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Russian roulette 1

 
 

 Russian roulette 
       Vol.1





 
 毎日が過ぎるスピートは早い。

 春歌は朝目が醒めてすぐ、昨日仕上げた曲をもう一度チェックした。夜の間に完成し仕上げたとは言え、一晩経って見直したら何が発見されるか判らない。特にプロである以上、些細なミスこそ許されない。

 それを防ぐ為には、余程の事が無い限り〆切りに充分間に合わせ、完成したと思えても一度眠ってから、再度のしつこいチェックをするのが最適だと思っているから、今日もそれをする。

 隅々まで確認をしてから、春歌は曲のデータを指定の宛先へ送信した。

 「これで、少しの間はおやすみです・・!」

 掃除をしながら、暫しの休日に思いを馳せる。
 今回は、人気のドラマ枠の新番組の挿入曲を何曲も担当させて貰えた。事務所の力のお陰で、実力のある著名な人物に師事出来たのが大きかった。このチャンスをものにしなくてはと、春歌は気合いを入れていた。

 佳境に入ってからは音也との連絡も最低間のやり取りに抑え、食事もそこそこに曲作りに没頭した。丁度今回、音也は長期の映画ロケに出ていたので、恋人同士の自分達としては有難いタイミングだった。

 (音也くん、明日には戻ってくる予定だから、そうしたら久し振りに、逢いたいです。一緒にお出かけもたまにはしたいけど・・・何とか人目につかないように・・遠くの街まで行く、とかならダイジョウブでしょうか?)

 キッチンを水拭きする手すら、軽やかに動くように見える。
 キュキュっと、水垢を何気に強い力で擦った時、何故か、ロケに出掛ける少し前に音也からベッドで、結婚しようと言われた事を思い出しはたと手を止めた。


 思い出すと頬が熱くなる。
 頭がぼんやりする。

 誰も居ない現実にほっとしながら、悪い事をしたように俯いて、流し台を拭く手を止めた。

 あの時の音也は、遠慮無く春歌の中に注ぎ込んだ。
 それこそ、いつもよりしっかりと春歌の尻を抱え込み、確実に目掛けているのが判る程に。
 結果的に妊娠などしなかったが、2人とも、どうなってもいいと良い意味で思った上での行為だった。

 それを思い出して目を瞬かせる。
 体の内側に何かが灯ったような感触がして、慌てて布巾を洗った。

 音也とは、もう何度体を重ねたか判らない。なのに、何度でも体は最高潮に熱くなる。
 沸騰して、頭の中までぐちゃぐちゃに掻き回されるような感覚。
 あれは、音也としか得られない。音也を好きな気持ちでしか得られない。そうとしか思えない高揚だった。思い出すだけでいつも、春歌はうっかりぼんやりとしてしまうのだ。

 
 昼になってからお茶を淹れて、一息つきながら音也にメールした。

 「今朝、お仕事仕上げました。暫くお休みです。次のお仕事も入ってますが、それでも3日は最低でも空けられます。明日、予定通り戻って来られたら逢いたいです。今日のうちにカレーを作って、一晩寝かせて美味しくしておきますね。」

 「送信、えい。」

 春歌は小声と共にボタンを押して携帯電話を仕舞い、買い物に出掛けた。




 「!」

 外に出てすぐ、スーッと自分の横に車がついて春歌は驚いた。
 助手席のウインドウが下がり、中から聞き慣れた声がした。

 「こーはいちゃんじゃなーい。ドコ行くの~? おにーさんとデートしないー?」

 「寿先輩!」

 運転していたのは事務所の先輩、寿嶺二だった。
 マスターコース時代は音也と同室だったからか、届け物をしたりして部屋でよく顔を合わせた。勿論仕事でもこれまで何度か一緒になった。明るさは音也に負けず、場の空気を読む能力は業界暮らしの長さを思わせた。

 彼ら先輩の組むユニット・カルテットナイトの歌を、最近春歌が手がけたばかりだ。
 その時はかなり面倒を見て貰った。仏頂面の蘭丸と意思の疎通を図るのに手こずり、嶺二が何度取り成してくれた事か。

 「私はちょっと買い物に・・お野菜とかを。先輩はこれからお仕事ですか?」

 「ううん、今さっき、テレビとラジオの生放送を2本済ませてきたトコロ。今日は、朝のあの人気番組、二重丸マーケットのゲストだったんだよー僕!」

 「あ、そうなんですか。すいません、私、曲の最後の仕上げをしていたので朝はテレビを見ていなくて・・・。」

 春歌が慌てて頭を下げる。

 「えー、ブーブー! 見てないのぉ、ひどーい。じゃあラジオは? ほらほら、あのAMアイドルタイムって番組、結構人気ある番組なんだけどさ、聞いた? 」

 「も、申し訳ありません・・・。」

 「えー! マジでー? 僕の貴重な生放送出演を見てないなんて、後輩ちゃんにはペナルティだねー。ハイ先輩命令。乗って。」

 「は?」

 いきなりの嶺二の言葉に、春歌がきょとんとした。

 「次の仕事は夜でね。夜って言っても割と早い時間なんだけど、すっごい間があるからドライブでもしようと思って走ってたら君が見えたから。折角なら、可愛い女の子と一緒がいいじゃない? だから、乗ってよ。お買いもの、僕ちんがつきあうよ。」

 サイドブレーキを掛けて降りてきた嶺二が、助手席のドアを開けて春歌を促す。
 春歌は誘われるままに乗り込んだ。

 
 
 「わぁ、きれいですねえ!」

 買い物なんて最後でいいよね、と嶺二に言い包められ、着いた先は見晴らしの良い場所だった。街が一望できる。

 「ここ、結構景色がいいのに人が居ないんだよ。あんまり車止めるスペースも無いからだと思うけど。いいでしょ、眺め。」

 「はい。」

 車に乗ったまま、二人して道中で買ったペットボトルのジュースを飲む。フロントガラス越しに見る昼間の真っ青な空と、白っぽい色が多い建造物の街並みが気持ちをゆったりさせる。

 「ねえ後輩ちゃん。」

 嶺二が、徐に話しかけた。

 「お買いもの付き合うんだからさ、僕ちんにもご飯作ってよ。後輩ちゃんの作るご飯、おいしそ~。」

 「それは構いませんが、お口にあうかどうか・・・。」

 決して拒絶の意味では無く、自信無さげに春歌が答える。

 「あうあう。っていうか、合わせちゃうよー。なんでも美味しく頂きます! 何作ってくれるのかな。仕事終わったら行ってもいい? いい?」

 嶺二が調子良く言うので、春歌はつい朝から考えていた事を口にしてしまう。

 「今日は久し振りなので、やっぱり好きなものがいいかなって、カレーとサラダを作ろうと思っていたのですが・・・。」

 そこまで言い、きょとんとしている嶺二に気付いた春歌が口を噤んだ。

 「久し振り? なにが?」

 「あ、あのすいません、カレーを作るのが久し振りで、っていうか、食事を作るのが久し振りで、あの、その。」

 しまったと思いながら笑顔で取り繕う。
 一応、ひよっことはいえ芸能界で仕事をしている身だ。学生時代より、場を切り抜けるのは上手くなったと思っている。

 「後輩ちゃん、そんなにカレーが好きだったの? 僕がから揚げ好きなくらい?」

 「そ、そうなんです!」

 笑顔で会話を続けてくれる嶺二にほっとして、春歌も笑う。
 そう。音也はアイドル。恋人が居るのは、世間には知られてはいけない秘密。

 そして春歌も所属するシャイニング事務所も、学園同様恋愛はご法度だった。だから、先輩にも知られてはならない。
 音也はあまりそういう警戒心が無く、事務所の近しい人間にはバレてしまっているような気もチラチラするのだが、決定的な場面を抑えられたなどの事例がある訳では無い。幾度かヒヤっとした事もあり、2人共それなりには気を付けて生活していた。

 「おとやんも、カレー好きだよねえ。」

 「そうですね。」

 にっこり笑って返事をする。
 何事も無いかのように返事が出来ている事に自身ほっとして、また窓の外に目をやった。それからまた他愛も無い話をして、買い物へ向かった。


 

 寮の前で、エコバッグを抱えて春歌は車を降りた。

 「先輩、有難うございました。助かりました。」

 「もーほんとにいいの? 部屋まで運んであげるよ。ジャガイモとか、重たいでしょ。」

 「大丈夫です。先輩も、17時までにスタジオに到着しないといけないんですよね? あと1時間もありませんから、遅刻したら大変ですので、このまま行って下さい。」

 「そう? じゃあ、多分8時頃には大丈夫だと思うんだ。美味しいカレー、作っておいてよ。あ、サラダのトマトは食べやすいように角切りしてくれる?」

 「えっ?」

 ぺこりと頭を下げていた春歌は、彼の言葉に慌てて顔を上げた。
 しかし嶺二は、ハンドルを握ったまま笑顔で踵を返しただけだった。

 「寿先輩、待っ・・・!」

 冗談なのか本気なのか判らない春歌を残したまま、嶺二の車はシャイニング事務所の寮を後にした。
 







                   To Be Continued・・・






 
 
 
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Russian roulette 2

 


 Russian roulette
         vol.2


 

 

