚かさは否めない。その分は取り戻さなければ。時間が経てば経つ程、多分正確に思い出すのが難しくなってくる。自宅へ戻ってきて、やっと思考もクリアになってきた気がするから、本腰を入れて思い出すべきだと、春歌は唇をきゅっと結んだ。

 ふと、春歌は思い付いた。
 がさごそとバッグを探り、携帯電話と手帳を取り出した。

 トキヤと恋人というからには、そのようなメールが、そして手帳にも何かしらその痕跡が残っているのではないだろうか。それを見れば早いのではないかと思い付いたのだ。

 だが。
 携帯電話にはメールの送受信履歴はおろか、通話の履歴すらも、一切残っていなかった。

 「・・・どういうこと・・・? 私が、自分で消したの・・・?」
 
 何気なく、ネットに繋ぐ。
 そしてまた何気なく、前回終了した画面に繋ぎますか? という指示に指で触れた。そして現れた画面に、春歌は一瞬ぐっと、息を詰めた。

 「・・・地図・・・。」

 これが例の山か。春歌は確信した。

 地図をわざわざ確認しているなら、自分はこの山には詳しくなかったという事かと思う。山に登った記憶云々の前に、この山自体に一度も行った覚えが無いと不安だったが、その記憶はどうやらそのままでいいようだ。生まれて一度も行った事のない山の事など知らなくて当たり前だ。

 しかし。
 地図を検索したのだ。やはり、自分がこの山に何らかの用事があったに違いない。
 
 春歌は携帯電話を傍に置き、次に手帳を開いた。
 パラパラと捲ると、色々な書き込みがしてあった。
 
 「・・・書いてはあるけど・・・。」

 幾つか、日にち欄に時間が書き込んであった。行先も書いてある。Tホテルラウンジ。事務所会議室。Yテレビ局喫茶コーナー。
 ほとんどに覚えがあった。大体が、仕事の予定だ。ぱらぱらっと適当に捲り、そして、もう一度今度は1枚1枚、丁寧にページを捲った。

 「あれ?」

 スケジュール欄の後ろ、罫線だけが引いてあるメモ欄のページに、数字が並んでいるのが目に入った。ページの端に斜めに走り書きされたそれは、割と急いで書き留めた、という風にも見えた。

 何の数字だろう。思い当たらない。0から始まるとはいえ、次に80、若しくは90に繋がらず、10桁しかないそれは、誰かの携帯電話番号というわけでは無さそうだった。首を傾げながら、またページを捲り始める。

 アドレス帳。慶弔時のマナー集。緊急・災害時の各種電話番号一覧表。必要なさげな付録的なページを捲って行く。
 地下鉄の路線図が書いてあるページに、また走り書きがあった。

 5/20 18:12

 自分の字だ。

 「日付・・・?」

 18時12分という意味だろうか。
 待ち合わせの時間にしては、妙に中途半端だ。

 「確か、一ノ瀬さんが病院へ運んでくれたのは、20日の深夜・・・。日付は変わってるわけだから、21日になるんだ・・・。」

 今朝の看護師の言葉を思い出す。
 あの看護師は、21日から入院していたと言った。病院へ到着したのが深夜2時頃だったのは看護士や医師など周りから聞いていた。だとしたら、この記入された時間に山へ向かったのか。誰かと? 何のために? 大体、どうして山などに? 

 
 「・・・一体、何がどうなってるんだろう・・・。」

 ベッドから窓の外を見遣る。

 もしかしたら、自分の考えは少し楽天的過ぎたかもしれない。記憶などすぐに取り戻せるなどと呑気に構えていたら、ダメなのかもしれない。このままでは、大事な何かを喪失したままになるかもしれないと、春歌は携帯電話を握り締めて想った。

 もう一度手帳を見る。
 5月20日。18時12分。

 はっきりとした理由はないが、これは、失くした記憶に繋がる鍵のような気がした。
 
 携帯の履歴は意図的に消されているような気配がする。手帳は何故か無事だった。携帯電話には何か重要な情報でもあったのだろうか。でもだとしたら誰が、どうして削除などを。こんな不自然ですぐに疑われるような行動をしてまで消したものは、何?

 出口まで途方もない迷路に入り込んだようだった。自分はただ、何の変哲もない作曲の毎日を送っていただけの筈なのに。
 
 既に暗くなりかけていた空の色はそのまま、自分の掴めない空白の時間のようだった。

 

 

 






 
   次回第3話は、10月3日頃更新予定ですが、いつもより少し遅れるかもしれません・・・すいません。
   











 

pastiche 第3話

 



 pastiche
  第3話

 


 

 
 その日春歌は、映画館に連れられて来ていた。
 トキヤがチケットを取って誘ってくれた。目立った人気作品でも無いせいか、平日午後の映画館に大した混雑はなく、人もまばらな客席の後ろの方へ座った。トキヤは目深に帽子を被り、眼鏡を掛けて変装していた。

 

 「この映画、見たことあります・・・。」

 誘われた時、チケットを見せられた春歌がそう言葉にすると、トキヤは嬉しそうだった。

 「これは、君と一緒に見た映画です。覚えていてくれましたか。」

 「あ・・・いえ、見た覚えはあるんですけど・・・。」

 胸が痛い。
 どうしてだろう。こんなにも相手に申し訳ないという気持ちになるのは、やはり彼が恋人だった事を心のどこかで覚えているからなのだろうか。

 それとも、単に人として人を傷つけるのが無条件に辛いという人間愛的なものなのだろうか。

 それでもトキヤは、俯く春歌の頭をそっと撫で

 「構いませんよ。見たことを覚えていてくれただけでも気持ちが違います。もう一度見たら、また何か思い出すかもしれないと思いまして。もうすぐ上映が終わってしまうそうなので、午後からでも。」

 そう言われて、映画館までやってきた。

 「やっぱり見ました、これ。」

 上映開始直後、春歌は小声でトキヤに告げた。
 耳に口を寄せ、真顔でそう自分に囁いた春歌の手を、トキヤがきゅっと握った。明らかに春歌の身体が驚きで揺れても、トキヤは手を離さなかった。