 結局その晩、嶺二は来なかった。
 
 本当に来るのか来ないのか、嶺二の表情や言葉からは解らず仕舞いだった春歌はどうしようもなくて、それでも相手は先輩だと思うと、料理を作るしかなかった。

 それなりの時間まで待っていたが、結局嶺二の訪問は無かった。

 すっかり自分も夕飯を食べ損ねてしまい、拗ねたようなほっとしたような気持ちでお風呂を済ませた春歌は、届いていたメールを開いて、やっと笑顔になった。
 
 『明日、会えるよ。行くから待ってて。』

 「音也くん・・・。」

 逢えると思うとそれだけで嬉しかった。
 大好きな恋人。やっと逢える。たかが10日程度、と人には思われるだろうが、今の二人にとって、10日離れているのは辛い長さだ。

 (一晩寝かせて美味しくなったカレーと、サラダと、あ、じゃがいもが余ったから、ポテトサラダを新しく作ろう。レタスは今日使った分の残りで十分かな・・・。)

 春歌は髪を乾かすと、幸せな気持ちで眠りについた。


 

 翌日は晴れていた。
 晴れた空を眺めながら、春歌は事務所へ向かった。

 音也からメールが来たのは少し前で、どうしても事務所へ先に寄って資料を貰ってから帰るから、事務所で待ち合わせをしてそこから一緒に帰らないかという誘いだった。

 『君の好きなケーキを一緒に選んで帰れるといいな。事務所で待ってる。』

 その何気ない音也の一文で頬が緩む。
 クライアント先へ曲を送った事を報告をしながら、元は自分の教師であった林檎にこの間から借りていたCDを返すのに丁度良いと思った春歌は、すぐに同意を返事して家を出た。

 寮から事務所は然して離れていない。
 ほどなくして事務所へ着いた春歌は、部屋の中央辺りで林檎と談笑する愛しい恋人の顔を見つけ、駆け寄ろうとした。

 「おと・・。」

 「後輩ちゃん!」

 「きゃっ。」

 突然飛びかかられて、春歌は転びそうになった。
 それを、飛びかかってきた張本人が抱きとめる。

 「あっぶない! 良かった、大丈夫。どこかぶつけてない? 痛いトコ、無い?」
 
 「あ、はい、だいじょ。」

 目の前に、本当に目の前すぐに嶺二の顔があって、春歌は驚き言葉を飲み込んだ。

 「ホント? ごめんよ、ちょっと勢いつきすぎちゃってぶつかっちゃった。ホントに大丈夫?」

 尚も心配そうに見詰める嶺二に、春歌が心臓を飛び出しそうにしている時。

 「七海!」

 音也が横から、慌てふためいて割り込んだ。

 「どうしたの、嶺ちゃんに突き飛ばされたの? 大丈夫?」

 「おとやんひっどいなあ。突き飛ばしたって何よ突き飛ばしたってのは。ちょーっと言い方ヒドイ。タイミング間違えて、勢い込んでぶつかっちゃったんだよ。悪気無かった。ごめんよ、後輩ちゃん。」

 その間に、音也がさりげなく嶺二の手を春歌から振りほどく。

 「あれ。あれあれ。なんで僕から後輩ちゃんを奪っちゃうワケおとやん?」
  
 「奪ってないよ、そうじゃなくて、七海はあんまり男子に慣れてないんだよ。いつまでも嶺ちゃんがこんなコトしてたら、七海、固まっちゃうからさ。」

 成長したものだと、春歌も音也もお互い思う。
 学園時代だったら、こんなにうまくサラリと、何でもない風を装えなかっただろう。仕事をする為に2人を守る。2人の関係を守る為に仕事をする。少しずつ、それが出来るようになっていた。
 
 だが、嶺二はからかうように音也に絡む。

 「ふ~ん・・・ホントにそれだけ? アヤシイ。すっごいアヤシイなあ君たち。ずっと思ってたんだけど、すっごいアヤシいよね君たちは。」

 「怪しくないよ、何言ってんの。嶺ちゃんの思い過ごしだよ。」

 「じゃー別に、僕が後輩ちゃんをぎゅってしてたっていいでしょ。」

 「だ、だめだよそれは! 七海は男の人があんまりダメなんだよ!」

 また春歌に手を伸ばしてきた嶺二から、守るように音也が立ち塞がる。

 「あんまりダメって、日本語としておかしくない? そんなに慌てちゃってー。益々あやしい。」

 ニヤニヤしながら2人を眺める嶺二を横目に、音也が春歌に目線を合わせて屈む。

 「七海、ほんとに大丈夫?」

 「はい、大丈夫です。」

 2人がやかましくやり取りをしている間に平静を取り戻した春歌が、居住まいを少し直して、嶺二にも、どこも痛くないから大丈夫だと告げた。

 「そぉ? だったらいいけど。夜になってどこかが痛み出したらちゃんと言ってね。僕、責任取って看病してあげるからさ。あ、それと、昨日約束守れなくてごめんね。」

 「え、あ。」

 「約束? なんのこと?」

 嶺二は相変わらずニヤニヤしながら。
 春歌は突然出された話題に戸惑い。
 音也は、嶺二の言葉と春歌の咄嗟の態度に怪訝な目を向ける。

 「なんでもないよ。昨夜、ちょっと後輩ちゃんと約束してたんだけど、僕の仕事がおしちゃってね。部屋で待っててくれた君に連絡もしないで、悪かったね。」

 「あ、いえ、あの、そんなことは。」

 何も悪い事などしていなのに、今すぐ此処から消えてしまいたいと思うのはどうしてなのだろう。
 音也が自分を見るその視線が、まるで責めているかのようにしか思えない自分は、潔白な筈なのに。

 「僕の為に作ってくれたご飯、まさか無駄にしちゃったかな? 次の機会にちゃんと食べに行くからさ、もし間に合うなら今から冷凍でもしておいて。ね。」

 「は、はぁ・・・。」

 「・・・・嶺ちゃん、七海と一緒にご飯する約束してたの?」
 
 「ちょっーとアナタたち、いつまでお喋りしてるのー。嶺ちゃんは精算が済んだなら、さっさとスタジオ入りしてちょうだいよ!」

 林檎が話を切りに入り、春歌はほっと息を吐く。
 一瞬緊迫した場面から雑多な日常風景に戻って、春歌はほっとしながら林檎に借りていたものを返し、音也と共に事務所を後にした。



 
 「音也くん、あの、怒ってるんですか・・・?」

 家に戻る道すがらも、食事中もどこかいつもと違う音也だった。
 春歌が思い切って切り出したのは、夜も更けてからだった。

 「怒ってないよ。」

 「でも。」

 短いやりとりをしながら、春歌は息が詰まりそうな空気を感じていた。
 昼間の嶺二との会話がこの状態を引き起こしてるのだと判っているのだが、どうしようも無かった。悪い事をしてないのだから謝るのも筋違いだ。

 「え。」

 あれこれ考え込んで別の位置を見ていた為、音也が立ち上がったのに気付いたのは、気配だった。
 視覚よりも気配からでは、気付くのが遅れる事がある。いきなり立ち上がった音也に押し倒され、初めて今自分がどうなっているか理解する。

 ソファが沈み、体がずり落ちてそのまま床に2人して倒れ込んだ。
 
 「痛・・・っ、。」

 実際は大して痛くはなかったが、言葉が反射的に出る。
 その言葉を遮るように、音也は自身の体全体を春歌の上に載せた。

 「おと、っんん・・・!」

 無言のまま襲いかかったキスに、春歌は体を固くした。
 いきなり音也の顔が近付いたのが恐ろしくて咄嗟に目を閉じ、持ち上げようとした手を抑えつけられる。

 「んん、っ、ん・・・!」

 長いキスが終わり、息を乱す春歌の顔に、覆い被さる音也の髪が触れる。。


 「おとやく・・・。」

 「いやだ。」

 「え。」

 少し顔を背けられていて、春歌には音也の表情が良く判らない。
 低い呻きに、息が止まりそうで胸が痛くなる。

 「わかってる。別にご飯くらいどうってことないよ。」

 そう言うと音也は、真っすぐ春歌を見降ろした。
 その強い視線に、今度は春歌が目を伏せる。

 「でもイヤだ。嶺ちゃんは、那月やマサとは違う。っていうか那月だって、ああいうヤツだって判ってるからマシなだけで、2人でご飯してほしくないよ。だけど、嶺ちゃんはもっとイヤだ。」

 唇を噛みしめて、音也は続けた。

 「俺、君がカルテットナイトの曲を作ってる時から、正直嶺ちゃんとは仲良くしてほしくなかったんだ。嶺ちゃんは、優しいよ。いい先輩でさ。でも・・・・。」

 言うか言うまいか。
 少し迷ってから音也は、春歌に静かに切り出した。
 
 「あのね、嶺ちゃんはちょっと大人だから、俺とは全然違って、色んな事、すごく上手に進められるんだ・・・。多分、女の子の事もサラっと誘って、サラっと自分の方を向けたり・・・。君みたいに純粋で人を疑わないような子は、きっと嶺ちゃんの楽しいトコロとかいいなって思って、それで、そのまま・・・。」

 そこまで言って、言葉を飲み込んで、思い直したようにまた言う。

 「君の事は信じてる。ほんとだよ、信じてるよ。でも、でもイヤなんだ。」

 「そんな、私は音也くんしか見ていません。」

 「うん、わかる。」

 やっと、音也が少し力を緩めてくれた。

 「でも、イヤなんだ。嶺ちゃんはああやってさりげなく君を抱きしめたりして、俺、心がすごくモヤっとするんだ。お願いだから・・・。」

 ぎゅっと、音也が春歌に益々覆い被さって抱き締めた。
 春歌の首筋に顔を埋め、押し付けるように頬を頬で撫でる。

 「お願いだよ。嶺ちゃんとは2人きりで逢うような約束はしないで。仕事の話も、事務所でしてよ。イヤなんだ、俺・・・!」

 イヤだ、イヤだと先ほどから繰り返す音也が、熱い体を思い切り春歌に伸す。
 厚い胸板に押し潰されて息が苦しくて、それでも春歌は、好きな男の不安げな訴えに、必死に返事をした。