 「耳元で囁いたりするからですよ・・・手を握るくらい、許して下さい。」

 暗闇でもわかるほど顔を近づけられ、悪戯っぽい笑みでそう言われて、春歌はこくりと頷いた。
 決して、強請られたからだけではなかった。トキヤにある種の好意を抱いていた記憶は微かながらあるのだから。

 映画を見た後、トキヤが一緒に夕食をと誘った。
 
 「じゃあ、私が御礼に作ります。台所をお借りしてもいいですか。」

 春歌の申し出を、トキヤは歓迎してくれた。帰り道、2人一緒に買い物をした。
 
 立ち寄ったスーパーで、野菜を品定めしながら、春歌が何気なく呟く。

 「一ノ瀬さんって、確かあの映画の原作書いた人の作品の中では、「つばさの丘」 がお好きなんですよね。」

 「え・・・。」

 「あれ? 違いましたか。確かそうおっしゃってたんですけど・・・。」

 右手と左手に種類の違うトマトを持ちながら、春歌は適当にぶつぶつ呟き続けていたが、トキヤがそれを両方取り上げて陳列棚に戻した。

 「あ、トマトまだどっちにするか・・・。」

 「君、それ、今思い出したんですか。」

 「はい?」

 トキヤは心なしか早口だ。

 「私が好きだという本のタイトルの話ですよ。それは私が、付き合い出してから君に話したんです。」

 「えっ。」

 スーパーマーケットの真ん中で、2人で見詰め合う。トキヤが提げた買い物カゴの中は空のまま、冷気の届く野菜コーナーの前で。
 そしてどちらからともなく、微笑んだ。

 「すみません、こんな場所でつい・・・思い出してくれたのが嬉しくて、何だか、言葉がうまく出てきません・・・。」

 「あ、はい。私も、なんだかビックリしています。今、全然意識していないのに言葉が自然にぱーっと出てきて・・・。なんだか嬉しい、です。」

 嬉しい。
 心からそう感じた。

 山中から助け出してくれた恩人。そして、ずっと病室で付き添ってくれていた相手。そのトキヤが、彼の言う通り自分の恋人だという話が一気に現実味を帯びた。

 雲をつかむような道のりかと思われていたが、すっと大きな成果を手に入れた気がした。無意識のうちの台詞だったのも大きい。無意識に口をついた言葉は、本当の記憶だと思えるから。


 先程棚に戻されたトマトをもう一度手に取りながら、春歌は何気なく聞いた。

 「あの、どちらから言ったんですか。」

 「何をです。」

 「ですから、その・・・どっちが先に好きって言ったのかなって。」

 照れくささで手早くトマトをカゴに入れ、別の野菜を品定めするふりをしてトキヤの返事を待つ。少し浮かれて下らない事を聞いたかもしれないと思い、トキヤの顔がまともに見られなかった。

 トキヤが春歌に近付き、後ろから耳元で囁いた。

 「私から・・・でしょうか。でも、言葉より先にキスをしました。君を抱きしめて、キスをしたのが始まりです。」

 「・・・っ。」

 耳にかかる吐息に、身体が強張る。数日前にキスをされそうになった時の、トキヤのあの男の香りが一気に自分を絡め取った気がして、春歌は思わず歯に力を入れた。

 「どうしました。君は耳が弱かったから、私の息がかかっただけで、こんなひんやりとしたショーケースの前なのに体温が上がってしまいましたか。」

 誘うような声音。
 春歌は心の中でぶんぶんと頭を振って大きく一歩横にずれた。

 「おや。」

 「い、一ノ瀬さん、心臓に悪いです。」

 真っ赤になった春歌を見て、トキヤは軽く吹き出す。

 「どうして笑うんですか。ひどいです、からかったりして。」

 「からかったりしていませんよ。可愛いですね、まったく。」

 「なんですかそれ!」

 一気に縮まった距離を確信はしたが、春歌はやはりまだ踏み込めないでいた。
 まだ、たった一つだ。たった一つ、大きな鍵を探し出せたにすぎない。買い物を終えて食事を一緒に楽しく作り、後片付けまでその楽しさが続いた。

 
 
 夕飯後に談笑していて、ふと会話が途切れた。
 春歌は、思い切って切り出した。

 「あの。」

 心臓の音が大きくなる。なぜだろう。でも、聞かなければ。あの時途切れてしまった続きを。

 「音也くんは、今お忙しいんですか。」

 トキヤの顔色が変わったのを見た春歌は、やはりこの前のトキヤの離席はわざとだったのだと確信した。

 「・・・何故です。」

 トキヤの低い声が響く。
 顔色だけでなく、彼が纏う雰囲気まで一変したのに気付いた春歌が怯む。

 「そ、その・・・音也くんだけ、お見舞いに来てなかったのが、やっぱり何となく気になって。前にお聞きした時は、ケーキで話が途切れてしまいましたから。どこかへロケにでも行ってる、とかでしょうか・・・?」

 「知りませんよ。」

 「は?」

 ふて腐れてるともいえる口調は、およそ普段の彼に似つかわしくない。
 春歌はどうしてそんな態度を取られるのか見当もつかない。

 「知りません。君も、そんな事は考えなくていい。」

 「え、知りませんって、どういう、お休み中・・・とか?」

 「だからっ! 君が気にする必要はないと言ってるんです!」

 トキヤの大声で、春歌の肩が揺れた。
 時間が止まる。トキヤの怒声は流れる空気まで凍らせたかの如く響き渡った。

 「・・・すみません。つい・・・。しかし、君は余分なことは極力考えないで下さい。失くした記憶のうち、私とのことだけを思い出してくれればいいんです。」

 「えっ・・・それ、って。」

 それはどういう意味だ。
 失くしているのは、トキヤと恋人同士だったという部分だけではないのか。音也の話を出す度に明らかに態度がおかしくなるトキヤは何を隠しているのだ。

 春歌はそう問いたくとも問えない。
 あれだけの激しい感情を見せられてすぐ、そんな質問は出来なかった。

 