 「はい、寿先輩とは、2人きりになったりしません。約束します。だから、おとやく、くる。。し・・・!」

 「あ、ごめん! 大丈夫!?」

 弾かれたように、音也がぱっと春歌から飛びのいた。
 やっと呼吸が自由になって、春歌は大きく息を吐く。

 「ご、ごめんね、俺、なんか自分の気持ちに一杯になっちゃって、ごめん、重かったよね、ごめんよ?」
 
 春歌の背を起こし、泣きそうな顔で優しく触れる音也の指先。
 それを感じ取り、春歌はそっと音也の胸に寄り添った。

 「ううん、いいんです。あの、それに寿先輩とは、本当に、約束っていえるような約束をしたワケでは無いんです・・・。」
 
 春歌は昨日の一部始終を音也に話し、音也は、

 「そっか・・・。じゃ、別にハッキリとゆびきりとかしたわけじゃなくて、嶺ちゃんが思いつきで言っただけなんだ。」

 思いつき。 
 
 音也のその言葉が、春歌の頭に少しだけ引っ掛かった。

 あの時の嶺二の顔や声を目の当たりにした春歌には、あれが彼のただの思いつきの適当な言葉だとは、その時思えなかった。だからこそ、料理をして待っていたのだ。

 彼は、冗談を言っているようには見えなかった。
 いつも何かしら飄々とした態度のせいか言葉に本音が載ってないと思わせる嶺二だったが、あの時の彼の笑顔は少なくとも、春歌に断る理由を一瞬真剣に考えさせる顔だった。
 
 だが、今の音也にはそれを言うべきではないと思った。
 何よりこれはそれこそただの想像で、確証もない。

 さっと巡らせた思案を、音也の優しいキスが止めた。
 唇がそっと触れるだけのキスを春歌に落し、きゅっと、またその体を抱きしめる。

 「ごめんね。俺、つまんないヤキモチやいて。ごめん。」

 「いいんです。だって、好きだからヤキモチを焼いてくれるから、嬉しいです。・・・あ。・・・嬉しいなんて、ごめんなさい。」

 愛おしげに春歌の髪にキスを滑らせた音也が、掠れた声で誘いかけた。

 「俺、したい。ベッド行こう。」

 春歌の回答は待たれる事がなく、音也は春歌を抱き抱えて寝室に向かった。





                To Be Continued・・・





         
     


   第3話は、来週11/15金曜日に更新予定です。







 

Russian roulette 3

 



 Russian roulette
       Vol.3
 


 
 



 音也の指は優しく、唇はどこまでも情熱的で、舌は淫猥だった。

 「あ、はっ、音也く、だめぇ。」

 逃がさないとでも言いたいのか、顔を押しつけるように秘部を舌で執拗に愛撫し続ける音也に、春歌が根を上げた。

 小刻みに訪れる痙攣が、自身の限界を警告している。
 ぞわぞわと総毛立つ痺れが這い回る体を、最早どうしていいか判断出来ない。

 「ダメぇ! そこもうダメえっ!」

 太股の付け根を開いた状態で動かないようにされ、そのあまりの恰好にも羞恥を煽られる。
 自分が音也の好きにされる女だと思い知る束縛。それも悦楽を誘うのだ。

 しかしそれを悦びだとアッサリと認めるには、女という受け入れる側の性としての理性は壁となり、拒否の言葉に表される。
 
 そして、拒否の言葉は虚偽だと、襲う側にはきっと判るのだ。
 
 「ダメじゃないだろ・・・いいよ、イって。」

 「ああ、ああっ・・。」

 腰が強張る。
 腰だけでは無い。つま先も何もかも強張る。なのに指先だけが浮いたようになり、周りの景色が意味も無く見えなくなって、自分の中で何かが大きく膨れ上がる。

 「んんんっ・・・!」

 次に景色が見えるのは、膨れ切った何かが無くなった時だ。
 正確には、無くなりつつあるその時間に景色も次第に見えるようになると言うべきか。

 ぐったりとした体はどこまでも甘い気怠さに包まれて、思考回路はショートしている。
 そんな時に見る裸の恋人の濡れた目は、力の入らない体の奥に撒かれる油で、炎だけが盛る。その炎は自力では消せない。熱さに疼く下腹を宥めるのは容易ではなくて。

 だから助けを求める。
 目の前の、恋人に。自分を欲している男に。

 「あ、あ・・・。」

 上手く言葉にならず、声と目線、仕草で必死に訴える。
 緩慢な動作が音也を煽る。自然と拡げてしまった脚の間を見せつけるように、全身で音也に擦り寄って甘えた。
 
 「今、あげるから・・・。」

 固唾を飲む音也が、春歌に被さった。
 熱い、それでいて凶暴さの無いつるりとした切っ先が宛てられる。その、何度も教わった感触に期待して、春歌は期待の吐息を洩らした。

 どろどろに蕩けた内部のせいで、なんの障害もなくずるりと音也の熱が半分ほど一気に埋まった。

 「あああああああああああーー。」

 「・・・っ、く、ぅ・・・。」

 霞む目に映る音也の眉を顰めた顔。
 そのまま腰を進めて最奥まで辿り着いた彼が、春歌をきつく抱き締めてぶるりと大きく体を震わせた。

 快楽に歪む顔を見るのは、快楽を伝染させる行動なのだと思う。音也が感じてくれている事がこんなにも嬉しい。嬉しくて、またどぷりと大量の蜜が腹の奥から自然と溢れてくるのが自分で判る。蜜液が増えたのが判るのか、音也はすぐに激しく腰を動かし始めた。

 大きく出し入れする音也の動きで、ぐちゅぷちゅと卑猥な音が響く。
 
 こんなに大きな音を立てていたら、自分の蜜が大量に溢れたのだと音也に気付かれてしまう。春歌はそれが恥ずかしくて腰を捩った。

 秘密を知られるのは、いつどんな相手に対してであっても、とてつもなく恥ずかしい。

 「あっ、ダメだよ、そんな風に・・・っ。」

 「だって。だってえっ。」

 「ダメだ、俺、ずっとしたかったから、もう出ちゃうよ、動いちゃダメだ・・!」

 すっと一瞬、熱が引いた。
 たった今入れたばかりだと言うのに、満たされた欲求が直後奪い取られる切なさで、一瞬現実に戻った。

 そしてすぐ、それでもまだ今は中にある熱がくれる快感に引き戻される。

 だから強請る。
 今引き出せる言葉全てと、音也の腰を抱え込む脚を意識しながら。

 「いやぁ、まだ、イヤ、音也くんがいっぱいほしいです・・あああん。」

 「あげたいけど・・・ごめ。ダメだ、出ちゃう。ごめん、ごめんね。」

 堪え切れないといった吐息で言葉尻が掠れた音也が、避妊具を着けている為に中に埋めたまま放出した。自分の上に乗ったまま徐々に力の緩む筋肉の逞しい肩にしがみついて、春歌は上がる息を整えた。

 「ごめんね、俺、久しぶりだったから嬉しくて、全然持たなかった。」

 触れるだけの口づけを繰り返しながら、音也が呟く。
 
 「2回目、しよ? いいよね?」

 「え、え? え?」

 赤い頬で悪戯な笑顔を見せた音也が、手早く自分の吐き出したモノを溜めた避妊具を始末する。
 そして、まだ快感を残す体を横たえている春歌の口元に、勃起したままのそれを近づけた。髪を撫でる音也の手は、もう今すぐ2艘目の淫欲の船に乗ろうと誘う。

 薄く染み出たまま残った彼の体液が浮く先端が目に入り、春歌の腰回りにまたじわりと甘い痺れが走った。

 「舐めてくれるの、えへへ、嬉しい・・・。」

 体を起して吸い込まれるように目の前のモノを口に含んだ春歌の髪を、音也が撫で続ける。
 春歌はそのまま喉の奥咥え込み、舌で丁寧に、垂れる白濁の体液を舐め取っていった。




 

 
 その日は朝から天気が良くなかった。
 傘を持って、雨に濡れてもいいような素材のバッグを選ぶと、春歌は家を出て事務所へ向かった。こないだの曲を気に入ってくれた担当者は違う番組も手掛けており、是非そちらの番組の挿入曲もお願いしたいと言って来てくれたのだった。

 資料を受け取り、打ち合わせの日程を林檎から聴いて、春歌は手帳にメモする。
 
 「急で悪いわね、明日なんて。なんでもいいのよ、ほんっとに音を並べただけのラフで構わないわ。1曲何か持ってきてほしいって。それ以外は、あの担当者さんが自分でCDを用意してあるそうだから。」

 「わかりました。急でもとってもありがたいなって思います。頑張ります。明日、スーツじゃなくてもいいでしょうか・・・。」

 「大丈夫よ。就職活動してるんじゃないんだから。でもそうねえ、うーん・・・。そのブラウスだと可愛くてあなたの雰囲気には合ってるんだけど、仕事場では少し子供っぽいから、シャツとスカートの組み合わせにした方がいいかもしれないわ。」

 「判りました。林檎先生のアドバイスはとっても参考になりますので、そうします。」

 林檎に頭を下げ、事務所を後にする。
 建物の入り口を出ようとした時だった。

 「あれ?」

 「あ、先輩。」

 あの日以来で、嶺二と出くわした。
 だが正確に数えれば、10日も経っていないのだが。

 「こんにちは。」

 ぺこりと頭を下げる春歌を、嶺二が手で制する。

 「いいよ、頭下げる挨拶なんてかたっ苦しいの、ナシナシ。あれ、その資料・・・。」

 春歌が手に抱えた透明のクリアファイルから透ける文字を、嶺二が指さす。

 「あ、これは、今度この番組の音楽を担当させて頂けるコトになりまして。」

 「ええ、マジ? それホント? どっきりじゃなくてっ!?」

 「え? はい。マジですけど・・・。」

 大袈裟に驚く嶺二に、春歌も大真面目に返答する。

 「いやいや、これって運命じゃない? 実はこの番組、僕がメイン司会者なんだよ。トッキーも一緒でね、同じ事務所の後輩と頑張ろうと思ってたら、そうかそうか。後輩ちゃんも一緒なのかー。」

 「そうなんですね! 宜しくお願いします。」

 「お願いされちゃった。じゃー軽くお茶でも一緒に飲まない?」

 「は・・・え。」

 つい軽い調子につられて返事をしそうになって、春歌ははたと言葉を切った。
 しかし嶺二はそんな春歌の腕を掴むと、ニコニコしながら強引に駐車場まで引っ張って行った。




 

 「いやー・・・アイドルの宿命なのよ。人目の多い場所でのお茶はご法度。ごめんねーこんな可愛い子に外でお茶飲ませて。」

 「いえ・・・大丈夫です。景色が、きれいですから。」

 この間と同じ景色を、同じ相手と見ながら、春歌はコーヒーショップでテイクアウトしたカフェラテを飲んでいた。
 先日とは違い、曇りがかった暗めの空と街の境界を見ながら、少し涼しい向かい風を受ける。
 
 人目があるから店には入れない。
 それは何も嶺二が相手の時だけではなく、音也と居る時も一緒だったから、自分だけが入店してカウンターで商品をテイクアウトするのには慣れていた。

 「ちょっとぬるくなっちゃったね。まあ、火傷はしないからいいけど・・・ごめんね。」

 何度も謝る嶺二に、春歌が笑い掛ける。
 
 「大丈夫です。美味しいですから。」

 春歌も、大丈夫です、と繰り返すだけの返答をする。
 音也に、嶺二と2人きりにならないでほしいと切に言われたばかりだ。強引に連れられて来たとはいえ、居心地が良くなかった。

 「同じジュースとかコーヒーでも、外の空気を吸いながら飲む方がさ、部屋の中で飲むより美味しい気がしない? やっぱり、解放感がいいんだよねきっと。」

 「そうですね。」

 ボンネットに軽く浅く腰を掛けるようにして景色に目をやる嶺二の隣で、春歌は笑顔だけは絶やさずに、言葉はあくまでも他人に近いような距離を選んだ。
 
 相手は同じ事務所の先輩だ。失礼は良くない。
 この業界は、多分世の中の一般企業のそれよりも更に、先輩後輩はもとより、人との繋がりが次の仕事を呼ぶ。目上の人間には努めて礼儀正しくあるべきだ。
 
 大体、音也も彼にはマスターコースで大分世話になっている。思い返せばこの先輩に、本当に駆け出しの頃の音也は大失敗の尻拭いをさせた事もあるのだ。業界の常識を叩きこんでくれた恩もある。音也にああ言われたからとて、そうそう無下にしていい相手ではないのだ。

 夕暮れが濃くなり、嶺二が、帰ろうか、と声をかける。
 天気の所為か既に太陽が届かないので、実際の時間よりも遅いような気もする。

 にっこり笑って車に乗り込んだ春歌は、嶺二の 「ごめん、ちょっとシートベルトを調節するから。」 という言葉に自然に従った。

 運転席から身を乗り出し、体を被せるようにして来た嶺二にドキっとした瞬間、春歌はいきなり揺れた視界に声にならない声をあげた。

 「おりこうちゃん。素直な子は可愛いね。」

 「え! な。なっ。」

 目の前に嶺二の顔があって、そして、それ越しに見えるのは多分、この車の天井で、自分は多分、何かの衝撃で体が後ろに倒れた。

 たったそれだけを整理するだけの事だったのに、あまりにも突然だったものだから春歌は軽くパニックになった。
 起き上がろうとして力が入った胸部が嶺二の体で阻害され、その先へ行けない。

 「こんなコト言われてそのまま信じて警戒もしないなんて、君、大丈夫?」

 いつもより棘を含む声で言われて、春歌は少し怯んだ。
 それでも、その通りだったのだ。

 自分を見降ろす男を警戒する相手として見ていない放漫。
 だからこそ、叫ぶでも逃げるでもなく、些細であっても反論が先に来た。

 「そんな、シートベルトはだってこっち側にあるから、だから・・!」

 「だから、そんなの信じちゃダメなんだってば・・・かわいい。」

 ふっと、影の落ちた嶺二の瞳を見た春歌の体が強張る。そこでやっと、春歌は自分の放漫に気付いた。
 
 「ニコニコしてどこへでもついて来たら、男は勘違いしちゃう生き物なんだよねー。」

 「離して!」

 咄嗟に出た悲鳴のような声に、嶺二が笑った。

 「怖いんだ? 大丈夫。傷つけたりしないから・・・。」
 
 「・・・!」

 いきなりされたキスに、春歌は目を見開いた。
 無遠慮に差し込まれた舌が口内で暴れ、拒否の意を全身で抗って伝えようとしたが、全く思うように動けない。

 「イヤ・・・っ!」

 一瞬に唇が離れた隙に言葉で抵抗する。
 だが更に続けようとした言葉は、また嶺二の唇に飲み込まれた。

 嶺二の手が春歌のブラウスのボタンにかかり、春歌は必死で身を捩ったが、彼はあっと言う間にボタンをほとんど外すと、下着を乱暴にずり上げた。

 「ひぁっ!」

 持ち上げるように掴まれた乳房が嶺二の指を敏感に感じ取り、春歌は泣きそうな声を出した。
 そうしながら、彼の舌は春歌の首筋や耳の後ろを余すところなく舐める。音也では無い男に体を触られている現実で、全身の表面が嫌悪の泡にざわめきたつ。

 「やめ、やめてえ!」
 
 「ウソ。だって、こんなに固くなってるのに?」

 「んぁぁあ。」

 抓まれた胸の先はその言葉の通りで、春歌は刺激に下腹の奥が縮むのが判った。
 それが怖くて余計必死に身を捩り、嶺二の手から逃れようとする。誰かに見られるのでは。という恐怖で一瞬目を窓の外へ泳がせると、辺りは既にほとんど夜のような暗さになっていた。

 更に迫る闇と、目の前に居る嶺二の吐息に見える欲が、春歌を震え上がらせる。

 「ひ!」

 小さな一点の痛みが走った。チクっと針を刺したような、一瞬の、一点の痛み。
 それは少しだけ場所を移しながら、動けない自分に目の前が真っ暗になりながら泣き出した春歌の身体を点々と襲う。

 暫く続いた痛みが止まり、やっと、嶺二が顔をあげて春歌の目を覗きこんだ。

 「泣かせるつもりはなかったんだけどな。」

 零れた涙をそっと拭ってくれる。

 「泣いちゃったから、今日はこれで許してあげる。君が悪いんだよ? いっつもそんな風に、誘われればついてきてニコニコしてて。案外、おとやんと付き合い始めたきっかけも、その程度なんじゃないの。トッキーはムッツリだから気軽には女の子を誘いそうにないけど、おとやんはああだから、好きだって思ったら猪突猛進に近いからね。デートに誘われて、そのまま押し切られて付き合ってるんじゃなーい?」

 獲物を前にした肉食獣の眼に射抜かれて、春歌は動けない。
 言葉も出ず、呆然と固まったまま嶺二の下で震えている。

 「否定しないってコトは、やっぱりおとやんと付き合ってるんだ。・・・・ふーん、嶺ちゃん軽くショーック。」

 台詞と裏腹に、彼は大してショックを受けてないような雰囲気で春歌の上からどいた。 
 消えた圧迫感に少しだけ緊張の解けた春歌が、運転席に移り座る嶺二の目が自分を向いてないうちに慌ててずらされた下着を直して、胸元のボタンを留める。

 嶺二は肩をぐるりと回して、まるで何もなかったようにしている。

 恥ずかしさと混乱で、春歌はもう一度迫ってきた嶺二の動きに悲鳴をあげそうになったが、彼はシートを起こしてくれただけだった。

 そのまま嶺二を目で追う。
 視界の端に載る街の灯りが涙目で霞む。元々ここからだと滲んだように映る灯だ。

 「ボタン、閉めないの?」

 いつもの嶺二と変わらない口調で、顎でブラウスを示された。
 慌てて残りのボタンを留め始める春歌を、嶺二はおかしそうに見ていた。

 外はほとんど真っ暗になり、益々先ほどの灯りたちが存在を主張する。

 「僕とは、おとやんを気にせずに逢えばいいよ。」

 すっかり普段通りの嶺二から突然投げ掛けられた言葉の意味が解らず、春歌はぽかんと口をあけて彼を見た。
 
 今自分が置かれている世界は暗闇で、光が届かなくて手探りなのが不安だった。目の前にいた先輩が突然男だと認識する出来事が起こって、言うなればまだ右と左が判別がつかない。それなのに、そんな状態の自分の混乱が益々深まる言葉を投げられ、どうしていいのか、答えるべきか、何か言うべきなのかすら判らない。