 長い沈黙の後、トキヤが溜息を吐いた。

 「・・・聞きたいなら、月宮先生に聞くといいでしょう。」

 トキヤが、唐突に言った。

 「月宮先生に? どうしてですか?」

 「日向さんでも構いませんが、月宮先生の方が多分、事務所で掴まえ易いというだけです。」

 「どういう・・・。一ノ瀬さんはどうして教えてくれないんですか。というか、一ノ瀬さんは音也くんが今どこに居るのか、本当に知らないんですか。」

 「知りませんよ。・・・知りません。音也がどこに居るかなど、私はまったく知らない。」

 そう言いながら、トキヤが春歌を抱きしめた。

 「あっ。」

 「どうして私の事だけを考えてくれないんです。」

 切羽詰まった声でトキヤが訴える。

 「私は君さえ居ればいい。君は・・・君はそうじゃないんですか。どうして・・・っ!」

 「!」

 逃げる暇が無かった。
 元々しっかりと腕の中に抱えられてしまっていたので、身動きが取れなかった。

 「いちのせさ」

 「やっぱり待てません。」

 なにを、と問い返す声は空気に載らなかった。
 強引に唇を塞がれ、骨が軋む程に強く強く腕に仕舞いこまれたせいだった。

 トキヤの舌が口の中の粘膜あらゆる箇所をなぞりくすぐっていく。舌を取られると余計に頭の芯が痺れ、そして吸われる痛みに指先がぴくりと反応した。荒っぽく、それでいて粘着質に絡むその舌は、一向に春歌の口を犯すのを止める気配が無い。

 「やっ・・・。」
 
 唇が一瞬離れた隙に息を吸うも、また塞がれる。大体その僅かな瞬間も、舌はトキヤに捕まったままだ。熱くて劣情が匂い立つようなそのキスは、あっという間に春歌の足腰から力を吸い取っていく。崩れそうな身体はトキヤがしっかりと抱いてくれている。

 「ぁふ・・・。」

 前後も不覚になりながら、解放された安堵で声を洩らす。
 太股から脇腹まで撫であげられて、思わずトキヤにしがみついた。トキヤの唇は既に春歌の耳や首筋を這い、行為はどんどん大胆になっていく。

 とん。と、身体を小突かれ、後ろにあったソファに座らされた。
 わけが判らず自分を見上げる春歌をの肩を掴み、トキヤは自分も片膝をソファに乗せ、腰のベルトを外した。トキヤの下腹部が目の前に来る。それが意味する続きを察して春歌は息を飲み、身を捩って無言の抵抗を見せた。

 「いつもしてくれたじゃないですか。ほら、目を逸らさないで。君の唇のせいでこんなになったんですよ。」

 「ちが・・・そんな・・・。」

 必死で俯く。直視出来ない。トキヤが取り出したそそり立つモノを唇の端にぐいっと押し付けられ、身体が震えた。横を向こうにも、トキヤに上から頭を抑えつけられ既に遅かった。

 つるりとした先端で唇を撫でられる。熱くて、柔らかい弾力を持つ先端。そのすぐ先は凶器に近い固さだ。それを知ってる肌の細胞が歓喜するのか、自分の奥をきゅっと収縮させた。今逆らってもどうにもならない。観念して、春歌は震える唇を開いた。

 「もっと口を開けて。それでは入りきらないでしょう。」

 「ぅ・・・。」

 もっと口を開けたところで入り切るものではない。なのにトキヤは意地悪く押し込み、春歌ももう両手をソファについたまま、されるがままに座っていた。

 「久しぶりだから、嬉しいですか。よくしてもらいましたから、やはり覚えてるんでしょうかね。上手です。」

 自分はしょっちゅう、こんなことをしていたのか。
 トキヤの言葉を反芻して、頭の隅の一部冷静な端が考える。

 微量な電流が身体を走る。思い出そうとする度に脳裏にちらつく情事の相手は、やはりトキヤなのか。だとしたらこの電流は、恋人に濡れる反応そのものなのだろうか。

 今だって、嫌悪感の類はおよそ感じない。
 
 怖いという気持ちはある。だが、トキヤが相手であるそれ自体に嫌悪感は感じない。トキヤに何かされる度にゾクゾクと感じる何かは、決して恐怖だけが生み出すものではない。そこに同時にある僅かな何かは確かに悦びで、そのせいでトキヤの言葉に従ってしまうのだと解る。だがしかし、それをトキヤと恋人同士だったからという結論に結び付けてしまっていいのか。単に女として、男の熱に本能で応えてしまってるだけなのではないか。

 膣に異物を挿入されれば、苦痛を和らげる為に潤滑油を自ら溢れ出させるように。
 この口だって、今トキヤに無理に押し込まれている辛さを緩和する為に、体としての機能が感覚を麻痺させているのかもしれない。

 ぼんやりと考える。

 悩む。
 
 わからなくて、頭の中がこんがらがる。それを見透かされたのか、トキヤがぐいっと頭を抑え、より奥へ自分のものを押し込んだ。

 「今日はこっちだけで許してあげましょう。でも、全部飲んで下さいね。」

 「ぅぐ・・・っ。」

 トキヤの静かな絶頂が、口の中一杯に拡がった。
 気持ちの重なっていない行為の哀しさに、涙が出そうになる。

 どうしてこんな事になってしまったのだろう。少し前まで、幸せな気持ちすらしていたのに。どうして。

 (ああ、私が、音也くんの事なんか聞いてしまったから・・・。)

 飲み込むのも簡単ではない粘度の高いトキヤの体液が、喉にへばりつく。
 息を整えながら満足そうなトキヤの手に髪を梳かれる。その手の心地良さに揺られつつ、林檎の元へ話を聴きに行かなければと、春歌は冷めた頭で考えていた。










     To Be Continued・・・




 
    次回第4話は10/7頃に更新予定です。




 

 


 

pastiche 第4話

 




 
 pastiche
  第4話



 

 



  「え?」

 林檎は笑顔のままだったが、明らかに身構えた。
 トキヤと異なってはいても同じような反応は、春歌を慎重にさせるのに充分だった。

 「ね、ねえ春ちゃん。春ちゃんは今、余計な心配とかは良くないんでしょう? 明日は一週間ぶりの、しかも新しい病院で初めての診察なんだから、関係ない話を聞いて気持ちを乱して行かない方がいいわよ。」