 固まった春歌を見て、嶺二がおかしそうに笑った。

 「おとやんと僕とドッチがいいか、付き合ってみなきゃ分かんないでしょ。だから、また次の休みにデートしようね。どうしよっか、映画デートでもどう? 嶺ちゃんホームシアターで。」

 口許に微笑みを浮かべながら言う嶺二に、春歌が信じられないという顔をする。

 だが嶺二の方は、そんな事は意に介さないと言わんばかりに鼻歌を唄いながらエンジンを掛け、いつもと全く同じ調子で、春歌を寮まで送り届けたのだった。





                 
              

                 
             To Be Continued・・・







 

 



 

 

 

 

Russian roulette 4

 


Russian roulette
      Vol.4
 




 

 
 着信ランプの光る携帯電話は、テーブルに放り出されていた。

 昨日の出来事を自分の中で消化できず、ろくに眠れなかった春歌を悩ませる着信だった。
 急いで仕上げなければならないデモ曲の出来は散々だった。仕方なく、ストックから数曲用意した。


 夜、音也からの電話にどうしても出る事が出来なかった。
 何を口走るか自信が無かった。逢いたいと言われたら、どう断っていいのか思いつかなかった。

 胸や首辺りに幾つもある赤い跡を、どうやって隠すか。春歌の頭には今それしかない。
 なのにさっきまた音也から電話があって、とうとう春歌は電話をリビングのテーブルに置いたままにして、寝室に逃げ込んだ。

 そんな事が何の解決にもならないのは判っていても、まず逃げたかった。
 どうしていいか判らなかった。頭の中で、昨日の嶺二の言葉が反響する。

 「僕とは、おとやんを気にせずに逢えばいいよ。」

 それは裏返せば、音也とも嶺二など気にせずに逢えばいいという意味だろう。
 しかしだとすれば、彼はなんと卑怯なのだろう。こうして、音也には逢えないように、クッキリと残る自分との逢瀬を春歌の体に刻んでいるのだ。

 

 打ち合わせは夕方からで、それまでにはまだ時間があった。
 あの番組のメイン司会者を務める嶺二と、また顔を合わせなければならない。それも不安で仕方がなかった。
 
 泣きそうな神経を抑え込んで考えを巡らせ、今日の打ち合わせで嶺二の隣に座らないようにと。胸の跡が消えるまで音也に逢わないようにしようと思った。
 打ち合わせはそれなりの数の人間が居る。隣にさえ座らなければ何かをされないだろうし、話しかけられる事も無いだろうと想像した。終了後も、兎に角出口まで急ごうと考えた。誰かと、学園時代に共に学んだトキヤも出演者として打ち合わせには参加するだろうから、彼にでも頼んで寮まで送ってもらおうと考えた。

 時間は迫り、のろのろとベッドから起き上がった春歌は、仕方なく服を着替えて仕事に向かった。
 シャツがいいという林檎のアドバイスに逆らわず、どうしても第一ボタンから覗く首元を隠すのにはスカーフを巻いた。

 それが逆に大人っぽく見える気がして、些細な救いに多少気が楽になる。
 そんな春歌を待っていたのは、予想だにしなかった大胆不敵な嶺二の振る舞いだった。

 


 


 
 
 ゆるゆると動かされていたものを一気に最奥まで押し込められ、春歌は一際大きな声をあげた。
 悲鳴に近い声は意思と裏腹にどこか甘くて、それを自覚して余計に悲しさで脚が震える。

 「なんだかんだ言って、すんなり呑み込んじゃったじゃない。えらい、えらい。いい子だなー。」

 からかうような声で言う嶺二が、春歌の耳朶から首筋をとろりと舐める。
 
 


 寮の入り口で嶺二に捕まった春歌は、強引に車に押し込まれここまで連れて来られた。打ち合わせ先のビルの駐車場は地下で暗くて、人もあまり頻繁には通って無い。彼は更にその中でも奥の端に車を止めた。

 ずっと運転席と反対側の窓の外を見ていた春歌の髪を、彼が撫でた。

 「昨日のコト、怒ってるの~?」

 春歌を攫うように車に連れ込んでココへ来るまでにも、彼は同じ事を聞いてきた。その時も今も、春歌は返事をしなかった。だがそれ以上深く追求もせず、何よりも嶺二の調子はいつも通りだった。

 溜息で笑うようにした嶺二が、残された跡を隠す首元のスカーフを取り上げる。

 「返して下さい!」
 
 抵抗しても無駄に終わり、泣きそうな声で春歌は嶺二に掴みかかった。

 「あれ。やっぱりコレ、隠す為に巻いてたんだ。うわーおにーさん悲しいなあ。折角僕の愛の証なのにそんな、悪い事してるみたいに隠しちゃって。」

 何を言い出すのかと、春歌は身を固くした。
 悪い事みたいではなく、悪い事だ。自分は音也の彼女なのに、別の男にこんな目に遭わされたのだ。しかもそれを晒せる道理が無いのに、まるで触られた事を隠すコチラを悪者扱いだ。

 ムっとして、強い調子で言い返す。

 「隠すに、決まってるじゃないですか! 早く返して下さい。寿先輩だって、こんな、同じ事務所の私がこんなの、隠しもせずに打ち合わせに出てるなんて、困ると思います。返して下さい!」

 「ありゃ、後輩ちゃん怒るコトが出来るんだ。」

 ところが嶺二は少し目を丸くして驚いて見せるだけだ。見せているだけで、実際は口ほど驚いているのではないだろう。面白そうに笑う口許はそのままだ。

 「こんな風にされたら誰だって怒ります。早く返して下さい。もうすぐ時間です!」

 「そうだね。もうあんまり時間無いんだよ。仕事で遅刻はマズい。じゃーすぐに選んで。このまま車を降りるか、それともスカーフを返してあげる代わりに、これ。」

 嶺二がダッシュボードから取り出した物を見て、春歌は目を見張った。
 それを見た彼が軽く吹き出す。

 「流石。おとやんとヤリまくってるらしい君は、コレが何か判るんだねえ。話が早くて助かるよ。コレを君の中に入れたまま打ち合わせを受けるなら、スカーフは返してあげる。さ、時間が無いよ、すぐ決めて。」

 冗談を。と、喉まで出掛かった言葉を春歌は飲み込んだ。
 
 明らかな愚問は口にするのが憚られた。言った自分が情けなくなるだけだと、彼の目が嗤っている。

 兎にも角にも、何もかもが判らない。ある日突然、彼はこうなったように思う。いや、ある日突然と言うほど、嶺二と頻繁に逢っていた訳ではない。カルテットナイトの曲を手掛ける為に頻繁に逢っていたのはもうひと月以上前で、その仕事が終わってからは、ろくに逢った事はない。

 なのに何故、自分は昨日突然襲われて、挙句今日、目の前に所謂大人の玩具を差し出されるような目に遭っている? 判らない。大体、彼がどうして?

 優しい先輩。
 
 その偶像がガラガラと崩れる音が反響するのを自分の中で聞きながら混乱する春歌をニッコリと引き寄せ、嶺二がスカートの中に手を入れた。前触れ無くショーツの上から敏感な部分を強く撫でられ、春歌がハっと我に返る。

 「時間切れ。すぐに決めなかったから、僕がいい方に決定。」

 「やめ、て・・・いやぁ・・・っ!」

 「最初はちょっと痛いかもね。でも慣らしてる時間無いから、そのうち良くなるのを期待してて。」

 つぷりと、先端が押し込まれたと同時に、ぬるりとそれが中へ滑り込んできた。

 「あ、あ、ああ・・・!」

 「あは。君、コレ見た瞬間に期待しちゃったんじゃない? 問題無く入ってくよ。やらしー。」

 「ち、が・・んっ!」

 何度か中でゆるゆるとソレを動かしながら、嶺二はその間に春歌の唇を舐め、舌を吸い上げる。その気持ち良さに自然と力が抜けて膝を割るように拡げてしまった事にキスの途中で気付いた春歌は、慌てて脚を閉じた。

 (イヤだ私・・感じてるって思われたらイヤ・・・!)

 そんな彼女に気付いてるのか、一気にそれを奥まで突っ込み、喘ぐ春歌を見て嶺二は満足そうにしている。

 「なんだかんだ言って、すんなり呑み込んじゃったじゃない。えらい、えらい。いい子だな~。」

 

 少しの間春歌を弄ぶと、彼はスカーフを首に巻き直してくれた。

 「約束通り、ちゃんとこれを中に入れたからね。スカーフは返してあげる。さあ、お仕事だよ後輩ちゃん。くれぐれもそれ、落さないようにね。・・・まあ落としたら落としたで、それはまた面白いのかもしんないけどさ。」

 軽い調子で意地悪く笑った嶺二は、車を降りてドアを閉めると仕事の顔になった。
 
 そのまま助手席側に回り、ドアを開けて春歌の手を取ったその瞬間だけ、さっきと同じ冷えた微笑みを浮かべる。その変化が春歌には恐ろしく感じられ、為す術なく彼の手を借り車から降りた。

 そのまま嶺二の隣に並んで歩くように促された春歌は、中に埋め込まれた張型が歩く度に内壁をごりっと凶暴になぞる悪寒に耐えながら、打ち合わせ会場へ向かった。



 

 

 「では以上で・・・。」

 嶺二の隣で俯いていた春歌は、取り纏め役の男性の言葉にほうっと息を吐いた。
 やっと解放される。早くこの会場から出て、自分の中に強烈な存在感を植え付けているこれを取り出したかった。

 ざわざわと人が移動する中、ドアを出たところで、嶺二が当たり前のように 「送って行くよ」 と声を掛けた。すぐ傍から、打ち合わせに同席していたトキヤも、「お疲れ様」 と声を掛けてきた。

 「あ、一ノ瀬さん、お疲れ様です。あの、わ、私、お手洗いに用がありますので、失礼します。」
 
 早口でぺこりとトキヤに頭を下げ、さっさと歩き出した春歌の足を止めさせたのは、後ろから 「え~待ってるからいいよ~。」と呑気に答える嶺二では無かった。

 帰る人の動きに逆らうように、出入り口の傍で、音也が待っていたからだ。
 
 「どうして・・・。」

 茫然と立ち尽くす春歌を前に、困ったような顔をした彼が口を開いた。

 「ごめん、終わったんだよね、打ち合わせ。」

 「おとやくん・・・。」

 目の前に音也が立っている。自分の仕事が終わるのを待ってくれていた。
 普段だったら嬉しいその彼の行動は、今の春歌の身を竦ませた。

 「あのさ、俺、電話したんだけど・・・気付かなかったかな。曲、ギリギリまで仕上げてたの?」

 明らかに笑顔の引き攣る音也に、春歌の胸がずきりと痛む。
 
 「打ち合わせ、もう終わったんだよね。俺も、さっき撮影終わったんだ。だから、一緒に帰ろうかと・・・。」

 「おとやーん、今日は何の仕事してたのー? はい、お疲れさまのコーヒー。」

 いつの間にか真隣に来ていた嶺二が、音也に缶コーヒーを差し出す。
 打ち合わせで出席者に配られたモノで、春歌も口をつけずにバッグに仕舞って持ってきていた。

 「あ、ありがと・・・。」

 不意の事に、音也もすんなりとそれを受け取る。

 「久しぶりですね。あなたは今日、新しいドラマの撮影が開始したんではありませんでしたか? どうだったんです?」

 「あ、トキヤ・・・ああ、うん、まあ結構いい感じだよ。」
 
 
 春歌に気を取られながらも、トキヤの問いかけに応じる音也を見ながら春歌は焦っていた。

 どうしよう、一緒には帰れない。何か理由を。そう頭の中でぐるぐると考えを巡らせ始めた次の瞬間、思いも寄らない事に身を凍らせた。

 
 「後輩ちゃん、今日は可愛いスカーフしてるねー。こうゆう巻き方、ちょっと大人っぽくていい感じ。」

 嶺二の指が、すぐ隣から春歌の首元のスカーフを摘んだのだ。
 その指はしなやかで、自分を今こんな風に苦しめている指には見えない。
 
 冷や汗が垂れた気がした。
 嫌でも、自分の股間にみっちりと埋まる異物を強く意識してしまう。動いてないのに中で違う場所が擦れた気がするのは、きっと自分が内股を刷り合わせてしまったからだと思う。そしてそれがまた恥ずかしくて、今すぐこの場から逃げ出したくなる。

 「音也くん、ごめんなさい。今日は、これから、あの、寿先輩と細かい相談をしないと、いけなくて・・・。」

 パニックになった春歌には、うまい言い訳など思いつく筈も無かった。

 苦し紛れの嘘で音也の顔が見れない。
 本当は嶺二と共に打ち合わせを延長するつもりなど毛頭無い。それでもスカーフを意味有り気に触る彼の指が、そう言わないとどんな動きをするのかが怖い。

 床と音也の胸部の中間くらいに目線を遣りながら、必死で声を絞り出した春歌に返答をした音也の声は、明らかな落胆を含んだ声だった。

 「え、嶺ちゃんと・・・?」

 目を合わせないようにしている為、音也の表情は見えない。だが、彼の声が疑念だとか不安だとか、その類の色を見せて、春歌はずきずきと身を切る罪悪感に押し潰されそうになっていた。

 「ごめんなさい、あの、大丈夫です。事務所で、日向先生が、まだお仕事してる筈ですから、そこで・・・。」

 未だ嶺二の指は首のスカーフから離れない。
 楽しそうにスカーフを触る嶺二は、春歌が音也に何を言うのか期待しているようだった。

 「あのさ。」

 音也が言う。

 「ちょっとこっち、来て。」

 「え、あ!」

 嶺二を押し退けるように春歌の腕を掴んだ音也が、そのまま春歌を引き摺って歩き出そうとする。

 「ちょーっとおとやんタンマ! 後輩ちゃんはまだ仕事があるんだけどー? ボ・ク・と、一緒の打ち合わせ~!」

 春歌を連れて行こうとした音也を止めた嶺二の声はとても楽しそうだった。
 春歌は絶対に音也に知られたくない下着の奥を気にして動けない。気を抜いたらずるりと抜け落ちそうで、恐ろしくて早くこの場から逃げたかった。

 まさか音也は、能天気にスカーフを指で弄ぶ嶺二が自分をこんな目に遭わせているなどと思いもしないだろう。知られたくないのに、助けて貰えない事実があまりに哀しかった。

 「お願い、仕事なんです。音也くんごめんなさい、もう、行きます。」

 その春歌の言葉に、音也が信じられないといった顔をした。
 今にも知られたくないものが抜け落ちそうで気が気でない春歌を、じっと見詰めてくる。

 「俺がこないだ言った事、聞いて無かったの。」

 「違います、だから、事務所だから二人きりじゃないんです。」

 他の人間も居るこの場所で、あまり大きな声では話せない。
 怒鳴りはしないだけで、音也の声は明らかに怒りと苛立ちで棘々しかった。声とは逆に目には不安が浮かんで居て、その視線が辛かった。

 「なんで・・・俺、そういうのが・・・」

 感情の揺れを見せた音也がそう言った時、直感的に、今すぐこの場を離れなければ結末は最悪だと春歌は予感した。
 
 音也は一つの事が頭を占めたら何をするか判らない。ここで今、嶺二の腕を無理矢理引き剥がして自分を連れ帰る可能性は少なく無い。それこそ力づくで帰ろうとしてそれに着いて行くとなったら、嶺二の指はその瞬間にこのスカーフを引っ張って解くだろう。

 今の自分の体の赤い跡も、情けなく埋め込まれたモノも、何があっても音也にバレたくない。今すぐここから逃げないと、万が一音也の目の前でこのスカーフを取られたら終わりだと思った。それに、自分を連れ帰る為に音也に乱暴に体を引っ張られたりしたら、埋め込まれたモノが動きで抜けるかもしれない。そんな辱めは耐えられない。

 「ごめんなさい。2人きりじゃないから、信じて下さい。寿先輩もお忙しいのにお時間取ってくれてるので、もう行きます。ごめんなさい。・・・寿先輩、早く行きましょう、すぐに。早く終わらせないと。」

 顔を背けてそう告げた春歌は、音也にくるりと背を向けた。
 そして、目を眇めて確かに口許で笑った嶺二を急かして、足早に駐車場へと歩き出した。
 

 




               To Be Continued・・・








       次回第5話は、12月6日頃に掲載予定です
      






 

 

 

Russian roulette 5

 
 

 Russian roulette
     Vol.5 



 


 倒れ込むようにして乗り込んだ車のシートで、春歌は大きく息を吐いた。

 同時に運転席に乗り込んだ嶺二が、エンジンを掛ける。
 春歌は慌てて、嶺二の腕を掴んだ。

 「な、ま、待って下さい。これを取ったら私は一人で帰ります。」

 必死な春歌を一瞥した嶺二は、にっこりと笑うとアクセルをふかし、車を発進させた。

 「寿先輩!」

 「なぁに。」

 「おろして・・・降ろしてください!」

 「だーめ。」

 前を向いてハンドルを握ったまま、嶺二はにこやかに返答をする。

 「運転してる僕の隣で自分で抜いてもいいけど、なんかそれって恥ずかしくない? 所詮ウィンドウは目隠しじゃないんだしさ。誰かに見られるかもしれないってスリルに興奮してる君を見るのも、なかなかソソるよねえ。」

 「・・・・・・・。」

 無駄なのだ、何を言っても。多分。
 
 そう思い知る空気を感じ取った春歌は口を噤んだ。
 成り行きとはいえ彼の車に乗ってしまった以上、今更降ろされてもこれを入れたまま歩いて帰るのは辛すぎる。抜こうにも、まだ人通りのある道路の一体どこで、という問題だ。

 「ねえねえ。さっき配られたコーヒー、君、飲まずに持ってきてたでしょ。僕にちょうだい。喉乾いちゃった。」

 普段の会話として話す嶺二を軽く横目で睨み、バッグから出した缶コーヒーを手渡す。

 ここは都会の街中だ。丁度今の時間はやたら多くの車がひしめき、進むスピードは当然緩い。ウインドウ越しに歩いてる相手と目が合ってもおかしくない。だからといって降りて歩いてたとして、途中で抜け落ちたらどうしようという恐れも、街ゆく人の視線が、皆こちらに集まってるような不安も拭えない。

 夜の街を滑るように走る車の助手席で、春歌はぐったりとシートに深くもたれかかった。
 諦めた目の前の道に、ヘッドライトがいくつも重なる。浮いた涙で滲む人工の光は、今置かれた状況に似つかわしくないが綺麗だと、春歌は場違いな事を思った。