 「気持ちが乱れるような話なんですか。」

 「・・・そんなことは無いわ。」

 林檎がにっこり笑う。
 
 それがわざとらしくて、春歌は林檎が隠し切るつもりでもないのだと推測した。もし本当に何かがあって、それをどうあっても隠しておきたいなら、こんなに態度には出さない筈だと。ばれてしまっても仕方ない、若しくはばれた方が良い位と思っているからこその態度だと。だから春歌は強気で押した。

 「じゃあ、聞かせて下さい。」

 待ち合わせをした喫茶店は、事務所からあまり遠くない。
 
 全体の2割程の席が仕切りで区切られていた。完全な個室にはならないが、隣の席の人間の顔は着席中は勿論、席を立っても覗き込まなければよく見えないし、余程大声で話さない限り、会話は聞きとれない距離があった。

 仕切りの役をする壁に、ガラス細工が施してある。
 そこに映る自分の顔が、歪んだモザイクのようだ。

 運ばれてきたアイスティーの氷をストローでつついて、林檎は溜息を吐いた。

 「・・・先に聞いていいかしら。」

 「はい、どうぞ。」

 「春ちゃんは、どうしてあんな遠くの山へ行ったの? やっぱり、トキヤちゃんとお付き合いをしていたからなの?」

 林檎の質問に、春歌は首を傾げる。

 「どうしてあの山に出掛けたら、一ノ瀬さんとおつきあいをしてるってなるんですか。」

 林檎はカラカラと氷を回す。
 春歌の目の前の林檎のグラスは、所々不規則に窪ませたデザインで、壁のガラス細工に映るのと似た、歪んだ顔が見えた。

 「・・・何をどれから話したらいいのかしら・・・。」

 カラン。と、氷が音を立てる。

 「本当はお医者さんに、記憶が無い部分の事をあまり言わないようにって言われてるのよ。今からアタシが話すのは、あくまでアタシの主観というか、アタシが、人に聞いた話から想像しただけっていうか・・・。春ちゃんが、自分の見た物ではない記憶を信じ込んで、本当の記憶を思い出すのに邪魔になるといけないって言われてるから、だから、それは気をつけてほしいの。」

 春歌は頷いた。

 「林檎先生からお話を聞いても、それを全部鵜呑みにしなければいいんですよね。大丈夫です。お願いです。教えて下さい。何でもいいんです。だって一ノ瀬さんは、先生から聞け、って。日向さんでもいいけど、林檎先生の方が掴まえやすいって。」

 「それ、アタシの方が仕事が無いってこと~? ま、事務仕事は龍也がしてるから反論出来ないわねえ・・。」

 林檎の言う通り、実際、龍也は多忙すぎて掴まえられなかった。諦めて今日は帰ろうかと出口へ向かおうとした時、鼻歌を唄いながら廊下を歩いていた林檎を見つけて声をかけた。林檎は一瞬驚いた顔をしたが、少しの時間ならと応じてくれたのだった。
 
 立場上、龍也より林檎の方が厄介な肩書きが無いだけ、自由な時間があるというだけなのだが、話をしてくれるならどちらでも良かった。春歌はとにかく、トキヤ以外の人間から、自分とトキヤの関係性の手がかりも音也の情報も、貰いたかった。

 「・・・。」


 林檎はもう一度溜息をついた。
 そして、ゆっくりと話し出す。

 「少なくともアタシは、春ちゃんとトキヤちゃんは男女のおつきあいをしてるんだと思ってたわ。別にこれと言って決定的な瞬間を見たとかじゃないけど。でも、他の子もそう思ってたんじゃないかしら・・・。まーでも、ハッキリあなた達から聞いたわけじゃ無いから絶対とは言えないけど。ハッキリさせたらクビだしね。」

 春歌は、トキヤから恋人だったと言われた件は伏せていた。事務所が恋愛禁止なのはしっかり記憶があったし、そもそも本当に恋人かどうか、自分にとってまだ不明確な情報を流すのは良くない気がした。

 単純に、音也が見舞いに来なかったから気になったので、入院中世話をしてくれたトキヤに、音也はどうしたのかと尋ねたら、自分は知らない。詳細は林檎に聞けと言われたから来た。とだけ告げていた。トキヤの激昂も伝えていなかった。

 林檎は、目を伏せながら話はじめた。

 「あの日、トキヤちゃんとおとくんは、自然と触れ合うテーマでロケに出掛けていたの。来月、トーキョーTVのゴールデンタイムに放送される特番でね。旅番組としては豪華なタレントさんが結構出るのよ。それぞれ色んな自然豊かな場所へ行くの。で、つばさ山の傍にある河原でのバーベキュー担当に、ウチの2人が抜擢されたの。」

 林檎は続ける。

 「つばさ山は、あなたが発見された羽山から少し離れた山でね。自然豊かというより、完全に人の手が入ってない山よ。羽山とは比べ物にならないくらい大きいし。登ってすぐくらいまでは道らしいものもあるらしいけど、無理に登って行くと崖みたいな場所ばっかりらしいわ。自殺の名所って噂もあるしね。」

 「噂・・・。」

 名所でありながら、それが噂とは不思議だ。その名にふさわしいという事実が確認出来るからこそ、名所と呼ばれるようになるのではないのか。

 それを林檎が心得たように説明する。

 「山が深くて、崖があって、人の手が入ってなくて昼でも暗いらしいわ。当然、夜も真っ暗・・・。雰囲気的には、自殺の名所と噂されるにバッチリな所よ。で、昔、山の入り口で首吊り自殺があってニュースになった事があるの。それから、興味本位で入って行方が判らなくなった人が何人か居るって噂が広まったの。迷った末に崖から落ちたんじゃないかとかって・・・。色々噂がたくさんある山なのよ。お化けが出るとかね。」

 なんとはなしに、真っ暗な森をイメージする。よくもそんな場所でバーベキューをしている番組を作ろうなどと思ったものだと、多少の嫌悪を覚えた。
 
 「そう聞くと、なんでそんな場所でってなるじゃない。」

 林檎が、春歌の気持ちを酌んだかのようなタイミングで話を続ける。

 「自殺の名所とは言われてるけど、それはアクマで噂だし、死んでるとしても山の奥の方の事よ。今回ロケをしたのは山に入る手前っていうか、山自体には入ってないの。あそこの入り口辺りはとても神秘的で、今の時期は花が一杯咲いて綺麗なのよ。富士山だってそうじゃない? 樹海はあるけど、別にその周りは平気でしょ。そんな感じよ。そこで、自然に感謝しながら火を起こして物を食べるっていうのがメインテーマだったの。」

 春歌はオレンジジュースを注文していた。
 林檎が話を始めてくれるまでにもそれなりに時間が経っていて、飲んでみると、上の方はすっかり味が薄まっていた。

 「撮影は順調に終わったらしいわ。あの撮影が終わったら、それから2人は1週間オフだった。撮影が終わったって連絡を2人とも、ちゃんとしてきたわ。それぞれ別に連絡してきたけど、2人とも、オフになるからこのまま遊びに行くって言ってた・・・でも。」

 林檎は額を抑えた。

 「その夜よ。トキヤちゃんから、貴女を病院に運んだって一報が入ったのは。」

 林檎の声は重かった。

 「龍也も私も、急いで病院に駆け付けた。目が覚めないって聞かされて、血の気が引いたわ。腕の怪我も結構ひどいっぽかったし・・・。でもその後、無事に目覚めてくれて本当に良かった。命に別条が無いって診断だけはおりたから、トキヤちゃんに任せて先に東京へ帰ったけど、記憶が無いって言われた時はどうしようかと思った・・。みんなも、本当に心配したのよ。」

 「ごめんなさい。あの時、みんなあんな遠くまで来てくれて・・・。」

 退院する時にやっと、そこが東京の病院ではないと気付いた春歌は、友達が見舞いに何時間かけてきてくれたのか、その時になって思い知ったのだ。自分は危篤だくらいに言われていたのだろうと察した。申し訳ない気持ちだった。

 「ああいいの、それはいいのよ。みんな貴女の事を、それだけ好きってだけの話なんだもの。・・・それでね、アタシは、トキヤちゃんが今から遊びに行くって言っててあんな事になったから、てっきり貴女と一緒に羽山へ登って、それではぐれて、あんな目に遭っちゃったのかと思ったの。」

 「はあ・・・。」

 「自殺の名所のつばさ山ほどじゃないにしろ、羽山だって何にも無い山よ。恋人同士でハイキングに出掛けるような山じゃないわ。だから、そんなトコに何しに行ったのかって疑問はあるんだけど、実際春ちゃんはそこで倒れてたんだし・・・。だから、アタシはトキヤちゃんと一緒に登ったと思ってるわけよ。」

 林檎がストローで勢いよく飲み物を流し込んだ。

 「それにトキヤちゃんとお付き合いをしてないなら、わざわざ春ちゃんが東京からあんな場所まで行かないじゃない? 彼氏の仕事が終わるのに合わせて、オフを一緒に過ごすために会いに行ったと思うのが自然だわ。でも・・・貴女の記憶が無い以上、本当の事はわかんない。・・・それに・・・。」

 林檎が少し言い淀んだ。
 春歌は目で、言って下さいと訴えた。

 「それとね・・・。これ、ほんと、これこそ勝手な憶測だからこれが正しいとか、絶対そういう風に想わないでほしいんだけど。」

 林檎はしつこく前置きをして、やっと言った。

 「あのね、春ちゃんは実は、おとくんとお付き合いしていたって話もあって・・・。」

 春歌の瞼が大きく動いた。
 林檎がまた、だからこれは噂だから、と慌てる。

 「だから、それだとトキヤちゃんと2人で山に行くのはおかしいかな、って・・・。そういうのもあって、アタシもちょっと自分の中で色々考えがまとまらないのよ・・・。」

 春歌はぽかんとしていた。
 林檎の言葉が上手く飲み込めない。

 音也とつきあっていた? なぜだ。どこからそんな話が。
 だとしたらトキヤのあの言葉は。

 「・・・春ちゃん、落ち着いてね。ほんと、別にアタシも人に聞いただけで、それが本当かどうかもわからないのよ。あくまで噂よ、これも。」

 林檎が必死にいなす。

 「例えば、まあこれも、ほんっと! 例え話なんだけどね、春ちゃんは最初おとくんと一緒に山へ行って、おとくんとはぐれて、電話が繋がる場所から電話でトキヤちゃんに助けを求めたのかなって。まあね、色々可能性としてはね、色々考えられるんだけど。どうしておとくんじゃなくてトキヤちゃんに電話するの? とか細かいことはね、色々おいといてね。」

 春歌は頷く仕草さえ、出来なかった。林檎自身も、説明しながら混乱しているようだった。

 病院や、家に戻って改めて聞かされた限りでは、トキヤは自分を、単に探しに来てくれた、という話になっている。
 
 だがそれは、トキヤが自己申告しているだけだ。もしかしたらトキヤが最初から一緒に居た可能性は否めない。だがそもそもが自分には、山に入った記憶が無いのだ。

 それでも、あんな遠くの土地まで行ったのは確かだ。自分の身体は、あの土地には間違いなく行っていた。山を降りた幹線道路で、救急車に乗せられたのは紛れもない事実なのだから。

 山での本当の同行者は誰なのか。そもそも同行者が居たのかすらも怪しい。

 「まー・・・その、ほんと、春ちゃんはトキヤちゃんともおとくんとも付き合ってなかったのかもしれないし、あの山にだって、もっと別の目的で行ったのかもしれないし。」

 明るく笑う林檎に向かって、春歌ははっとし、一番聞きたかった質問をした。

 「それで、その、音也くんは今どうしてるんですか。オフって言ってましたけど・・・。」

 林檎が黙る。
 嫌な予感がした。

 林檎が春歌を見据える。

 「春ちゃん、よくきいて。」

 林檎は泣きそうな顔をしていた。

 「これは他言無用よ。アタシは今から、シャイニング事務所のナンバー2・日向龍也の代わりとして、上司として話すわ。優しい林檎先生の話じゃないのよ。良く聞いて。この件についてはもう知ってる子も居るけど、でも知らない子の方が大勢居るわ。だから事務所の誰かにも絶対に言ってはだめよ。いいわね。」