 やがて、すっと光が無くなり、それが何処かのマンションの駐車場だと気付いた春歌は、やっとシートから体を起こした。

 「ここ、どこですか・・・。」

 春歌の問いかけに、嶺二は答えない。
 出かける時は、春歌が嶺二の質問に答えなかった。仕返しのような仕草にまた怒りが湧く。

 「いい子で着いてきた君に、選択肢をあげようかなー。僕ちん優しいから。」

 沸々と沸かせていた隣の後輩の怒りの炎を消すように、エンジンを切りながら嶺二がそう言った。
 春歌がゆっくりと彼を見る。またどうせろくでもない事を言い出すのだろうという嫌な予感が、春歌の頭を鈍く掴む。

 「一応ココは駐車場だからね。誰が通るか判らない。」

 嶺二が唐突に話し始める。

 「ただのマンションだから、寮や学園みたいに、パパラッチやストーカーに向けた大した警備も無い。僕みたいな芸能人が住んでるって知ってる週刊誌の記者なんかがネタ捜しでどっかに隠れてたら、車の中で卑猥なコトしてるトコロをうっかり写真に撮られかねない。ああいう輩は平気で車にベッタリくっついてくるから、抜いた物までしっかり写真に写っちゃうかもねえ。・・・だけど。」

 すっかり振動の止まった車が、しんと静まり返る。
 教師が生徒を指導するように説明口調で話す嶺二の声だけが、二人の間をすり抜けて行く。

 「ほら、売れっ子同士が未明に同じマンションから出てきた! って写真に対して、今撮ってる映画の為に2人で役作りしてました~ってヤツあるよね。この業界、苦しかろうともその言い訳で大抵通る。今から僕と打ち合わせるっていう君のおとやんへの説明をトッキーも聞いてるし。万一があっても、打ち合わせって証明してくれるトッキーがいるんだから、世間はともかく龍也さんには怒られないと思うな。」

 ずい、と顔を近づけて来た嶺二に戦いた春歌が身構えた。
 吐息が触れる程距離が近くて、今にも叫んでしまいそうだった。

 「龍也さんさえ解ってくれれば、その程度の写真は世に出る前に消して貰える。さ、ここで質問。」

 言われた内容すらきちんと整理出来切れない春歌に、嶺二が微笑む。

 「君が選んでいいよ。ここでバイブ抜いてほしい? それとも、何をしてても誰にも見られない保証のある部屋へ行く? 」

 すとんと、全身が落ちた。
 自分は罠に嵌ったのだと、今更ながらに強く実感した。
 
 どこからがこの意地悪い質問の為の罠だったのだろう。
 逃げられない密室のシートで、春歌は頭のある一点だけ冷静なまま考えていた。

 ここまでついてきてしまったのは、頭が上手く動いて無かったせいもあった。
 体の奥に大きなモノを入れられて、頭の芯がぼんやりしてしまっていた。そうでなければもっと何か方法を思いつく筈なのにと、春歌は心中でもどかしさを持て余していた。こんな今の自分も、きっと彼は読んでいたのだろうと思うと悔しい。

 だからと言って、個人的な憤りに任せてばかりもいられなかった。

 相手は、事務所の抱える知名度の高いアイドルだ。
 事務所にとってそんな醜聞が出た場合、今の自分とこの男を天秤に掛けたら、切り捨てられるのは駆け出しの自分だというのは解り切っていた。醜聞は、自分がこの業界から去るしかないダメージを持ってくるだろう。

 そんな事になったら音也に顔向けが出来ない。
 音也にだけは嫌われたくなかった。嫌われたく無かったし、知られたくなかった。自分が他の男に触られたなど。そして、それが一度だけでは無いなどと。

 この男はきっとそこまで計算して、音也にバレる可能性があると不安を煽っているのだ。その不安に折れた春歌が、自分で嶺二の部屋まで行くのを承諾する未来をハッキリ見ながら、それが自分の手の中に降りてくるのをのんびりと待っているのだ。

 楽しみながら。 
 泣きそうに歪む春歌の顔を、うっとりと眺めながら。
 

 「私が・・・。私が自分で部屋に入るのを選んだ、って、言うつもりで、こんな・・・。」

 声が震えた。
 嶺二の手がそっと、きっと土気色にでもなってるであろう頬を撫でる。

 「何を期待してるの。ははっ、部屋に連れ込まれたら、最後までされちゃうって?」

 「・・・っ!」

 「自分が選んだんでしょって終わった後に僕に言われて、ヤリ捨てられるかもって心配してるの。あはは、かわいいねー。僕のコト好きなんだぁ。大丈夫、大事にするよ。」

 「ふざけないで・・・!」

 思わず罵倒してしまう程、目の前の男は明らかに自分を弄んで楽しんでいた。

 「そんな心配をしてるわけじゃないです! 大体、期待なんてしてない・・・!」

 怒りで手まで震えそうになるのを堪えて、春歌は目をきつく閉じた。
 
 呆れる程、今の自分が滑稽だった。
 
 人目が気になって体に入れられたモノを抜く事も出来ず、そんな仕打ちをした男についてきて、更に踏み込もうとしている。他に手立ての思いつかない自分が、何を言っても説得力が無い。狡猾な嶺二の手に、ずぶずぶと脚元から腰まで嵌っていく。それが判っていながら、逃げ出したら音也との別れが見えそうで逃げ出せない。袋小路だ。

 「部屋で・・・部屋まで行きますから。でも、部屋の中には入りません。誰かに見られたくないだけですから、玄関でこれさえ抜いてたら、そのまま帰ります!」

 「ええ? こっからどうやって帰る気? 歩いて帰るの? 距離あるよん。」

 「先輩には関係ありません。早くして下さい。」

 芝居がかった驚き方で笑う嶺二をぴしゃりと遮った春歌は、車のドアを開けた。


 
 

 
 ゆっくりと昇る2人きりのエレベーターの中で、菓子らしき小さな包みを嶺二がポケットから取り出し、春歌に差し出した。

 「このゼリービーンズ、美味しいかどうか判んな、」

 「要りません。」

 極力離れて乗っていた狭い個室で、嶺二が言い終わりもしないうちに、春歌は顔まであからさまに背けて拒絶する。

 そんな春歌に軽く肩を竦める仕草をして、嶺二はそれを仕舞わずお手玉のように掌で転がしていた。
 もう片方の手では、先ほど春歌から受け取った缶コーヒーを回転させている。

 エレベーターで運ばれ、通された部屋の玄関で、春歌は立ち止まった。
 重い扉を背に、キッ、と嶺二を睨みつける。

 「む、向こうを向いていて下さい。」

 「え、なんで。」
 
 プシュ、っと。
 缶コーヒーを開けながら嶺二がきょとんとする。春歌は面食らった。本気で尋ねるかのような一種無垢な表情に眉を顰める。

 「見られたくないからです。」

 精一杯の虚勢が、はっきりと返答をする事だけだという事実に無力感を覚える。それでも、春歌は崩れ落ちずに玄関で立ち止まった。

 「いやだなあ。僕が抜いてあげるのに。」

 「!」

 喉が攣る。
 扉に押し付けられて、腕を取られた。体の半分を押し付けて春歌の動きを封じるような嶺二に思わず怯え、間近に迫った彼の顔が見られない。

 「そんなに怒らないで機嫌直してよ、ね。コレ、食べて。女の子はお菓子が好きでしょ。僕からのお詫び。」

 背けた顔の口許に気配がする。
 きっとさっきのゼリービーンズを嶺二が口許に寄せているのだろうと春歌は察しをつけたが、そんな事はどうでも良かった。
 
 「要りませ・・・!」


 咄嗟に言葉を切って口を閉じたが間に合わなかった。
 危険を察知して本能的に口を閉じる前に捻じ込まれたのだ。
 
 流し込まれたのは小さな個体と、コーヒーの味。それを送ってきたのは彼の舌だった。
 ごくんと、多少苦しかったが喉の奥に放り込まれた為に反射的に飲み込んでしまってパニックになる。突然喉を襲われて咽た春歌に、嶺二が唇を離す。

 「ごめん、咽ちゃったね。美味しく食べればいいのに素直じゃないからこうなっちゃうんだよ。苦しくなかった? 大丈夫? 飲み込めたかな。」

 嶺二が自分の顎の辺りを拭う。勢いよく口移しなどするから零れた甘い琥珀色の液体を袖で吹き取っていた。
 そのままその指で唇をなぞられ春歌は咳き込みながらも避けるが、体を抑えつけられているので、顔を横に向ける位しか出来ない。

 咳き込むのが収まると、また激しくキスをされた。
 逃げられなくて、冷たい舌に口腔内を犯される。甘ったるいコーヒーの味がする。何度も何度も角度を変えられ、もがいても意味が無かった。長い時間、たっぷりと嶺二の唾液を味合わされて眩暈がしてきていた。

 

 「な、にを・・・っ。」

 やっと、どれくらい経ったのか解放された。
 息をしながら、春歌は必死になって尋ねた。

 「さっき、のは・・・。」

 「ん? ジェエリービーンズ。」

 「・・・は?」

 「カタチは割とジェリービーンズだったよ。君、ちゃんと見ないんだもん。どう、甘かった?」

 「甘いも何も、いきなりで・・・コーヒーと一緒に無理矢理飲ませるなんて、ひどいじゃないですか。」

 相変わらず手を縫いとめられたまま、春歌は嶺二を詰った。
 だが嶺二は春歌の質問には答えず、更に質問を足してくる。

 「だあって君、目もくれないんだもん。でも見た目はちゃんとジェリービーンズだったよ。味は違ったの?」

 「見た目は、って、何を言っ・・・。」

 「だいじょーぶっ。毒じゃないから。普通はね、中の液体だけを、コップ1杯分くらいの水とかお湯に溶かして飲むんだって。」

 「は?」

 