 春歌がこくんと頷く。
 林檎はまだ迷っているようだったが、漸く重い口を開いた。

 「おとくんね、連絡が取れないの。携帯も繋がらないし、家にも帰って無くて・・・何処にいるか、わからないの。」

 「・・・えーと・・・オフだから、旅行とか、じゃなくて。」

 林檎が力なく首を振る。

 「オフはもう終わったわ。あの子もトキヤちゃんも、オフはあの日から1週間だったんですもの。」
 
 「単に独りになりたくて、携帯の電源を切ってるだけなんじゃないんですか。お仕事の開始の日付を間違えちゃってるんじゃ・・・。」

 林檎がまた首を横に振る。
 
 そうだ。
 トキヤはもう仕事を始めている。

 「仕事は始まってるわ。この間のはもうどうにもならなくて、急きょ、アタシが対応したわ。他の仕事も全部、請けた物は今、翔ちゃんやまあくんに振り分けてる。今請けた分だけで、それ以降の仕事は取って無いわ。」

 ざわざわと波立つ心臓が、いい方へいい方へ話を進めようと必死になった。必死に笑顔を作り、思い付く可能性を提示する。だが何を言っても、林檎の首が縦に振られる事は無かった。

 「あの子たちくらいの駆け出しタレントは、ウチの事務所では旅行の時は報告が義務付けられてるわ。でも、届は出て無いの。それにね、23日に翔ちゃん達がおとくんと遊ぶ約束をしてたの。だから、23日には彼は東京に帰って来るつもりだったのよ。でも、あなたが山で発見された夜から、ずっと連絡が取れないの。」

 林檎の静かな声が、春歌の中にこだまする。
 
 「音也くんが、行方不明って意味ですか・・・まさか・・・。」

 信じられない。といった顔をした春歌に、今度は林檎が質問を連ねた。

 「あの夜、一体何があったの? 貴女は記憶喪失になるし、おとくんは行方不明になるし、大体春ちゃんは何しにあんな時間に山になんて行ったの? 私たち、何もわからなくて、どうする事も出来無くて・・・。春ちゃん、早く思い出して。おとくんの失踪と貴女の記憶喪失は、もしかして関係があるの?」

 縋るような林檎の真剣な声が、春歌の中にこだまする。
 
 先程のまでの重い声と混じり反響した林檎のその必死さは、春歌の頭の中にある、何も描けない記憶のページをざりざりと引っ掻いて行く。

 何もわからないのは、自分も同じだ。

 春歌は林檎に返事も返せず、ガラス細工にうつる歪んだ自分の肌を、虚ろに見つめるしか出来なかった。







  

  
  To Be Continued・・・






 
  

  次回第5話は、10月15日頃更新予定です。
  なるべく3連休中に掲載できるように努力します。







 

 

 

 

pastiche 第5話

 



 

 pastiche
 第5話






 

 その日はトキヤが、夕方からずっと春歌の部屋に居た。
 林檎に会って話を聞いた翌日のことだ。
 
 午前中は病院で潰れてしまった。予約をしていても、総合病院はその意味がないほど待たされた。
 
 先に腕の傷を見る為に外科へ行った。そこからまた、記憶に関する診察を受ける為に別の棟まで歩いた。大勢の人が行き交う廊下を歩きながら、大分待ちそうだな・・と春歌は思った。

 案の定、大分待った。そしてそれだけ待っても診察は、10分足らずの問診を受けただけで終わった。腕の傷はほぼ治りかけている為、結局身体的な損傷は一切見られない。そうなるともう記憶喪失に関しての治療だけなので、医者が何が出来るというものもないのだろう。

 しかも、自分のようにたった一部だけの記憶がないというのは、精神的なショックが引き起こす一時的な症状で、重要視はされてない。そのような説明をうけたのもあり、春歌は窓口で次の予約を、仕事の都合が判らないので、次は待ってもいいから予約無しで来ます。と断った。

 家に戻ってただぼんやりしていた。
 やっと、ただ佇むだけから気を取り直し、曲でも作ろうとしたその時、玄関のチャイムが鳴ったのだった。

 
 先日の映画帰りにあんな目にあった気まずさは、何故かあまり無かった。
 訪ねてきたトキヤの顔を見た途端、あのソファでの口淫は当然思い出されたのだが、目の前の彼の疲れ切った顔色で打ち消された。

 昨日1日早朝から深夜まで撮影をし、挙句今日はまだ深夜の域を越えない未明からロケだったと説明したトキヤは、まさに倒れそうだった。部屋へ通した途端、シャワーを借りて春歌のベッドでぐっすりと眠るトキヤを見て、春歌は呆れながらもそのままにしておいた。

 それは母性に近かった。
 無償の慈愛は、赦しを産む。それは、女にだけ備わった特殊な感情なのだろうか。と春歌はチラリと思った。

 2時間もすると起きてきて、今度は次に出す予定の新曲の作詞をするというので、春歌も隣で曲を作っていた。

 時々トキヤが手を休めて、必死に楽譜を起こす春歌を見て微笑む。春歌もつられて笑った。少し経った頃、春歌が昨夜作ったシチューを温め直し、冷凍しておいた白飯をチキンライスにして、ドリアを作ってトキヤと共に食べて夕食とした。

 春歌がキッチンに入って少しすると、トキヤが様子を見に来た。
 玉ねぎを刻む音が終わるまで、トキヤは眩しそうに春歌の姿を見詰めながら隣に寄り添うように立っていて、春歌は恥ずかしさであがって指を切りそうになった。それでも、短い会話と笑顔を交わすその度、これが恋人同士としてのトキヤとの日常だったのだろうかと考えた。

 食事を終え、温かいお茶を淹れ直していると、トキヤが徐に聞いてきた。

 「体調は、どうです。もう元に戻りましたか。」

 「そうですね・・・あんなに眠かったのも嘘みたいですし、外には映画を見に出掛けたきりで出ていませんけど、気分が悪いとか、そういう事はないです。もう元に戻ったと思います。」

 「そうですか。」

 会話が切れ、無言の空間が広がる。だが2人でこうしていても、息苦しさは無い。
 
 自然と2人きりで居られるのは、やっぱり恋人同士だったからなのだろうかと、考えを巡らせる。ふと気付くと、トキヤが難しそうな顔をしていた。目があうとじっと見つめられ、そして、その視線を外しながら彼が言った。

 「今日、泊まってもいいですか。」

 「えっ!?」

 春歌は驚いて、思わず椅子から立ち上がりかけてしまう程だった。
 トキヤが苦笑する。

 「まあ、そういうリアクションでしょうね・・・。でも、すみません。私はもう悠長に待つのはやめようと思いまして。君の記憶が戻らなくても、私たちが愛し合っていた事実に変わりはない。だから、今まで通りにします。今まで通りの日々をまた過ごせば、失くした記憶などきっと些細なものになる。どのみち、私と過ごす日々の記憶しか、失くした中で取り戻す必要がある物は無いのですから。」

 まただ。
 トキヤの言い方が引っ掛かる。トキヤとの日々以外にも、何かがある筈なのに、彼はそれは取り戻す必要が無いと言っているのだ。

 しかしトキヤにとって、そんな春歌の戸惑いは取るに足らない用件らしい。
 トキヤは立ちあがり、春歌の手を取った。

 びくりと、春歌の肩が跳ね上がる。

 「寝室へ行きますよ。」

 「いえあの、あの。」

 急な展開についていけず、しどろもどろになる春歌の手を、トキヤはくいっと引っ張った。

 「来なさい、春歌。」

 「・・・っ。」

 反論出来ないその声に、春歌は取り敢えず立ち上がった。
 どうしてトキヤの声に逆らえないのだろう。自然と従ってしまうのはどうしてだろう。

 この前のように乱暴にされたら抵抗すればいい。ハッキリしないうちから体の関係を持つのは辛いと説明して、尚も無理強いをするような男ではないと、春歌はそういう部分ではトキヤを信用していた。友達としての記憶は確かなものだ。彼は真面目だ。そういう根底の安心感が、トキヤにすんなりついていってしまう理由なのだろうか。

 手を引かれ、寝室へ入りベッドへ促された。
 林檎から聞いた事を言おうか、それを言わずに自分の気持ちだけを言おうか一瞬迷ったその隙に、トキヤが春歌を抱きしめた。そして優しい声が、髪に降りた。

 「好きです。私は君さえ居ればいい。」

 身構えていた春歌は呆気に取られた。
 てっきりこの間のように、いきなり行為そのものを要求されるかもしれないと思ったのだ。

 言葉はあの時と同じだ。懇願するような声も。
 でも、雰囲気が全然違った。

 春歌の予想に反し、トキヤは優しく春歌の背を撫で、髪を梳き、触れるだけの柔らかいキスを頬や額に絶え間なく贈った。うっとりとした春歌の身体から力が抜けていく。

 「この前はすみません。乱暴な事をしました・・・反省しています。」

 春歌の首筋に顔を埋めたまま、トキヤがぽつりと言った。

 「私も、辛いのです・・・冷静になろうと思っても、どうして、という思いが抑えられずに・・・君をあんな目に遭わせてしまって、すみませんでした。」

 「一ノ瀬さん・・・。」

 「好きです。私は君だけを、ずっと、何があっても好きでいる。離さない。信じてほしい。だから何も考えず、私についてきてください。私は君を悲しませたりしない。絶対、守ってみせる。」

 ぎゅうっと抱きしめられ、そのまま口を吸われた。
 真剣な、圧倒されるような熱い愛の告白と共にされるキス。

 しかし荒々しさは微塵もなく、優しく、何度も何度も吸われた。また更に力が抜けていく自分の膝を、春歌はその時意識するでもなく、されるがままになってしまっていた。

 気付けばベッドに押し倒されていた。
 それすらすぐに気付かないほど、衝撃を感じずに倒されたのだった。

 凝固した貴重品を慎重に溶かしていく。トキヤの愛撫はまさにそういう丁寧さで進められた。

 いつ溶けるかはその時次第。だからこそ、その貴重品に対して愛情を持て無ければ根気が続かないやり方だ。トキヤは春歌の身体から完全に力が抜けるまで、声が甘い色のみで彩られるまで、優しいキスを上半身に繰り返した。肌を撫でる手も、壊れ物に触れる繊細さを欠く事が無かった。

 優しさと情欲が混在するバスタブ。
 温くて出るのが惜しい気さえする。

 すっかり息を乱した春歌の首筋に、尚もトキヤが掠めるようにキスを繰り返す。
 断らないといけないのに、言葉に出せない。トキヤの誘惑に負けてゆく。

 堕ちるというのは、これなのか。どうして抵抗出来ないのかも判らないまま、引き摺られて行くことなのか。

 「あ、一ノ瀬さん、あ、ん!」

 燻ぶる熱を産む愛撫が長く続き、春歌の下腹の奥はすっかり疼いていた。
 自分は知っている。この、優しいキスと、それによって引き起こされるこの疼きを知っていると思った。

 耳朶を指先でなぞりながら、反対側の耳元で、トキヤが囁く。

 「君はね、この辺りがとても弱いんです。耳や、首筋・・・。ここにキスをするだけで、いつもたくさん濡らして・・・。」

 言いながら、トキヤの指がスッと耳から脚の間に移った。
 迷いのないその指がショーツの中に入り込み、柔らかい肉を割ると、ぬるりとした感触と共に、自分の粘膜が腫れているのが判った。

 「やっ・・・!」

 「ああ、興奮しているんですね。君のいやらしい入口の周りが、もう熱くなってます。」

 「あん、あんっ。」

 指を出し入れされて、喘ぎ声しか出ない。気持ちが良くて、入れて貰えた事に喜ぶ肉がまた熱で腫れて、トキヤの指を逃すまいとしている。こんなにトキヤの指に反応している身体は、やはりトキヤに慣らされていたのだろうかと嫌でも思ってしまう。