 唐突な説明に、春歌は間の抜けた返事をした。思わず体の動きも止まってしまう。
 嶺二はそれを気に留める風でもなく、相変わらずべらべらと喋る。

 「あの柔らかいカプセルを潰して、中身だけを出して水に溶かして飲んだら、早くても5分かかるらしいんだ。えっとね、250MLの水、だったかな。だけどカプセルをそのまま飲むと一気にくるらしいよ。」

 「・・・はい? どういう意味です?」

 「それは、今から君が解るんじゃない?」

 怪訝な目をした春歌の中で、やり取りの間、一瞬忘れていた卑猥な玩具が突然ぐんと質量を増した。

 今まで2時間近くも挿れられていて、すっかり違和感も麻痺したようになってきていた筈なのに、突然入れ直されたような感覚だ。

 春歌の肩がぴくんと震えた。
 嶺二の目がそれを見つける。

 「僕は使った事が無いから実際は知らないけど、アッチの締まりは良くなるのに、太股の力が抜けちゃって立っていられないらしいよ。気持ち良さは格別だって、このテの話で冗談を言わないヤツが言ってたから間違いないとは思うんだけど、どう?」

 春歌の腰を撫でながらの嶺二の台詞は、最初の数秒以降、耳に入ってこなかった。
 自分の中の玩具が、急速に大きさを増して内部を圧迫して来る。

 呼吸が上ずった。
 太股の感覚が無くなる気がして、咄嗟に嶺二の服を掴んだ。

 「や、先輩っ・・・!」

 「あ、ほんとみたいだ。」

 嬉しそうに嶺二が呟いた。
 まるで、毒を捲いた狭い箱に入れておいた実験中の虫の動きが、自分の思い通りだったと無邪気に独りごちる子供のように。

 「ア、あ、や、ヤダっ・・・・!」

 崩れ落ちそうになる膝を必死で持ち堪えながら、春歌は嶺二にしがみついた。

 「中、がっ・・・大きくなって、何、これ、何なんですかこれっ・・・!」

 目を見開いて呼吸を浅くしながら、春歌が嶺二に詰め寄る。
 傍から見たら、縋っているようにしか見えなかった。

 「中の張型が大きくなったんじゃなくて、君のアソコが狭くなったんだよ。そういう媚薬なんだ、さっきのジェリービンズ。・・・みたいな、媚薬。えへへ。」

 「・・・!」

 顔色の変った春歌を、彼の腕はぐっと自分に抱き込んだ。

 「ぎゅうっと締めつけちゃうらしいよ、収縮してね。要は、男の形や大きさをしっかり感じ取れるってコトだよ。狭い中で一杯にされる感覚が強制的に味わえるから、とっても愉しめるってコト。」

 「・・・いや、いやです、抜いて、・・・早く抜いてっ!」

 「ふうん、いいよ。」

 あっさり快諾する嶺二に少し驚いた春歌を尻目に、嶺二はそのまま春歌のショーツに手を突っ込み、ずるりと張型を引き抜いた。

 「ああああああああああっ。」
 
 途端、春歌は嶺二の胸に顔を押し付けて、襲ってきた強烈な快感に耐えた。

 信じられなかった。
 内側の肉が、ずられる動きについていってソレを離さない。出て行くものを逃すものかと喰い付いて、密着したまま擦られる。ぼたぼたと噴き出す卑しい蜜が自分の内股を濡らしていった。

 「うわぁ、なんかすごいなあコレ。僕の手、今すっごい濡れたんだけど。これはちょっと想像以上かな。抜いただけでこんなになったら、押し戻したらどうなるんだろ。」

 すぐ目の前から聞こえる言葉尻に茶目っ気を捉え、春歌は背筋を震わせた。
 拒否しようとした意思がぱらぱらと無くなる。口がぱくぱくするだけで言葉にならない。
 
 背筋の震えが怯えなのか期待なのか、既にその境目がつかなかった。頭の奥から急速に細胞が膨れ上がっていく。熱に。渦に。浅く短くなる呼吸に突き動かされる真っ白な高みへの欲求に押し上げられる。自分の体が自分のものでは無くなって行く。滑り込むように泥酔する感覚。

 「さ、また入るよー。」

 「ああああーーっ――――――-ッ、っ・・!」

 景色が消えて、春歌はその場にへたり込んだ。
 実際は膝を着く前に嶺二が抱えてくれて、座り込んではいなかった。

 体を抱えられて喰いつかれるように口を覆われた。達しながらも、そこまではハッキリと覚えていた。そこまでは正気だったと後から思った。達した余韻で霞がかった頭がそのまま普段のようには晴れず、次に視覚が認識したのは白い海だった。

 

 


 

 その白い海は冷たくて、柔らかい。清潔な石鹸の香りがした。

 握りしめる指が自分の手だと自信が無い。
 
 (これはシーツだ。)
 
 そう思った時、またぬるりと口の中に覚えのある粘膜の個体が入り込んできた。
 嫌な記憶が蘇ったが、今度は甘ったるいコーヒーの味はしない。ただ、生き物みたいに口の中を這う感触に鳥肌が立つ気がした。

 その鳥肌が悪寒では無くて、悦びによるものだというのだけが妙に解る。

 濡れたそれが春歌の舌に絡みついて根をくすぐる。自分の体がどこに行ったか判らない。というより、気持ち良くてそれだけで、体など無いような感じだ。どこからが顔で、そもそも大体、自分に顔などあったのかとすら疑問だ。

 「自分で拡げて、ちゃんとおねだりして。」

 どこからか声がした。

 どこから降ってくる声か判らない。

 誰の声なのかすら理解出来ない。ただ、知らない相手じゃない。
 自分は動いているのだろうか。それとも、ぐったりと気絶でもしてるのだろうか。強請れと言われても、従いも反論も出来ない。そもそも、自分は今起きているのか。

 確認できない。
 今度は違う方向から声がする。

 「こんなになって・・・可愛い。」

 ぐるぐると世界が回っている。
 なのに、自分の体は地面に重力で引き付けられたままで、もがくのもままならない気がする。

 耳元で、誰かの激しい息遣いが聴こえる。
 甘く切なげで、苦しそうだと春歌は思った。

 四方八方から声がする底の世界。ただ気持ちが良くて、それだけの中で、熱いも冷たいも判らなくて。
 自分が五体を満足に持つ個体ではなく、軟体に成果てた感覚を彷徨っていたのはどの位の間だったのか。

 声も、回転する世界も、夢の中で見る夢のようで、やがて消えた。



 






 「・・・・。」

 瞼を明けようと思った。
 久しぶりに、体が自分の意思を感じ取った。
 
 

 頭と首が繋がっていて、手と足を持っていると実感する感触。
 
 指先の感覚が、腕を通って脳をつん、と刺激した。

 

 意思も持たずに漂っていたような夢から覚めて、春歌は暫く目を瞑ったままじっとしていた。
 上手く体が動かせないのもあったが、中心がどろりと粘る頭を動かすのに手こずっていた。手の指を曲げ、自分の力が体に効く事を確認する。

 体が重い。
 上に乗っている何かも重い。冬用の厚い布団でも掛けられていると思った。

 ここは、だとしたら、寝る場所なのか。

 そう考えて、腕を動かす。
 感触に記憶が捲られる。多分指先に当たっているのはシーツだと、春歌は判断出来た。やはり寝床だ。

 と言う事は、自分はやはり眠って夢を見ていたのだろうか。

 鈍く唸る頭を強制的にのそりと動かした春歌の目に映った景色は、眩しい太陽の光が一筋差し込むカーテンの見慣れない柄だった。

 (朝・・・? 明るい・・・。)

 交差する記憶が頭に幾つも、ぐにゃりと曲がって浮かんでは消える。
 
 
 どれとしてハッキリしたものは思い出せない。起きていた実感が無かった。総てが朧だ。何より起き抜けの頭では、あまり色々な事は考えられなかった。

 洩れる光から、時間は少なくとも日が高い頃だと確信する。
 起きなければ。自然にそう思い、だるい首を横にゆっくりと向けた春歌はそのまま固まった。

 
 「・・・な・・・?」

 
 知らない部屋で裸のままベッドに居る自分と、そして。

 
 「いちの、せ、さん・・・・。」

 
 良く知る顔が、隣で眠っていた。
 その男も裸で、春歌の腰を抱くように腕に囲って。




       


             

              To Be Continued・・・
           







         次回第6話は、12月22日頃に掲載予定です。
         が、年末になるので、予定は未定です・・・。スイマセン・・・。 






     

 



 
プロフィール

みるくあずき2

Author:みるくあずき2
成人。
主婦。母。妻。嫁。娘。事務員。など。

本家ブログはアメブロ
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にて、乙女ゲームレビュー(感想・攻略? 雄叫び、乙女向けCDも愛聴)を書き綴っております。

乙女ゲ歴というかゲーム歴4年。
妻となり母となって大分経ってから見つけた趣味なので、遅咲きです。
遅咲きの狂い咲きってヤツですね。

本家ブログは只今リアル絶賛多忙中の為に気紛れゆるゆる更新です。コチラは元々気の向くままに進めています。

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拍手とかコメントとか貰えると泣いちゃうくらい嬉しいですよ・・・。

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宜しくお願い致します。

只今うたプリだと トキ春 嶺春 蘭春 音春を筆頭にカミュ春や翔春、真春、レン春もございます。R18、オールNLとなりますので宜しくお願い致します。

だけど最近プリンスよりも先輩とかヘヴンズが好きだったり・・・。

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