 「ココを触ると、腰が跳ねるんですよ。」

 「ひぁっ!」

 敏感な部分を剥き出しにされたのが判った。そこを容赦なく指の腹で撫でられて、腰が跳ねた。

 「ほらね。とても可愛いんです、私の指でこんなに腰をくねらせる君が、とてもいやらしくて、私を誘ってるとしか思えない・・・。」

 言葉に熱が籠り、トキヤも興奮しているのがわかる。
 
 何に? 
 自分のこの、あられもない姿にか。

 そう思ったらまた、春歌の身体の中にかっと火がついた。唾液の温度も判断できないようなキスをされ、益々まともな思考が剥ぎ取られる。絶え間なく胸の天辺と花芽の、敏感すぎる両方を指で刺激され、トキヤの下で壊れた人形のように体中をひくつかせる。

 「挿れても、いいですか・・・。もう君も、出来あがってるようです。」

 「あ、ア・・・。」

 返事が出来ない。
 
 してしまったら、自分は恋人だと認めてしまう気がした。それでももういいとさえ思ってしまうこの快楽が怖い。トキヤの思いやりのある指が怖い。愛されてると実感してしまう。その愛が心地良いと思ってしまう。自分だってこの男に、それなりの好意は持っていた記憶がある。その相手とこんな風になって抗えと言う方が無理だ。もう過去などどうでもいいから、今この男と恋人として繋がりたいと思ってしまう。

 でも。
 だけど。

 それでいいのか、それで、記憶の無い状態で今だけを見て、いいのか。流されてはいけない。自分の恋人は、音也だったかもしれない可能性がある以上は。今この心地良さに負けてしまっていいのか。

 最後の疑問を必死の抵抗とし、

 「ダメ、です・・・。」

 と、春歌は声を振り絞った。

 トキヤはその言葉にキスを返し、そして春歌の耳を甘噛みしながら囁いた。

 「ダメ、とはどういう意味です。ああ、まだ準備が足りないという意味ですか。そんなに私に奉仕させて、嬉しいですか。」

 「ひああああ。」

 さっきより衝撃が重い。
 入れる指を増やされたのだが、重い衝撃が下腹を穿つ感触が、痛みに繋がらないのが恨めしい。自分の身体が男を知っているのが嫌というほどわかる。それはトキヤによってだったのか。それとも。

 指を出し入れしながら、また上半身にくまなくキスをされる。
 ゆるい快楽と抉るような衝撃的な快感に、春歌はもう自分の身体の節の境目がつかなくなってきていた。ああ、ああ、と、同じ喘ぎ声を出すしか反応が出せない。指すら動かない。体すべてが甘い痺れに力を奪われてしまった。

 快感を与えられ続けた身体はすっかり蕩け、トキヤが自分の服を総て脱いで、脚の間に割り行ってきても、逃げる気力を起こさせなかった。

 目の端に、恐ろしく膨張したトキヤの男性自身が映る。
 息を飲みそうになるが、それすらままならない。気怠い甘さで全身がずぶ濡れになり、その重さで動けない。自分の腹に着くほど反り返ったそれを、トキヤが春歌の中心に擦りつける。

 たったそれだけで、ちゅくりと水の音がした。

 「や・・・っ、や、ぁ・・・。」

 「いや? 私もですよ。擦りつけているだけでは我慢できない。」

 そのトキヤの言葉が終わる前に、にゅるりと簡単に、それは春歌の中に入り込んできた。至極自然だった。それだけトキヤの愛撫で、体が完全に解されていた。痛みもなく、ひっかかりも抵抗もなく、トキヤのものが奥まで簡単に届き繋がった。

 「は、あ、あ、・・・。」

 圧迫感で漏れる息も、決して辛さではなく。
 トキヤに抱かれて悦ぶ全身が、切なく吐息を上げさせているのだ。

 「ああ、君のからだ・・・またこうして抱けて、嬉しい・・・。はぁ、本当に久しぶりで、持たないかもしれません・・・。」

 感極まったトキヤの声が、また心を揺さぶる。そんなに舞い上がってもらえて嬉しい。求められ過ぎて嬉しい。
 
 
 どうして、どうして嬉しいと思うのだろう。好きだから? 好きだったから? つきあっていたから? それが真実なの?


 「私たちはね、こうして愛し合っていたんです。キスをして、身体を触り合って、繋がって・・・君が可愛い声をあげて・・・。」

 「あっ、あんっ、あん。」

 「気持ちいいでしょう。私とこうしているの、好きでしょう。」

 「あ、そんな、あんっ。」

 「私は君さえ居ればいい。春歌、君もそうですよね。こうやって私と一緒に気持ち良くなって、それ以外に何がほしいですか。」

 今そんなことを言うのは卑怯だ。
 頭も身体も、総てが今トキヤに支配されつくしたこの状態で。

 優しくて、甘くて、どろどろになって混じり合うセックスを味わわされて、思考の芯までびしょ濡れになってからそんなことを聞くなんて、狡すぎるのに。その狡さにさえ感じて声をあげてしまう。卑怯な男の手に嵌った弱い自分に酔う感覚が堪らない。だってそれが、自分を手に入れたくて必死になってくれた末の蛮行だとわかるから。

 「君は、私と一緒に居ればそれでいいんです。一生まもってあげます。春歌、どうか、私のことだけ考えて、もう何かを思い出そうとするのはやめて、私との未来だけを考えてください・・・!」

 それは呪文か。
 それとも、祈りか。与えられるキスが春歌を翻弄する。

 喘ぎ声と吐息の絡むシーツの海で、トキヤともつれ合い流されていく。
 そしてその合間、僅かな一瞬に、確かな記憶がチラチラと明滅する。自分はこんな夜を過ごしたことがある。確かにある。

 確かに私は、こうして彼に愛されたおぼえが、ある――――――――――――――。


 大きな波に飲み込まれ必死で酸素を吸いながら、春歌はトキヤの腕の熱さに爈かれ続けた。






    


  

  To Be Continued・・・



  




  次回第6話は、10月19日頃更新予定です。








 
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
http://ameblo.jp/milk15azuki
にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

下のカテゴリからお好みのモノを選んで頂くと、連載は1話から読めます。

感想・お世辞は大歓迎ですが、苦情は受け付けられません。
鍵付きのコメントは、拍手コメントも含め一切の誤表示を防ぐ為、お返事は致しませんが、必ず読んでおります。励みになっております。有難うゴザイマス。
拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

鍵付きでは無いコメントは、拍手コメントも含め必ずお返事させて頂いております。
宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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